「最門司さくらの憂国日記」授業で教える ロシア・ウクライナ紛争(後編)

今回は授業で教える、ロシア、ウクライナ紛争の後編です。この紛争は4月30日現在、残念ですがまだ続いています。そして長期化すると予想されています。ところで、ジョージアの時は、ロシアはすぐ介入しましたが、ウクライナではそうしませんでした。
 2014年にウクライナの内戦が始まり、翌2015年2月に、停戦合意が隣の国、ベルラルシーのミンスクで成立しました。しかし、大規模な戦闘は止まったものの、ミンスク合意後も、なぜか合意無視の戦闘が断続的に続いていたのです。そもそもヤヌコビッチ大統領は、2010年から2014年までウクライナの大統領でした。彼は日本や中国を訪問しています。選挙公約の一つが、ロシア語を第二公用語にするというものでした。
実際この公約が成立して法律になります。これはウクライナ南部、東部に多く住む、ロシア語住民のためでした。そのためしん露派の大統領と言われました。しかし、ジョージアがそうであったように、過激民族主義者達は、わざと国を分裂させるような動きをし、この法律に反対します。
やがてオバマ大統領・バイデン副大統領の時の米国の介入もあり、マイダン革命と言われる暴力クーデターで、親露派といわれたヤヌコビッチ大統領は失脚させられ、臨時の大統領、そしてポロシェンコ大統領、そして今のゼレンスキー大統領になったわけです。ドネツク、ルガンスクやロシアは、未だにこの暴力的クーデターは、外国勢力が加担したとして認めていません。
 2014年2月23日、政権交代の翌日、この第二外国語をロシア語とする法律の、無効宣言がされました。そのため南部や東部のロシア人たちは怒りました。さらに親ロシア派の住民が、南部の街オデッサでイベントをしていると、過激民族主義者達がこれを襲い、約50にんの人々が、虐殺されたのです。その後東部2州は、国民投票の結果、独立宣言をします。ゼレンスキー政権は、これら東部ドンバス地区の分離独立を許しません。
 ウクライナ政府、軍、警察の中にも過激民族主義者が浸透し、かれらの発言力が強くなっていたこともあって、市民の犠牲を伴う、激しい内戦になりました。国連人権高等弁務官事務所が発表した、報告書によれば、2014年4月半ばに、ウクライナ東部で紛争が勃発して以来、合計で少なくとも7962にんが死亡し、少なくとも1万7811にんが負傷したとされています。
このような中、分離独立宣言をした、ドネツク人みん共和国とルガンスク人みん共和国を、ロシアが承認して、両国の要請と称してこの2国を支援する、軍事介入をとうとうおこなったというわけです。要請を受けて軍を派遣したので、侵略ではないというわけです。また、戦争でもないので特殊軍事作戦と言っているわけです。
 日本もアメリカもマスコミの報道は、8年前からのこれらの出来事を報じずに、今になって突然ロシアが軍事介入したように報道して、侵略だと言っているわけです。トランプ大統領からバイデン大統領に代わって約1年後のできごとです。最初ロシアは、シリア国内のアメリカ軍の様に平和維持軍といっていました。
これに対し、西側諸国とわが国の岸田政権は、ウクライナを侵略した、力による現状変更という見方をして、ウクライナに改めて武器援助をし、ロシアに対して経済制裁を科しています。武器を援助することは、国際法上敵国とみなされますので、わが国も制裁に参加し、防弾チョッキや円借款を提供しましたので、ロシアの敵国になりました。国会の決議もなく、国民の知らないうちに、いつの間にかロシアの敵国になってしまったのです
民主主義国家としては、問題にしてもよい話ですが、何らかの深い事情があったのではないでしょうか。そしてロシアから平和条約や北方領土交渉の打ち切りを宣告されてしまいました。3月にはロシア太平洋艦隊が、津軽海峡を通過しましたし、4月には、ロシアの潜水艦が日本海に向けて巡行ミサイルの発射実験をしました。敵国ですから、ここで日本の都市が攻撃を受ける危険もありましたが、それはさけられました。
 4番目の、生物兵器の研究所は、元々はソ連時代からの研究所で、ソ連が引き揚げた後は米国の資金で運営されていたようです。ロシアからすればやめて欲しいところでしょう。今のところ生物兵器研究所については、どちらの言い分が正しいかわかりません。同じく、過激民族主義の奨励とはなんでしょうか。これは、公安調査庁のホームページですが、アゾフで検索しますとこのような記述が見つかります。
ただし、今はこの部分は、日本政府の方針で削除されています。これはNATOが発表したウクライナ軍の女性兵士の写真です。よく見ると過激民族主義者のマークの、黒い太陽の紋章があります。ウクライナと周辺諸国に、過激な民族主義者がいることは事実で、アゾフ大隊という準軍事組織が、その後ウクライナの戦車や装甲車を持つ保安警察部隊となって、ロシア軍と闘っているのも事実です。本部はマリウポリにあります。
そして、彼らがロシアのプーチン大統領を怒らせるほどの、ヒドい仕打ちをしんロシア派の住民に対し、おこなっていたのも確かです。ロシア軍は、マリウポリ市を包囲して彼らを追い詰めました。このアゾフ大隊の司令官や、ウクライナ軍幹部22にんを、逮捕して、ロシアで裁判にかけようとしています。さて、ロシアの言い分の2と3は関連があります。これこそプーチン大統領が、多くのロシア国民から支持をされている大きな理由です
アフガニスタン、イラク、リビア、シリアもみな、英米が民主主義を広めるという大義名分のもとで、反政府勢力が政府を倒してしまう、暴力的クーデターが起きたのです。シリアだけはロシアの軍事援助があり、反政府勢力は駆逐されて助かります。シリアはロシアに対し恩義がありますので、今回のウクライナの紛争にも義勇兵を派遣しています。英米のエリート達は、ロシア民族とロシアの文化を、今でも差別しているといわれています
さらにプーチン大統領の前の時代に、英米の大資本家達は、ロシアを民主化するという大義名分を掲げ、ロシアの豊富な天然資源を利用して、英米人を含む少数の人達が、しふくを肥やしたことがありました。プーチン大統領は、これらのひと達から、ロシアの富を国民の財産に、力ずくでもどしたのです。ですからプーチン大統領は当然彼らに恨まれています。
どうですか、プーチン大統領は侵略者ですか、それともロシアの国民と文化と資源を守る、愛国者なのでしょうか。シリアの許可なく駐留しているアメリカ軍は、侵略者ではないのでしょうか。これは難しい問題ですが、ヒントがあります。
 安倍首相は、当時国会答弁で「国際法上の侵略の定義については、様々な議論が行われており、確立された定義があるとは承知していない」「国際連合、総会決議第3314号、及び国際刑事裁判所に関する、ローマ規程に関する御指摘の改正決議が「国際的な合意に相当するかどうかについて、一概にお答えすることは困難である」などと回答しています。
つまり我が国の立場は、侵略とはこういうものであるという定義は、まだ国際的な合意ができていないという立場です。ですから結論は、米英、ウクライナの側に立てば、ロシアは侵略をしたことになり、ロシア、ドネツク、ルガンスク人みん共和国の立場に立てば、侵略ではなく、独立のための紛争の援助で、侵略しているのはウクライナということになるわけです。みなさんはどちらの側にたちますか?それとも中立の立場にたちますか?
ロシア、ウクライナの戦争が一日も早く停戦となって、問題が解決されて、平和が来ることを願っています。それでは、皆さんさようなら。

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