介護職員の虐待 なぜ起きる?
先日私の職場(某福祉施設)で研修がありましたが、内容は虐待防止についてです。私の法人は施設がたくさんあり、ある施設で職員が利用者さんに「平手打ち」をしたとのことで、県から監査が入る羽目になりました。「ひどい職員がいるものだ」「虐待する職員なんて信じられない」と思う方もいらっしゃるでしょう。では、施設ではどんな虐待があるのでしょうか?
①虐待の種類と発生割合
福祉の世界では主に5種類の虐待があるとされています。
1・身体的虐待
簡単に言えば暴力行為や威嚇行為です。
例:「殴る・蹴る」「身体拘束」「過剰投薬」
2・心理的虐待
暴言・威圧・侮辱・脅迫・無視など、言葉の暴力もしくは威嚇的な態度により、利用者の意欲や自立心を低下させる行為です。
例:「罵声を浴びせる」「嘲笑する」「尊厳をひどく傷つける誹謗中傷」
3・介護等放棄
日常生活を送る上で必要な介護や支援を怠り、利用者の生活環境を悪化させるほか、心身状態にも支障をきたすような行為です。
例:「入浴や排泄の世話をしない」「不衛生な環境で生活させる」「介護・医療のために必要な用具を使用せず、身体機能の低下を招く」
※高齢者・障害者を対象とする際は「介護放棄」、児童の場合は「育児放棄」となります。
4・性的虐待
わいせつ行為ををはじめ、性行為の強要や性的暴力、性的嫌がらせのことを指します。
例:「キスの強要」「服を着させず丸裸にする」
5・経済的虐待
本人の同意がないまま財産や金銭を取り上げたり、それらの権利を不正に使用、日常的に必要とされる金銭を渡さない(使用させない)ことを指します。
例:「年金・預貯金を取り上げる」「不動産・有価証券を無断で売却」
発生割合としては、
・身体的虐待 61.4% ・心理的虐待 27.6% ・介護等放棄 12.9% ・性的虐待 2.4% ・経済的虐待 12.0%
一番多いのは身体的虐待で、次に心理的虐待、介護等放棄、経済的虐待、性的虐待となりました。冒頭で述べた平手打ちも身体的虐待に入ります。
※施設のみで起きた虐待を掲載。平成27年度厚生労働省統計
②介護施設による虐待の実態
2014(平成26)年度と2015(平成27)年度で起きた虐待件数。
•介護施設で起きた虐待件数
300件(平成26年度)→408件(平成27年度)
108件増えたことが判明しました。
③虐待が起きた理由とは?
施設虐待の要因として、
①教育・知識・介護・技術等に関する問題 65.6%
②職員のストレスや感情コントロールの問題 26.9%
③虐待を行った職員の性格・資質の問題 10.1%
④倫理観の欠如(29件) 7.7%
⑤人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ 7.7%
ご覧のような順位となりました。私の施設で起きたのは2番目に多い「職員のストレスや感情コントロールの問題」が原因となっていました。
④ダーハラ的感想
働いている身としての感想です。
・虐待は当然いけないが、職員側が虐待と気づいてないことがある
・施設虐待においては、人員不足が原因で感情が抑えきれないことが多い
虐待がいけないことはわかっているのですが、人手不足によって一人が抱える仕事量が膨大な量になることが多いです。その為、先輩や同僚に仕事を依頼することができなくなっていることが多いのです。どう効率的に仕事を終わらせればいいかを先に考えてしまい、優先順位がどんどん職員本位になっていくんだと思います。さらには利用者さんのトイレ介助、食事介助、レクリエーションなど、時間に追われる日々が続くのです。
ましてや
・車イスの利用者さんの中で、転倒リスクがあるためスタッフが見守りながらのトイレ移乗
・勝手に外に出て行く
・職員の知らないところでの、利用者同士の喧嘩
当たり前ですが利用者さんのペースに合わせたり、トラブル対応が日常的に施設ではあります。
私の施設でも人員不足が問題となっており、工夫をどうにかしても、結果的に一人で背負う業務量が多いので職員側のストレスが多くなってしまいます。勤務的にもあらかじめ3時間残業前提の勤務や、前日遅番(12時〜21時)があり、次の日早番(朝6時〜)があったりします。同じく施設で働いている専門学校の仲間も同じことを話していました。
こんな状況でストレスをコントロール出来る人はどれほどいるのでしょうか? 人に相談するだけで改善できるのでしょうか?
なんとかできる方法はないか、日々模索中です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
引用:高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策
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