#56 こんなことがあった(子どもの裸)
2023年7月に性的姿態撮影等処罰法が施行された。
これに関する法務省のQ&Aの中に、
「Q4 性的姿態等撮影罪で処罰されないこととなる「正当な理由」とは、どのようなものですか。」 の回答として、たとえば「親が、子どもの成長の記録として、自宅の庭で上半身裸で、水遊びをしている子どもの姿を撮影する場合」が挙げられていた。これを見て思い出したことがある。
ひとつめ
誕生時から成人までの誕生日毎の子どもの写真をまとめたものを母と見ていた時、「こういうのっていいよね。だから私もあんたと〇〇(弟)の裸の写真を誕生日毎に撮っておきたかった」と母が言った。「いや、それはダメでしょ。」「ね、あんたがそう言うからできなかった。」
いやいやいや標本じゃないんだから。しかも何で裸の写真なんだか。そんなものを撮影されて残されても子どもは困惑するでしょ。なんなんだそれ、と思った。子どもを自分とは違う存在ときちんと理解していない親を持つとそういうちょっとしたことで、ショックを受けるような発言を聞いてしまうことがある。
そういう嫌な思いを、法務省の回答の「子どもの成長の記録として」という文章を見て思い出してしまった。
ふたつめ
これも多分小学生の頃、ただし高学年にはなっていたと思う。
熊取の家の近所で仲が良かった人がいて、その人の子ども(私と弟より数歳下の兄妹)と一緒に出掛けた時のこと。
いわゆるピクニックみたいな感じで、どこかの公園で持ち寄ったごはんを食べた。周囲もそういう花見客ではないけれどそういう感じの、飲食を楽しむグループがいくつもあった。
食事とると私を含む子どもたちは遊びたくなる、親はおしゃべりを楽しみたい、ということで、4名の中で年上だった私がそれ以外の子どもを見る感じでそのあたりで遊んで良いという話になった。
多分夏休みだったのだろう。暑い日だった。母は「上、脱いじゃいな」と言う感じの事を言った。私はTシャツとサスペンダ―付のスカートといった服装だったが、そのTシャツを脱げばという話だった。母が言うなら脱ぐかということで、私はTシャツを脱いで弟たちとそのあたりで鬼ごっこなどをしていたのだと思う。
ほど近い場所には、おじさんたちが飲食を楽しんでいた。そのおじさんたちが、「おっぱいみえてんで、あ、子どもだからまだまだか」と私を見て言った。単なる揶揄いだったと思う。ただ、そのおじさんの発言とその場にいた人たちの笑い声を私はまだ覚えている。
小学4・5年生で、まだ胸のふくらみは無かっただろう。しかし、どれだけ幼くても、女児であっても性的に見る人がいること、女児も性犯罪の被害に遭うことを考えると、おじさんの発言も、Tシャツを脱げばと母の不注意さも、良くないと思う。
幼児期の性被害は時限爆弾だと言われる、その時にはよくわからなかったことが成長するにつれて理解してしまい、そこから苦しみが続く。
私のこのふたつのエピソードは大したことがないものだけれど、それでも時折ちょっと「うわー」叫びたくなる程度には嫌なことではある。どうか、子どもだから性的な目で見られない、子どもだからたいしたことがない、なんて思わずに、良識をもった大人は、女児・男児を区別せず、子どもを性的な対象として見る大人から守って欲しいと思う。