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兼業作家の時間術⓪私はどうやって地獄を脱したか

兼業作家はどうやって生きる(た)か


兼業の文筆家兼YouTuberはどうやって時間を作ってどうやって生活しているのか。どうやって生きてきたのか。

私は「てけしゅん音楽情報」というYouTubeを運営している「しゅん」こと伏見瞬と申します。「てけ」こと編集者の照沼健太くんと二人ではじめました。
「てけしゅん音楽情報」に関しては下の動画をご覧いただければと思いますが、ざっくり言うと「今の音楽がわかる」情報を発信しています。週5〜6本は配信しています。短い動画でも15分、長い動画になると60分を超えるものもあるので、かなりの時間と労力を使っています。

さらに、私は批評家として、音楽や映画に関する文章を書いたり、ラジオやPodcastやトークイベントで話したりしています。下記リンク先はその一部です。


そして、同時に私はYouTube出演・運営と批評家業と兼ねて、月〜金の日中に会社員として勤務しています。

なんでそんな生活ができているのか?どうやって生きているのか?どうやって生きてきたのか?

ここでは、「YouTuber」兼「批評家」兼「会社員」としての生活術・時間術を、連載で紹介していきます。同時に、私が生きていく上で感じてきたいくつもの苦難をどのように克服してきたかを、語っていきます。現在と過去をそれぞれ描くことで、立体的に役立つ話ができると思うからです。

私を構成する三つの捩れ


まず第0回は私の自己紹介です。いくらでも話すことはできるのですが、三つのポイントに絞ります。以下の三点には、私の捩れが表れています。


1.兼業作家(兼業YouTuber)であること

2.コミュニケーションが大変苦手であること

3.有名にならないと気が済まない人間であること

「1.」は先ほど話した通りですが、「2.」「3.」がとても大きなポイントです。
「2.」「3.」の組み合わせによってひどく苦しんできたし、同時にそれをアドバンテージに変えたとも言えます。

「コミュニケーションが大変苦手」は、YouTubeやトークイベントで話をしているのを見ると、意外に思われるかもしれません。でも、私は本当に他人との距離がわからない人間だったのです。だからたくさん悩んだし、たくさん苦しんできました。仲良くなりたい人たちが自分の前に楽しそうに歩いていて、自分は輪に入れずに一人でいる。向こうが私を敬遠していることは知っている。そんな状況で息が詰まりそうだったこともある。

何が苦しいって、自分の苦しみが他人のせいだと思えないことです。
迫害されるのも、自分のコミュニケーションのせいだとしか思えなかった。
そして、自分を責める原因の一つが、「有名にならないと気が済まない性格」という自覚があったからです。

「有名になりたい」=「健康になりたい」


私は、物心ついた時から「人気者でいたい」「有名になりたい」という気持ちを抱いていました。
なんでそうなったのかはわかりません。とにかく私は有名になりたかったし、今でもなりたいです。

でも「有名になりたいやつ」ってそれだけで嫌われそうじゃないですか?だから、自分の性格に大きな問題があるんだ、どんなに酷いことがあっても結局は自分が変わるしかないんだ。そう思ってきたし、性格を変えなきゃなと長い間思っていました。

でも、どっかのタイミングで気づきました。「あ、これは変わんないな」と。


私には、「有名ではない」「人気者ではない」という状況自体が苦痛でした。
そこそこのお金を稼いで、家庭生活を持続させる。あるいは自由気ままな生活を過ごす。私の会社の同僚が過ごしているような生活は、私にはどうしても耐えられないものだった。それほどの力には、逆らっても仕方ないなと思うようになりました。

多くの人から認知されて愛されるというファクターがないと、私自身になれない。そういう風にしか思えないのです。無名の人生は、私には健康に悪いのです。私は、健康のために有名になりたい。私にとっては、普通に生きることが有名になることなんです。

マジョリティの地獄から


私は、東京都に生まれた男性で、家族仲の良い中流家庭で育ち、私立の中高一貫校と国立大学を両親のお金で通いました。そして、日本の伝統的な会社で15年以上働いてきました。客観的に見れば恵まれた環境で生きてきたマジョリティ中のマジョリティです。属性で考えれば、マイノリティ要素がない。でも、私はひとりぼっちの、孤立していることの恥ずかしさをずっと抱いてきました。マジョリティ属性の人間の中でも、孤立や恥辱はいくらでもあります。25歳まで、私の日々は屈辱続きだった。地獄だと思った。屈辱の地獄から抜け出すことが、私の人生の全てでした。

私は健康になって、屈辱から抜け出すため、様々な努力をしてきました。そのための努力や工夫が、兼業生活を可能にしています。

捩れの中から知恵と工夫を


この連載では、「普通に生きること」=「有名になること」という捩れた感覚のなかでずっと生きてきた、屈辱感をバネに生きてきた人間による兼業生活の心得です。そこには、人生がツイストしているから出てくる知恵や工夫があるはずです。以前は、「ただ自分にとっての俗っぽい人生を歩んでいるだけ」として思えなかったのですが、色々な人を話しているうちに「自分の人生や性格は特殊事例として面白いのかもしれない」と思うようになりました。

「こんな変な、めんどくさい人間がいるんだな」と面白がってくれてもいいし、仕事や生活に役立つ教訓を見出してくれても構いません。

今の話半分、過去の話半分に続けていきますので、お付き合いいただければ幸いです。

よろしくお願いします!

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