スタイルの成り立ちを理解しよう
こんにちは。Teleddy Design Storyです。前回メタファーについてお話しました!今回も続きです。
スタイル(様式)って何?
デザイナーがデザインで考慮することは大きく分けて二つあります。一つは「使いやすさ」、もう一つは「スタイル(様式)」です。
使いやすさとは、コップをデザインするとして、これがコップだとわかるように形作ることです。ここを持てばいいのね、ここに飲み物を注げばいいのね、ここに口を付ければいいのね、と行った具合にコップの用途を満たすようにします。またコーヒカップならコーヒカップに適するように、湯呑みなら湯呑みに適するように形を考えます。消費者がパッとみた時に「これはコーヒーカップね」「これは湯呑みね」と理解させ、利用できるようにすることが目的です。
スタイルというのは、「可愛いらしいコーヒーカップね」という時の、「可愛らしい」に当たる部分、「趣のある湯呑みね」という時の「趣のある」に当たる部分のことをいいます。消費者は使用用途、TPO、性格などに合う商品を望むので、そのニーズに応えることが目的です。
消費社会においてスタイルはとても重要です。消費者がすでにコーヒーカップを持っていたとしても、新しく好みのコーヒーカップを見つければそれはニーズになります。
スタイルはどのように生まれるのでしょう?美しさや流行り、〇〇らしさというのは、前の時代のスタイルを受けて作られます。皆さんもよく流行りをみながら、これって〇〇年代っぽいよねとか、こうすれば今時っぽいねとかそんな話をすると思います。美術の歴史に出てくるような印象派にしろキュビズムにしろ、どんな時代のスタイルも前の時代の人たちの考えたことを拡張してみたり、あるいは否定してみたりして作られました。今後新たに誕生するどんなスタイルも、常に前の時代の流れが考慮されています。
スタイルを歴史から学ぶ
デザインにおいて 、歴史を勉強することはすなわちスタイルを追いかけることです。
可愛いとか、〇〇にふさわしいとか、そんな形容詞は形にはならず、多くのは人は感覚で捉えているものです。その感覚を再現するに当たって、何をもってそれらしくさせているのか、消費者が何をみてそれらしいと判断しているのか、理解したくなります。その時に歴史が役立つんですね。
いわゆる”デザインの歴史”はざっくりと19世期半ば頃ヨーロッパ(主にイギリス・フランス・ドイツ)で始まります。機械化が浸透し大量生産が始まり、”消費者”が増えていく時代に、アートや職人と切り離されて考えられるようになりました。この時代の代表的なデザインシステムといえば、ロンドンの地下鉄(Underground)です。現代でも使われる地下鉄マップが作られました。最近まとまった書籍も出版されています。
色・形などデザインの造形について体系的にまとめられたのは、バウハウスの時代でしょう。アルバース、イッテン、クレーらの書籍は今の時代に読んでも多くのことを学べます。
デザインの歴史の初期に起こったこと、それは造形をパターン化して理解していくことでした。多くの造形をまるでブロックのようにバラバラに分解しある種科学的に理解しようとした時代です。抽象絵画ってわかりにくいって思う方は多いと思いますが、デザインも抽象的に(つまりメタファーの表現を使って)考えている点では同じで、もう少し一般にもわかりやすくしたものと捉えることができます。
15・16世紀のルネサンス時代の美術を見ると、その時代の表現は、ものの描写こそが正義でした。現実のものをどれだけ美しく再現するかの目的で「表現」が利用されていて、メタファーのような発想は主流ではありませんでした。何色はこの意味だとか、この形はこの意味だという理解は社会のルールと共に浸透していくものです。今ほど「社会」のようなまとまりもなかったですし、多くの人が同じものを使っているというシチュエーションもありませんから、メタファーのような表現は浸透しにくかったでしょう。
それが技術の発展と共に変化していきます。必要にかられるようにして、デザイナーやアーティストたちがパターンやシステムに落とし込んだ造形を作っていくのです。
こうして人々は単純な色や形に対する認識が深くなり、現代のような触覚もないディスプレイ上の「フラットデザイン」においても多くの人が意味を理解できる段階になりました。
この表現の段階に関しては『記号の知/メディアの知』(石田 英敬)の第一章ゴッホ(1853-1890)、マグリット(1898-1967)、ウォーホル(1928-1987)の表現方法を比較した記述が大変面白いです。同じ「靴」をモチーフとした絵画を例にあげ、全く異なる意味が含まれていることを紹介しています。
デザインは時代と共に変わっていく
人にとっての使いやすさ、美しさを再現する技術は、時代を経てもそう大きく変わるものではないと思います。それは100年以上前に作られたロンドンの地下鉄のマップが今もその形状を残していることからもわかります。デザインには流行の外で、人の性分をよく理解したデザインを作れば、以降しばらく使い続けられることが可能です。
そんなデザインを最も大きく揺るがすのが新しい技術と科学的な新発見です。
かつてのピカソもアインシュタインの相対性理論に感化され、自分のスタイルに解釈を組み込んで行きました。
現代のIT技術もまた、多くのデザイナーを感化し、デザインシステムはプログラムのコードの中でも生き生きとしています。
ゆっくり時間の流れる人間の性分と、目まぐるしく変わっていく技術の世界を橋渡しする役割を担っているのが、デザインです。
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