ハック
4年間の大学生活は想像通りに進んでいきました。
大きな声で笑い合う人とすれ違うたびに息が詰まってしまう。グループワークは相槌しかできずに90分が過ぎてしまう。混沌とした化粧品や香水のにおいに鼻を歪め、逃げるように帰宅する。
想像の範囲内のことしか起こらないのに、経験する必要はあるのでしょうか。
どこでもよかった。想像がつかないこと、気分が変わればそれでよかった。そうして計画を立てた1年間の留学は、コロナによりあっけなく中止になりました。
この頃に出会った物語があります。
マーク・トウェイン著『ハックルベリー・フィンの冒険』
主人公ハックルベリー・フィンは窮屈な町での生活から逃げ出す。逃げ出した先のミシシッピ河を下りながらハックは成長していく、そんな物語です。
遠くへ行った先に何か変化があるのなら、あるとしたら、私はその変化、成長をゆっくりと考えてたい。
卒業論文では、この物語と向き合いました。ハックに私の思いを託して。
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