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僕らがYouTube以外の場所を作る理由 -すべてのカルチャーは凝縮である-
日常と文化 -言葉の乖離-
今、日常を語る言葉と、社会や文化を語る言葉はばらばらのままべったりし
ています。
社会の変革や、社会正義の実現を期待する言葉が、生活に基づいておらず、逆に日常を重んじる言葉が、多くの人をつなぎ合わせるための文化や政治に結びつかない。社会を語る言葉はソーシャルメディア上で空回り、「文化・カルチャー」という言葉は空疎に響いて忌避される状況にある。一方で、日常を語る言葉はいとも簡単に行き詰まって、自家中毒を起こしている。にもかかわらず、日常の表現と社会の表現はねばつきをもって隣り合っており、躍動感を損なっている。日常と社会は、生活と文化は、緊密に連動してこそ面白くなるのに。
というか、すべての面白いものは二つ以上の世界が凝縮されてできています。一つの表現が、100年前の過去と、100年後の未来と、その中間の全てを物語ることもある。天国と地獄を同時に同じ場所に存在させることもある。複数性の凝縮がない限り、人の心も体も踊りません。しかし、それは二つの世界を一つにすることとは違う。個人の人生と社会の運営を安易に同一視することではない。確実に異なる世界が、異なるままに一つに凝縮されて現れる。文化にはそのような矛盾した凝縮が可能であり、社会正義や資本価値に甘えて延命しようとするものは文化と呼ぶに値しません。
だから、このnoteで僕たちは日常の言葉とカルチャーの言葉を、凝縮して発していきます。
YouTubeは多くの人がアクセスできる情報発信の場として動かしていますが、noteではより密度の高い場を目指していきます。
文化についての情報や批評が、みなさんの日々や、みなさんの過去や未来に結びつく場所を捉えていきます。
そこには、みなさんが今の社会状況の中で楽しく過ごすヒントもたくさん含まれます。
てけしゅんnoteは、日々の苦しみと戦い勝ちたい、この呪いに満ちた世界を心の底から楽しみたい、この世界がもっと豊かな歓びに触れられる場所だと信じたいと思っているすべての人に開かれています。
僕らが有料メンバーシップを選んだ理由 -濃度と距離-
そして、より密度の濃いコミュニケーションを、noteでは目指しています。
有料制のメンバーシップを採用するのには二つの理由があります。
一つは、コミュニケーションの濃度を上げるためです。
お金がコミュニケーションを阻害すると思うかもしれませんが、実際にはお金を介してこそコミュニケーションは転がっていきます。金という制度は、争いをやめない人類が、争いを止めるために発明したものではないでしょうか。僕たちは、コミュニケーションの運動を活発にするために、メンバーシップでの関係性を選びました。
僕たち二人がどのように生計を立てているのか、どのように時間を使っているのか、どのように情報を得ているのかといった話も生々しくしていきます。Twitter(X)でもYouTubeでも語れない、プライベートに近い言葉も共有していきます。
そうしたプライベートの言葉を、文化や社会を語る言葉と連動させていき、コミュニケーションの濃度を上げていきます。
もう一つに、言葉に適切な距離を与えるためです。
ソーシャルメディアで人々の言葉が噛み合わないのは、人々が言葉の距離感を失っているからです。
元々、テクストとして書かれた言葉は、手紙や書物のように遠くから時間をかけてやってくるものでした。それが届くまでの距離の遠さを感じて、人々はテクストに接していました。
今では幸福なことに、遠いところにいる複数の身体が時間差なくテクストを交わすことができます。それ故に、そのテクストに含まれるはずの距離の厚みを忘れてしまいます。遠い場所にいる、異なる環境に身を置いている二つの身体が同じ土俵でテクストを突き合わせた場合、環境の違いを擦り合わせる必要があります。しかし、時間差なしのテクスト交換では擦り合わせがすっ飛ばされます。言葉が噛み合わないのは自明のことです。
僕たちは、今の世界で言葉に距離の厚みを持たせるための方法として、金銭を介入させます。金銭を得るには時間を必要としますが、その時間が、距離の代わりになる可能性に賭けます。距離が想像できてはじめて、言葉から身体や魂を感じることができる。距離の遠さと近さを同時に想起させる凝縮された表現に、初めて魂は宿ります。濃密な交わりができるようになります。
僕たちの身体から、僕たちの魂から近い言葉を、みなさんと交歓できればと願っています。
(伏見瞬)
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