4.夏休みの終り、ぼくらは集まる
小学校の同級生にちょう美少女がいた。たいていの男子はその子を気にしていたと思う。思うというのは、その子のきれいさがあまりにも「ちょう」だったからで、そうなってしまうと「かわいい」とか「好きだ」とかいう言葉はあまりにも陳腐で、相応しくない。だから、そういう言葉は、誰も彼女に対してはつかわなかった。男子は彼女についてほとんど何もいわない。評さない。ウワサもしない。いわないけれど、そこに特別な人がいるとみんなが知っていた。その子の誕生日は夏休みの終りのほうで、クラス名簿に載っていた