日本縦断歩き旅《島根⇒佐賀編》8日目『謎の球体』長門⇒神田
『私(わたし)』
どこにだって私がいるの、
私のほかに、私がいるの。
通りじゃ店の硝子の中に、
うちに帰れば時計の中に。
お台所じゃお盆にいるし、
雨の降る日は、路にまでいるの。
けれどもなぜか、いつ見ても、
お空にゃ決していないのよ。
(金子みすゞ の詩より)
金子みすゞさんの公園で目覚める。
前日は夜まで歩いて疲労が残り、7時まで寝てしまった。
ここは朝の散歩で訪れる人がいなそうで助かった。
前日、40キロ歩いた後、ヘトヘトの足で15キロ近いカートをもって上がった坂。夜は何も見えなくてガムシャラだったが、明るくなってみると登る気がしない。
みすゞ公園にはさらに上があって登る。
とても綺麗に手入れされている公園で見晴らしがとてもいい。
ただ税金に使い道に選ばれた公園ではなくて、
金子みすゞさんが地元の人に愛されているように感じた。
その為、知らなかった金子みすゞさんを調べてみると、
ACのCMで聴いたことがある「こだまでしょうか?いいえ誰でも」の詩を書いた方だと知った。
だいぶ登った。
食事は、どら焼きを食べて済ませた。
出発が9時手前とだいぶ遅れていた。
大きな総合公園を通る。
ここに野宿する事も考えたが、
前日はヘトヘトでこの公園の入り口が良くわからないし、
数メートルでも早く足を休ませたかった。
結果的に金子みすゞさんを知れたし、公園もとても良かった。
総合公園の長い滑り台がみえて、ちょっと滑りに行きたい気もしたが、
この日も行程に余裕がないのでやめておく。
透き通る海
この日は晴れで風は少なく4月だがやや暑めに感じた。
!?
何だあれは!?
謎の球体をみかける。
近づくとさらに異様。
とても綺麗で、
雨が続いていたのに水垢がない。
きっと手入れしている人がいるのだろう。
調べてみると近所にある
ヤマネ鉄工建設が交通安全の為に
地球儀型のカーブミラーを設置したのだそうだ。
昼食に定食屋に入る。
歩き旅では食事がガソリン。
ケチらずに食べたい。
この日唯一のまともな食事になりそうなので、
入りにくいが地元の常連客御用達ぽい店に入る。
高齢な方向けな印象で白米が少なめ。
煮物は冷たいが生姜とお酒の香りが良い。
味噌汁は久しぶりに白味噌だった。
お刺身がとても美味しかった。
写真にはとってないが道路工事があり、
車が通るたびに徐行の大きな看板を持ち上げている交通整理の若者がいた。
両手で看板を頭の上に何度も上げるのは絶対にキツそうだ。
置いた看板の横で手で誘導していて問題なさそうだが、
なぜ看板を持ち上げなければならないのか?
しかも、若い人がやっているが胸が痛かった。
いじめか?とも疑った。
おじさんの俺にとって単純作業の仕事は好きだが、
若い人がやっていると”もったいない”と思ってしまう。
大きな声であいさつして通った。
ここの川にも鯉が。
綺麗なんだろうな。
角島大橋に向かう道路が異様に整備された道が続く。
交通量も少なく、まるで新品の道路を歩いているようだった。
山の中を歩いてきたが海が見えてきた。
角島大橋が見えた。
ついに橋の入り口にたどり着く。
改装工事中でトイレは仮設しか使えなかった。
水の補給にあてにしていたので、困ってしまった。
というのもここに着くまで何もなさ過ぎたし、
この辺りにもお店とか何もない。
自動販売機を見つけて、
飲みたくない味の飲み物を買って水分確保しておく。
若い男性に話しかけられ、
旅の話を聞かれるが、
自慢型の人で数々の離島へ行った話をひたすら聞いた。
歩いて日本縦断した人とは一度しか話した事はないのだが。
歩いて日本縦断した事もない人が、
歩いて日本縦断するならこうすべきだ。
とアドバイスされる事は多数ある。
そのアドバイス内容を聞くと、どうしても
「ああ、この人はたとえ時間とお金があっても。初日か2,3日で、適当に体裁のいい理由を見繕って諦めるだろうな」って思う精神性を感じてしまう。
シン仮面ライダーのラストシーンで使われた。
角島大橋にたどり着いた。
本当は、この日の目標地点はもっと先にあったが、
すでに日が傾いていて、しかもこの辺りはなにもなく、
トイレと自動販売機の水があるこの辺りで夜を明かした方がいいのではないかと思い始めていた。
見渡すと砂浜があり。
野宿先として見に行く。
思いのほかなだらかな土地を見つける。
草があれば満潮でも大丈夫だろう。
民家も離れていて、朝の散歩にくるひともいなそうなので、ここで野宿する事に。
日が暮れていくのをみながら、お酒を飲む。
ずっとコンビニも無かったので、この日はナッツを食べて空腹を紛らわす。
日本海沿いを歩き続けてきて、いまだに海水浴をしたことが無かったので、初めて足だけでも海水浴する。
透明度が高い海でひんやりとした。
深夜に雨が降り寒くなる。
ライトダウンを着こみ暖をとる。
この日歩いた距離 36 km