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一月一酒 第25回

初出:月刊ハンガリージャーナル 2006年7ー8月号

Egri Bikavér Selection, 2004
醸造所:Gróf Buttler Borászat
産地名:Egri borvidék

 2005年12月号以来、通算4回目の登場となるワイナリーGróf Buttler社について未読の方のために過去掲載分から転載します。
 同社は先祖代々エゲルに住むBukolyi家により1999年に歴史的人物バトラー伯爵の名を冠して創設されました。この新しい家族経営による醸造所の目標は、古き良き伝統と最新技術の効果的な結合により、最高品質のワインを生産することにあります。
 目標への第一歩を2000年に20haのブドウ畑で踏み出して後、2003年にも同規模の畑を拓きました。現在40haを超える同社所有のブドウ畑には、エゲル地区の中でも最良とされるSzarkás、Ráchegy、Kis-Eged、Nagy-Egedが含まれます。そしてそれぞれの畑にはエゲル地区に適したハンガリーとフランス原産種の厳選されたブドウが栽培されています。
 ブドウ栽培の行程中、第11回(2005年3月号)で紹介したような考え得る限りの技術が用いられ、最良のブドウが生産されます。そして細心の注意を払って醸造されたワインは、最高品質のバリク樽(オーク材の新樽)にて熟成されます(転載ここまで)。
 新発売の2004年産「牡牛の血Bikavér」はセレクションの名のとおりに厳選されたブドウから醸造された素晴らしいワインとなりました。
 濃縮されたルビーの紅い色を持つこのワインの香りの成分は、挙げると限がないほどです。クロフサスグリ、オオナワクロイチゴ、濃色サワーチェリー、コケモモ、干したプルーン、胡椒、シナモン、ヴァニラ、オレアンダー、スミレ、カカオ、ビターチョコレート、そしてオークの高貴な香りが複雑に絡み合い、しかしそれぞれ個別に感じられます。快活な酸味とタンニンのまろやかな味わいがエレガントな辛口ワインとしています。
 そのしっかりとしたボディーのおかげで長期熟成に耐える品質を誇るこのビカヴィールの飲み頃温度は18~19℃で、豚肉、羊肉、子牛肉、牛肉、ゲーム(野生動物の肉)などの料理やハードタイプのチーズにたいへん良く合います。
 お飲みになられる前にデカンターを使えば、より早く豊かな香りが立ち上がることでしょう。
 
原文:Kindl Róbert
画像・訳文:高久圭二郎

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