イベント・お出かけメモ#16 鳥羽商船練習船「鳥羽丸」体験航海
日曜日の朝、コーヒーを飲みながら新聞紙をめくっていたところ、6月14日に退役予定なので最後の体験航海となる鳥羽商船練習船体験航海の参加者募集の記事を見つけました。「参加無料。対象は10歳以上から中学3年生までで、保護者1人も参加可能。小学生は保護者同伴が必須、」とあり、対象年齢の子どもがいるので、どれ応募してみるかと思い、朝食を食べていた子どもの許可をもらってそのままQRコード経由で応募しました。
先着順なのと、土曜日の午前・午後×2回の4回のチャンスがあって第2希望まで申し込めるところ用事が既に入っていて最終日の午後しか参加できないこと、応募の際に概要を確認するとそもそも5月20日〆で今回は追加募集らしいことので、無理かもなぁ、でも乗船できたらいいなと思っていたところ、幸運なことに参加可能となりました。
大学時代は勉学よりも圧倒的に漕艇部の部活動に熱中していた父の影響を受けたのか、あるいはその父に琵琶湖で開催されていた朝日レガッタその他の船関係のイベントに(どこにつれて行かれてもとりあえず周囲の大人の邪魔をしない人形タイプの子どもだったので)私だけが連れていかれたためか、もしくは公園のボートも含めて何回か父にボートを漕いでもらった時の雰囲気が良かったためか、私は水辺や船が大好きです。
もともともの好きな性分なので、観光地その他で船があると「乗りたい」と思ってしまいます。お堀巡りのボートでも、川下りでも、フェリーでも、そこに船がある限り乗りたくなります。そして、その私に引きずられる形で子どもも結構いろいろな船に乗っている方だと思います。丁度「坂の上の雲」ブームが子どもに来ていて、海軍への憧れを持っていることを幸い、船乗りっていいよね~などと言いつつ、鳥羽商船高等学校に到着しました。
受付を済ませると、鳥羽商船のリーフレットなどが入ったトートバックをもらいました。今日の乗船証も入っていたのが嬉しかったです。
15組(保護者を入れて30人弱)を2組に分けて、乗船場まで移動します。特急で鳥羽に向かう際、鳥羽の少し手前で綺麗な入り江が見えるので気になっていましたが、そこが鳥羽商船の練習船がある浦(池の浦)でした。
リーフレットによると、練習船 鳥羽丸は、
1994年竣工
総トン数 244t
最大速力 13.8kt
全長 40m × 幅 8m × 深さ 3.3m 満載喫水 2.8m
だそうです。
フェリーなどと比べると小振りです。
乗船後、1階降りたところにある教室(ここを1階とする)に集合して、救命胴衣の説明などを受けた後、予め分かれている2組それぞれの担当者(5年生の学生さん)に案内で船内を見て回ります。
①3階デッキ(甲板?)で出航の様子を見学 → 制御室で機関室の役割や油クイズなど → ②2階後方甲板で外の様子を眺める → ③同階 前方甲板 で船員さんの就職状況などについて話を聞く(この時に方向転換) → 地階の居室→ ④操舵室で少しだけ舵をとる体験をさせてもらう → ⑤教室 → 下船 といった、2時間弱の体験でした。
ここで担当の学生さんから商船で学ぶことなどについて話を聞きます。5年生の3名で全員が内定を獲得しているのだとか。1名が外航船、2名は内航船。外航船勤務は英語が必須ですが、同僚は英語ネイティブとは言えないフィリピンの人が多いそうで、ネイティブほど英語ができなくても何とかなるっという感じだそうですが、とりあえずTOEICで600点はあった方が良いのだとか。フィリピン人の同僚が~となると、TAJIMA号事件を連想してしまうのは、仕方がないことでしょう。公海、パナマ船籍、加害者フィリピン人で被害者が日本人というアレですな。
船に乗っている間の食事は船主が提供することになっているので、特にお金を使うことがなく、割とお金は貯まるので、船から降りた休暇中に長期の海外旅行を楽しむ人もいるのだそうです。船員さんは常時人材不足ということで「君も船員を目指さないか」とアピールしていました。「坂の上の雲」の影響下にある子どもは目下「江田島」で学びたいらしいのですが、私は、体が10個あれば1個は船乗りになりたいと心底思います。
ただし、この後、地階(水面下)にある居室を見学したのですが、4人から8人部屋の詰め詰め感(国鉄時代の寝台列車の寝台よりは少しスペースがある感じ)を見ると、ひとり部屋に慣れた人だとこれは辛いかなと思ったりもしました。居室のドアを閉めると電波が入らない(ドアを開けていてもぎりぎり1本立つぐらいで電波は弱い)ので、寝るぎりぎりまでは上の階で過ごすことが多いそうです。また、夜は暑く、ただし朝はものすごく寒いそうで、寝る時に半袖だと風邪をひいてしまうほどの気温差があるのだそうです。いろいろ生意気な子どもは「蟹工船ってこんな感じ?」とひいていましたが、多分それよりはこちらの方が環境は良いと思います。
操舵室も見学できました。操舵室はとても格好が良いです。
子どもたちを中心に、希望者は操舵体験ができました。舵を操作するのは船の命運を操っている感じで楽しいと思います。同時に、風の影響を受けながら一定の方向(この時は161度)を維持するのは大変なのだろうなと思いました。
神頼みかどうかはりしませんが、航海の安全を祈るため(?)の神棚がありました。おまつりしている神様は何かはわかりませんでした。航海関係なので金毘羅さんとか住吉さんとか波除稲荷さんかなあたりかなとは思いますが不明です。なお、船員に一神教(キリスト教とかイスラム教とかでしょうか)の信仰者が居る時はトラブル防止のためにこちらの神棚は取り外すこともできるような説明がありました。確かに同じ船で働く人の宗教的感情を逆なですることは慎む必要がありますね。
なかなか乗る機会がない船、しかも退役間近のため今回の機会を逃せば乗ることができない船に体験乗船できてとても楽しかったです。
鳥羽商船は、15年位前でしょうか、教職員が倒れたということで急遽電話で打診があり、断りき出ずに代打で半年間授業をしに来たことがあります。同じ日に3コース?(3クラス?)それぞれで基本的に同じ授業をして欲しいというリクエストがありました。私は聴衆の雰囲気でネタなどを変えたりするので、「同じ授業……ロボットじゃないのでそんなの無理だ」と思いつつ毎週授業をしていました。
3クラスある中の最初のクラスの授業時に「ヤンチャだな」と思っていた生徒が、仕事を終えて駅に向かうとゼッケンの様なものをつけて構内(無人駅)に居たので、どうしたのかと尋ねると、あ、この人は自分のこと覚えているんだといった表情をして、「違反行為をしたのでその罰でゴミ拾い。あそこに先生がいて見ている。」と言ったことや、台風などの風が強い日などは船を見なければならないので先生方が泊まり込みになるといった話を休憩時間に控室で聞いたり、そんなことを少しだけ懐かしく思い出したりしていました。
次の鳥羽丸(令和7年3月就航予定)は、今回の鳥羽丸の2倍近い大きさになるそうです。そちらも船の中を見てみたいです。