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エッセイ|自分の部屋の片付けずっと苦手
前回のエッセイ
自分の部屋の片付けがずっと苦手だ。
部屋というスペースだと全部、机なら引き出し、バッグの中。財布はレシートでぱんぱん、トイレットペーパーの芯は壁際でタワーになりがち。物が届いた後の段ボールは畳んで固められていれば頑張った方で、畳むこともなくなんとなく積み上げられる。
学生の頃はぐちゃっと圧縮されたプリントが机の奥や鞄の底から出てくるタイプだった。
学校や職場の掃除の時間は真面目にやる方だし、共用スペースは綺麗に使う。
だが、個人スペースになると途端に話が変わる。
壊滅的に片付けができない。
なまものが臭ったりする前にゴミを出すことはできているが、小学生の自分に「後で食べよう」と机の引き出しにしまった和菓子を盛大にカビさせて数ヶ月後発掘したのがトラウマになっているだけだ。表面に緑の斑点ができていた。引いた。お気に入りの和菓子を変わり果てた姿にしてしまったのも普通にショックだった。
とはいえ、幼い頃から自分のスペースの片付けに関しては母からはだいぶ口酸っぱく言われたものだ。
それでもなぜかできなかった。
母や姉は整理整頓が得意な方で、父はそうとは言い切れないがそれでもマメな人である。
きちんとしたところで検査を受ければなんらか発達に偏りがあるのかもしれない、とは自分自身思っている。母は特別支援学校の教員をしているからか、自分の子供がそうだと思いたくなかったからなのか、頑なに「片付けができないのはだらけていてその気がないからだ」とそう考えているようだ。
どうなんだろう。わからない。
さておき、小学校低学年の頃、私の学習机の荒れ具合に痺れを切らしたのか、母が「片付けをする」と言った。
やめてほしい、ちゃんと自分でやる、とは言った。言ったと思う。多忙な母の手を煩わせたくない、というか、もっと言うと片付けられる最中に延々小言を言われたくなかったからなのだが。加えてさらに言うと、片付けが苦手な人間あるある、見栄えは汚いがどこに何があるかは本人には把握できている、というあれで手を入れられたくなかった。
だから拒否はした。
結果として、片付けは実施された。
数時間にわたり「なんでこんなものがあるの」「いるの?いらないの?……いらないよね?」とため息のラッシュを受け、「1日じゃ終わらないから」と切り上げられた。
こわかったし嫌だった。
後日どこに何があったかわからなくなったり、何より気持ち的に"""嫌"""がかなり強かったのは鮮明で普通にトラウマである。
それから気持ちを改めて片付けをするようになったかというと、そんなことはない。
そうなってたら、今、別にこれを書いていない。
ただ、一人暮らしをするようになって、来客があるとなると1週間かけて大掃除をするようにはしていた。
急な来客には
「ごめん、部屋汚いから無理」
ガチの断りを入れるのだが、
「気にしないからいいよ」
ともよく言われる。
困る。冗談抜きで本気で汚いのだ。
君が気にしないのはこの際別にどうでもいい。
私が気にする。
なんとか間に合わせて片付けをし、
「まだ荒れてるとこもあるけどあんま見ないで」
と人をあげ、社交辞令なのか否かは置いて
「全然大丈夫じゃん」と言われるか、
「思ったより生活感あるね」とオブラートに包まれるかである。
大学生の時に友人とその彼氏(ゼミの先輩)を訳あってやむを得ず急遽自宅にあげたことがあったが、その際は「これはさすがにちょっと」「ごめん絶句した」「いつも言ってる『駄目』をちゃんと理解した」とのご意見をいただいた。だから言ったのに……。
母は自宅に来る度、「やっぱり汚い」「ここ掃除したいんだけど」「もっとこれこうしたら?」と触ろうとするので断固拒否している。触らないでほしい。お願いだから。
というか、頑張って片付けをしてもそれだし、なんなら片付けないとやいやい言われるのが嫌で「1週間前には(掃除する猶予がほしいから)連絡して」と伝えているのだが、守ってくれなくて辟易している。まあこれも別の話なのでまた詳しくは書く。
そう、人に片付けられるのも嫌になってしまった。
就労支援を受けるにあたって年末に訪問調査を受けたが、調査員の方にやんわりと「週に一度ヘルパーの方を入れてお片付けしていただいた方がいいかもね」と助言をいただいた。
実際そうなんだろう。
特にここ1年半くらいは転職うつ再燃離職を繰り返しており、まあ部屋はだいぶ荒れていた。うつ病とセルフネグレクトのマリアージュによって織りなされた巣箱のようなものだ。
が、もちろんヘルパーの方を頼らせていただくのもためらいはある。申し訳なさや起こりうる「これは要りますか要りませんか処分していいですか」ラッシュに自分が耐え切れる気がまるでしない。…実際そんなことはないのかもしれないが。
関係性が構築されていない人を部屋まであげるのが普通にストレスなのもあるがこれはパーソナルスペースの問題なので今回は置いておく。
さて。そんな私だが、最近少しずつ部屋の片付けをするようになった。
今のところ4日連続、特に誰が来るでもないのに、ただ自分のためだけに片付けをしている。
いろんな経緯は前回の投稿が詳しい。
ペースは至ってゆっくりだ。
特段片付けによって気持ちが上向くとか、そういうことは今のところ別にない。
普通に疲れるし。
けれど、ただ純粋に自分が暮らしやすくなるようにしようという、それだけで続いている。
もしかして世の大多数の人はそのために片付けをしているのか? という謎の気づきがあるのだが、そうなんだろうか……。
就労支援後の目標はというのも、できればフル在宅で仕事ができればと思っているので、それに向けて自分のスペースの環境を整えていきたいとかなり真剣に考えるようになったのは大きいかもしれない。
パソコン周りをゆとりのある状態にしたり本棚の中身を整えたりというのが中間目標だが、最終目標は継続して自分のために過ごしやすい環境を作り続けることだ。だって自分のためだけの部屋なので。
当座の目標はまず、積まれている段ボールの山や折り重なった雑貨や不在票の地層、投薬や気分悪化の運動不足で体型変化して着られなくなった服たちの整理である。
無理はせず、燃え尽きるまでやらず、このまま続けていければとは思っている。