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ロボットがいる生活の未来を河崎呈が語る


──LYDではロボット活用事業にも力をいれているとのことでしたが、具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?
ソフトバンクロボティクスが開発したコミュニケーションロボット「NAO」を活用して、「ロボチューバー」と題したYouTube動画を配信しています。人間と「NAO」が早口言葉対決をしてみたり、料理をしてみたり。さまざまな企画をしていますが、この活動の目的は、ロボット活用のイメージ喚起なんです。ソフトバンクロボティクスが販売している「Pepper」を飲食店やホテルの受付などのいろいろな場所で見かけることがあると思います。ただ、ほとんどの人は実際に利用したことはなかったり、電源が落ちていて機能していなかったりすることが多いのではないでしょうか。

その理由の一つは、ロボットを使う人たちに、ロボットが生活の一部になるビジョンが見えていないからだと思います。ドラえもんが実際にいたらどんなふうに遊びたいか。アニメや漫画を見たことがある人なら、きっと誰もが想像つくけれど、「NAO」や「Pepper」などのロボットが生活にどのように馴染んでいくかを、想像できない人が多いのだと思います。我々が行うロボチューバーの活動は、ロボットと暮らす近未来を、人々に想像してもらうための取り組みなんです。

──確かに、ドラえもんもそうですが、実際に他愛のない行動をしている映像を見ることで、イメージのしやすさが格段に上がりますよね。ロボットとの生活への解像度を上げて、興味を持つ機会をつくっていると。
「NAO」や「Pepper」は、もともと発達障害を持った子たちのトレーニングや、医療機関の研究のためにつくられました。しかし、私たちは教育現場でもこれらのロボットは活用できると思っています。具体的に言うと、自閉症やアスペルガー症候群、ADHDなどコミュニケーションを苦手としている子どもたちへの教育への活用です。ほかの子と比べると、「変わっている子」と思われがちな彼らのコミュニケーションを取る練習相手にロボットはなり得るのです。これはADHDである私自身の経験から感じていることです。


いまでは、ADHDやアスペルガー症候群が日本でも発達障害として診断されるようになって、苦手な部分がある人だと認知されるようになってきました。ただ、私が学生のころは、理解がいまより進んでおらず、すごく大変で。私も環境に馴染めず、中学校は不登校になってしまいました。だからこそ、私と同じ思いをさせないためにも、教育現場がそれらの障害も一つの個性であると捉えて、自身の才能を伸ばしていくための教育に変えていきたいと思っています。

──河﨑さん自身の原体験があったからこそ、いまのLYDの事業を手がけているわけなのですね。
とはいえ、「教育で世界を変えるぞ!」なんて大それたことは思っていませんが、「世界には面白いことがある」と気づくきっかけをLYDがつくっていきたいです。なにかに触れて感動したり、楽しいと感じたりする機会があれば、それがなにかのきっかけになるかもしれない。それだけで未来は大きく変わっていくと思うのです。この先、ロボットやAIなど新たなテクノロジーが、いま以上に社会に入り込んでいきます。そんな社会で、新しい可能性を見つける機会づくりとして、映像制作スキルやプログラミングスキル、ロボットを扱えるスキルは有効な領域なのではないでしょうか。

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