R-TYPE FINAL 2感想 いいところもある……が、それはそれとして君には言いたいことがいっぱいある
このところずっと遊んでたR-TYPE FINAL2がやっと一段落したので感想書く。ちなみに全機体解放・最高難度(R-TYPER3)ノーミスクリアまで遊んだけど全然ハマってません(本当にハマってません)。
どうも自分は「面白いか面白くないか分からないのものを触って確かめてみる」という行為が好きらしく、このゲームの場合、さとうけいいち(げばらも)さんに「グラIII好きなてっけんさんに遊んでほしい」というよくわからない薦め方をされたのと(どんな薦め方だ)、Game Sparkの九条一馬さんインタビューを読んで「これは見届けておかねば」と思ったのが購入のきっかけでした。
で、実際遊んでみてどうだったかというと……
「ホントはいいところもあるって先生分かってる。が、それはそれとして君には言いたいことがいっぱいある!!!!!!!!」
――というのが今の正直な感想です。
なんというか、決して一から十まで全部ダメダメとかそこまで言うつもりはないんだけど、かといって手放しで褒められるデキかと言われればそうでもなく……とにかく「クリアしたら一言言わせてくれ」とずっと思っていたので、今はようやくそれを吐き出せる喜びでいっぱいです。正直、これを書きたいから意地になって最高難易度ノーミス目指していたところはあった(嫌なプレイヤーだな……)。
一応補足しておくと、僕はR-TYPEは初代にはすごく思い入れがあるんだけど(PCE、マスターシステム版はクリア)、シリーズとしてすごく好きかと言われるとそこまででもなくて、2~デルタまではつまみ食い程度、FINALやTACTICSに至っては未プレイだったりします。機体や設定への関心も薄めなので、これから書くことはあくまでシューティングゲームとして、あるいは主にR-TYPE1と比較しての感想だと思っていただければ幸いです。
「退屈」か「地獄」かの落差が激しいシューティング部分
「R-TYPEとしての感想」は後で書くとして、先に「シューティングゲームとしての感想」から書くと、「光るところもあるが全体としてはつらい部分の方が圧倒的に多い」というのが率直な印象。
先にいいところから書いておくと、高難易度(※R-TYPER以上)だと、ところどころ面白いステージもあるんですよ。2、3、4面の道中とか。フル装備でもうまく立ち回らないとたちまち敵弾に押しつぶされ、フォースを巧みに使って活路を切り開いていく「そうそうR-TYPEってこういうゲームだったわ!」という楽しさがちゃんとある。
ただ、そこ以外の部分が軒並み「退屈」か「地獄」かのどちらかで、とにかく極端なんですよ……。あとでちょっと職員室に来るように。
もうちょっと具体的に言うと、「フル装備では眠く、復活だと地獄」な区間があまりにも多い。特に低難易度だと、フル装備なら何も考えずにショットを撃ちまくってるだけでどんどん敵が死んでいったり、そもそものステージ進行も間延びしていたりして、遊んでいて眠くなってくる場面がかなり多かった(他の人の感想を見ていると、ここについては「FINAL(前作)よりはかなりマシになった」という声がけっこうあって、「一体FINALはどれだけ……」と思ってしまった)。
ところが、じゃあ簡単なゲームなんですねというとそうでもなくて、このゲーム、とにかく初見殺しとビックリ死(大丈夫だろうと思って油断しているといきなり死ぬ)が多い。予告動作がわかりにくい極太レーザー、至近距離からいきなり撃たれる高速弾、飾りなのか攻撃なのか分からない背景演出、詳しくは後述するけど、ビックリするほど防御判定が小さいフォース……。そして死因はどうあれ一度でも死んでしまうと、装備没収&戻り復活により、そこからはいきなり地獄の復活講習が始まってしまう。
STG好きなら分かると思うんですけど、戻り復活のゲームで一度死んでしまうと、そこから立て直すのってめちゃくちゃ難しいんですよ。これは低難易度でもあまり変わらなくて、コンティニュー回数だけはヤケクソみたいに増えるけどまったく救済になっていない。早くゲームオーバーになって最初から遊ぶ方がまだ楽だと思う。
コンティニューに物を言わせて少しずつ復活パターンを構築していくのもこれはこれで楽しいんだけど、自分の場合、STGの王道はあくまで通しプレイだと思っていて、「復活」はどっちかというと神々の遊びという認識なんですよね……無理に復活の練習はしたくないというか、ノーミスで最後まで行ければ復活はできなくてもまあいいじゃんというか……。この「復活」の楽しさってむしろSEKIROとかあのへんに近いストイックさがあって、だから楽しいには楽しいんだけど、なんか自分が思っているSTGの楽しさとはちょっと違うんだよなーと思ってしまった(これは好みの問題ではある)。
この「フル装備では眠く、復活だと地獄」な部分については、難易度R-TYPER以上にすると、眠い部分が減ってかなりマシになります。ただ、それでも眠いところは相変わらず眠いし、逆に今度は一部ボスが超強化されてお祈りゲー化してしまうので(誰か最高難易度の5面ボスを安定して倒せる方法あったら教えてください……現状ではハーデスが最適解?)これはこれで手放しでは褒めにくい。難易度の上がり幅もステージによってバラバラだし(2面が圧倒的に難しい)、高難度前提で調整されてるってわけでもなさそうなんだよな……。
「R-TYPEらしさ」はあるが……こんなにフォースが頼りないR-TYPEは嫌だ
STGとしてはともかく「R-TYPEの続編として見た場合どうか」という点についても触れておく。ただ、前述の通り僕がちゃんとやったのは初代くらいで、他はつまみ食いした程度なのであしからず。
で、ここでも先にいいところを書いておくと、さっきも書いたとおり、高難度の道中(一部)にはしっかりR-TYPEらしい面白さがあると思う。
僕が考える「R-TYPEの面白さ」というのは主に2つあって、
・手を変え品を変え、あの手この手でプレイヤーを追い詰め、押しつぶそうとしてくる多彩なステージギミック
・そこをフォースと波動砲というチート兵装でもってゴリゴリと道を切り開いていく戦略性と、逆転のカタルシス
――だと思うんですよね。
その点で言うと、高難度の2面道中なんかは、フォースに集まってくる羽虫と、自機のショットに反応して撃ち返してくる花粉の波状攻撃に加え、前からも後ろからも敵がモリモリ出現する地獄のステージなんだけど、ちゃんと敵の出現場所を覚えてフォースで先制攻撃&防御するようにしていくと劇的に楽になったりして、まさに「これぞR-TYPE」といえる良ステージに仕上がっていると思います(2面の難易度じゃねえというのと、ボス戦の理不尽さはさておき)。各所で弱い弱い言われている波動砲も、使い所を見極めればちゃんと役に立ってくれるので、個人的にはそこまで気にはならなかった。
ただそれより気になったのは、これも各所で言われてるけど「フォースの防御判定が小さすぎる」こと。シリーズ全部遊んでるわけじゃないけど、かつてこれほどフォースが頼りないR-TYPEもなかったのでは??(特に防御面)
初代のフォースって、前につけてたら前方からの攻撃についてはほぼ気にしなくていいくらいだったと思うんですよ。ところが今回のフォースが防いでくれるのは真正面からの弾だけで、ナナメ方向からの敵弾はほぼ防いでくれないと思った方がいい。分かりやすく図で示すとこんな感じです(これが言いたすぎて画像まで作ってしまった)。
ここ、難所でもなんでもないのによく死ぬ1面中盤のあるシーンなんですけど、右下にいるダッカーみたいな敵の弾が、ちょうど「フォースで防げそうで防げない絶妙な角度」で飛んでくるんですよ。少し下に下がってちゃんとガードするか、あるいは上に避けるかしないと当たる。
で、昔のR-TYPEの感覚で遊んでいると、この微妙な防御範囲の違いがものすごいストレスになる。このゲームの敵弾、かなり速いうえに至近距離でも構わず撃ってくるので、ザコが図の赤い範囲に入ってしまった時点でもういつ死んでもおかしくない「黄色信号点灯」の状態。これを避けるためには、全部のザコを死角に入れないよう立ち回るか、死角にいるザコからはいつ弾を撃たれてもいいように神経を尖らせておく必要があり、遊んでいるとメンタルがゴリゴリすり減っていく。フォースくん……ちょっと見ない間にどうしてこんなに小さく……。「ステージの意地悪さ」と「フォースの強さ」の釣り合いが取れておらず、見た目以上に繊細な動きが要求されるゲームになってしまっていると思うんですよね(ただ例外がテンタクルフォースで、触手を広げた状態だとその圧倒的な防御範囲で7.2面のバイド機ラッシュ地帯もじっとしているだけで突破できるかわいいやつです。テンタクルフォース最高!)。
あとは個人的に、ボスやステージのデザインが弱いのも物足りなかった点の一つ。ドット絵の記憶というのはどうしても美化されがちなのでそのまま比べるのは酷だと思うんだけど、「ゲーミング巨大戦艦」と揶揄される3面とか、ひたすら単調な1面、ただごちゃっとして汚いだけに見えてしまう4面とか……全体的に「ツヤツヤテカテカにしてグチャッとさせておけば気持ち悪くなる」という感じで、初代のあの「グロ美しさ」みたいなのはあまり感じられなかった。あと6.1面クリア後のバイド化演出ももうちょっとどうにかならなかったものかと思う。バイド化ルートって多分シリーズファンが大好きなやつだと思うんだけど(僕も事前に友達から「夏の夕暮れ」について聞いてめちゃくちゃ期待していた)、その演出があんなポケモン進化みたいな感じでよかったのか……?
プレイヤーにどう遊んでほしいのかわからない、「体験デザイン」の欠如
あとはゲーム全体通しての感想として、結局のところ「フル装備でガンガン進むゲーム」なのか「地獄の戻り復活をひたすら練習させられるゲーム」なのか、開発者がこのゲームをどう遊ばせようとしているのかが最後までよくわからなかった。最初にこのゲームを起動したプレイヤーが、まずどんなふうに感じて、どういう遊び方をするのか――という「体験のデザイン」がすっぽり抜け落ちてるんですよね。せっかく「素材を集めて機体解放」という絶好のニンジン要素もあるのに、それもまったく活かせていない(ステージクリアまで行かないと素材が手に入らない仕様もつらい)。
フル装備進行ならそんなに難しいゲームではないんだけど、かといって低難易度のフル装備進行は眠いし、そのわりにやたらビックリ死が多く、一度死んだら装備没収で地獄の復活講習モードに叩き落とされる悪循環。正直、遊び始めのころは戻り復活の練習ばかりさせられて「こりゃだいぶ辛いゲームだなあ」という印象の方が強かった。ようやく「あ、これちょっと面白いかも」と思い始めたのは難易度をR-TYPERに引き上げてからで、もっと最短距離でここにたどり着けていたらだいぶ印象は変わっていたんじゃないかなーと思います。まあ、R-TYPER以上でも言いたいことはいっぱいあるんですけど……。
ただそれでも、久しぶりに遊んでみて、やっぱりこの極悪なステージ構成を無敵のフォースでゴリゴリ切り開いていく楽しさって、他のSTGではなかなか味わえないよなーとあらためて思ったりもしたんですよ。このゲームが出なかったら、この面白さって前作「FINAL」で完全に途絶えてしまっていたわけで、そういう意味では「FINAL 2」を出してくれた価値はあった。あったけど、それだけに「せっかく復活したんだからもうちょっとどうにかできたのでは……」とか「ちゃんと面白いステージもあるのになぜ全部でこのクオリティを維持できなかったのか」とかつい考えてしまう。
少なくとも、前作が世に出た2003年から、今日に至るまでの18年間、シューティングというジャンルがその間どのような歩みを経てきたのか、メーカー製シューティングの流れがほぼ途絶えた後、インディーを中心にどのように愛され、発展してきたのか。そういう流れを踏まえたゲーム……ではまったくなくて(※)、そこを重視するかどうかで本作への評価はだいぶ変わってくる(クラファンを経てリリースされた作品というのもあるんだろうけど、ファンの感想がみんな優しい!)。つまり、「2021年のR-TYPE(あるいは2021年のシューティング)」を望んだ人にとっては物足りず、純粋に「18年前のFINALのあの続き」が見たかった人とってはこれはこれで期待通りのゲームだった……んじゃないかなと勝手に納得しています。
ということで、遊んでいる間に書き溜めていた「R-TYPE FINAL 2くんに言いたいことメモ」の吐き出しでした。オススメかと言われたら絶対にオススメはしないけど、これを読んで「そんなに言うなら確かめてやろうじゃないか」とか思った人、あとどのシューティングが好きか聞かれて「グラディウスIII(AC版)」と答えるような人にはオススメです。
そういえばDLCはどうしようかな……今はとりあえず燃え尽きた感が半端ないので、もう少し気力が回復したら……。