文字への編掛け
ここ最近(2022年2月)Twitterで文字に網掛けするとジャギって見えるというツイートを多く見かけたので投稿。これは数十年前のアナログレタッチの時代から言われていたことで、文字や罫線に網伏せすると「印刷された罫線や文字がかすれてみえる」とか「線がガタガタになっている」とか言われることが多かった。文字や罫線だけでなく斜めラインの塗りのエッジ部分などもよく指摘されていました。当時の印刷線数はほぼ175線で(今も主流ですが)少し目のいい人なら肉眼でも網点が確認できます。さらに当時無地網などを伏せている部分のスクリーンチントは150線が主でしたから尚更網点が目立ちました。問い合わせに対してお客様に「4色に分解されて作成したフィルムを網点同士が干渉しないように角度を変えて‥その時角度と網点が干渉しあって‥」など説明をよくしていました。なかなか理解されませんでしたけど。当時の僕は45度に振られた網角度が一番見た目が綺麗なので、文字はともかく平網のあみ伏せを行うときに水平垂直になる部分に対して、濃い色(Y版は別です)を45度基準に角度を振り分けてスクリーンチントを貼り込んでいました。(以前の記事)
デジタルに移行してからのものですが、下はイメージセッターから出力されたフィルムを撮影したもの。
見え方の参考として手元に良い資料がなかったので、イラストレーターで擬似的に50%の網点を作成して12ポイントの文字に適用させてみました。青字はそれぞれの線数と角度。
罫線や円弧などについても同様ですが、線数や線幅についてデザイナーのための印刷研究所様が記事で詳しく書かれています。罫線での網点の干渉による見え方は塗り部分であっても角度のついたエッジ部分などでは同じような見え方になります。
以上のような事を回避するために網点部分を特色使用や100%のべたに変更できればいいのですがなかなかそうもいかないと思います。文字のかすれや線のジャギーがすこしでも目立たないようになる方法として
単色なら網点スクリーン角度を45度にする。(見え方がマシになる)
印刷線数を細かくする。(網点の欠けを目立たなくする、減らす)
FMスクリーンを使う(ランダムな網点配置によって網点の欠落を避ける。さらにFMスクリーンの20μだとAMスクリーンの400線相当になります)
印刷会社的にはこんな対応でしょうか。ただ印刷会社それぞれでの対応できる線数、価格などの問題もあると思いますので相談の上決めていただくことになると思います。デザインやイメージを変更可能ならば、
網点濃度を濃くする。もちろん100%が一番。(理論上50%を境界として網点が繋がったり離れたりします)網点がまばらになっている方ががたつきが目立つので、網点同士がつながる60%以上の濃度にした方が見た目はマシになると思います。
文字のウエイトを太くまたは大きくする。(網点が少しでも欠けないように)
以上色々書いてきましたが、そもそもデジタルデータが印刷物になるまでにどういう工程が行われているか理解していただくことが大前提になります。あくまで参考として書きました。できる事とできない事を印刷会社と打ち合わせ相談され、必要に応じて本機校正など確認の上進めていただくのが良いと思います。