大怪獣、インドとソ連、虚無な子犬―5月に観た映画のソフトな備忘録
「Amazon Prime」会員だったことを思い出し、5月の中旬から少しずつ「Prime Video」で映画を観るようになった。 これまでの娯楽は専ら読書だったが、観はじめると映画もやっぱり面白い。そこで今回のnoteは、私が5月に観た映画の備忘録とする。
ガメラ 大怪獣空中決戦
最初に観たのは「ガメラ 大怪獣空中決戦」。プライム特典の対象外だったが、子どもの頃から大好きな作品だったので有料レンタルサービスを使った。この映画が公開されたのは平成7年。私が生まれるよりも前に作られた作品だが、非常に親しみが持てて何度観ても面白い。
▲平成ガメラシリーズの第1作目。空を飛び人肉を食らう巨大な怪鳥「ギャオス」と人類を守る巨大な亀「ガメラ」の戦いを描いた怪獣映画
フルCGよりも映像が生々しく、人肉を食らうギャオスの醜怪さや、ガメラの温かい優しさがハッキと感じられた。戦闘シーンもド迫力で、プラズマ火球を喰らってギャオスが爆散するシーンは実に見もの。あまりにも景気よく爆散するので、観ていて元気が出るほどである。「怪獣」というとゴジラのほうが世界的にも知名度があり、「怪獣王」などともてはやされているが、真に最強の怪獣は誰がなんと言おうとガメラである。
きっと、うまくいく
次に観たのは、人生初のインド映画「きっと、うまくいく」。超難関理系大学「ICE」を舞台に、型破りな自由人ランチョーと本当は写真家になりたいハルファーン、心配性の苦学生ラージュ―の「三馬鹿」が、競争の激しいキャンパスでエリートエンジニアを目指しつつ珍騒動を巻き起こしていく。爽快なコメディでありながら、物語の根底には、インドの若者の心身を蝕む学歴社会・競争社会への疑問がある。昨今「教育虐待」が問題になっている日本も決して他人事ではない。
▲目に余るプラクティカル・ジョークもあるが、集団になった男子特有のお気楽さや阿呆さは微笑ましい。インド映画特有のご機嫌な歌とダンスも見もの
意地悪な見方をすれば「ご都合展開」ばかりが続くおめでたいストーリーだが、綿密に張り巡らされた伏線がその嫌味を感じさせない。登場人物も「愛すべきバカ」ばかりで、難しいこと抜きに彼らの幸福を祝福できた。観る人に悲しい涙を流させるのではなく、嬉しい涙を流させる良い作品である。
スターリンの葬送狂騒曲
歴史ものの「スターリンの葬送狂騒曲」も観た。スターリンの急死によって引き起こされたソ連内の権力闘争を描いた作品で、ジャンルは「コメディ、ドラマ、歴史」となっている。しかし「コメディ」というのは大嘘で、その実態は粛清と裏切りに満ちた背筋の凍るホラー作品だ。流血シーンは僅かだが、躊躇なく響く銃声によってソ連が人の命をどう扱ったかを思い知らされる。「おそロシア」とは何かを知りたい人は観ておいて損はないだろう。
▲登場人物の9割が色彩に欠けたヒステリックなオジサンなので、顔と名前を一致させるのに非常に苦労した
誰が椅子取りゲームの勝者となったのか、その勝者がどんな末路を辿ったのかは周知の事実である。東相模の武将・三浦義同が討ち死にの折に詠んだ「討つものも 討たれるものも 土器よ くだけて後は もとの土くれ」という辞世の句を思い出し、なんとなく世の無常を感じた。
パピータイム
最後に観た「パピータイム」は、コロコロしたさまざまな犬種の子犬が庭を駆け回るといった内容の作品。「かわいいワンちゃんが広いお庭を大冒険!一体どうなっちゃうのかな?」といったストーリーがあるのかと思いきや、本当に子犬が元気いっぱいに庭を駆け回るだけ(ときどき寝る)。それが59分続く。虚無である。
▲軽快な音楽をバックに、なんの懊悩もなさそうな子犬たちが庭を駆け回る。人の介入は一切ない。子猫版もあったらもっと幸せなのに……
BGMをなくして、子犬の鳴き声や足音、環境音などを入れてくれたらもっとリラックスして観られるのになぁ~と思った。とはいえ「癒しと可愛いの暴力」ともいえる動画なので、世俗の世知辛さに辟易した人はぜひ観て心をリフレッシュしてほしい。
「怪奇大作戦」と「ウルトラQ」も大好きなので、「Prime Video」で観られるようになったらとっても嬉しい。Amazonの人、よろしくお願いします。
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