一月一酒 第8回
初出:月刊ハンガリージャーナル 2005年1月号
Furmint 2003 – Lőcse Dűlő
醸造所:Béres Szőlőbirtok
地区名:Tokaji borvidék
Béresビーレシュというと、薬局でよく耳にする名前、Béres Cseppを思い浮かべる人が多いと思います。そう、偶然ではなく、同じビーレシュ家のワイナリーから、トカイ・フルミント2003を今月は紹介します。
ビーレシュ・ワイナリーは現在、10ヘクタールの畑でブドウを栽培していますが、90ヘクタールの土地をトカイ地方に所有しており、徐々に耕作面積を増やして、将来的には45-50ヘクタールのブドウ畑にする予定です。また、その敷地内には、醸造所と貯蔵蔵(ワイン・ピンツェ)を持つシャトーを建築する計画です。
ワイン愛好家が初めて味わうことのできるビーレシュ・ワイナリーのこのワインは、2003年産のものになります。同社の醸造所ではトカイ産ワインの全種類を生産中ですが、貴腐ワインとサモロドニは、もう少し待たねばなりません。
このフルミントはトカイ・ワイン地区の伝統的なブドウ品種(Furmint)から造られた辛口ワインで、どちらかというと収穫時期を遅くして、たいへん充実した果肉に育ったブドウの実を、ゼンプレーニ産オーク材の樽の中に仕込んで発酵・熟成させたものです。味わいを構成するのは、オークのように強靭なこく、オイリーな、少々バターを感じさせる風味、かつ活き活きとした酸味、などであり、これらが程好く調和しています。またアルコール度数は比較的高めになっています。
ボトルの中で美しい弧を描くこのフルミントは、まだまだ若く、長期間の熟成の可能性を秘めています。
食前酒として、あるいは冷たい前菜、魚料理、鶏肉、生クリームソースの料理などのお供に、お試しください。
原文:TŐZSÉR Róbert
訳文/画像:高久圭二郎
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