登山・アウトドアでの応急手当:切り傷・擦り傷・刺し傷への対処法
山で会ったらこんにちは!低山ハイカー英武ゆうです!
今回は、山での活動中に遭遇する可能性のある怪我への応急手当について、特に一般的な切り傷、擦り傷、刺し傷を中心にお話ししていきます。私自身も知識が不確かな部分があり、この機会に学び直したいと思います。
応急手当の大原則:自分の安全を第一に
まず最も重要な原則をお話しします。野外活動中、同行者が怪我をしたり具合が悪くなったりした場合、とっさに助けようとするのが人情です。しかし、ここで最も重要なのは、救助者である自分自身の安全確保です。
例えば、危険な場所に落ちた同行者を助けようとして、自分も同じ状況に陥ってしまっては、1名の要救助者が2名に増えてしまいます。また、出血している人を助けようとして直接触れることで、感染症のリスクにさらされる可能性もあります。時には相手が開示したくない健康情報を知ることになってしまい、両者が心理的な負担を抱えることにもなりかねません。
応急手当に必要な基本装備
ファーストエイドキットには、以下のものを常備しておくことをお勧めします:
使い捨て手袋(感染症予防用)
ガーゼ
止血・傷口保護用品
清潔な水
特に水は重要で、スポーツドリンクだけでなく、純粋な水も必ず携行することをお勧めします。必要に応じて粉末スポーツドリンクで調整すれば十分です。
切り傷への対応
切り傷の処置で最初にすべきことは、怪我をした人を落ち着かせることです。処置の内容を説明し、安心感を与えることで、処置を行う側も冷静に対応できます。
まず傷口が汚れている場合は水で洗浄します。次に出血の様子を確認します。じわじわと出血する場合は静脈性、勢いよく噴き出すような出血は動脈性です。特に動脈性の出血は深部の損傷である可能性が高く、医療機関での処置が必要になる場合があります。
圧迫止血を行う際は、感染予防のため手袋をして、ガーゼを患部に当てて圧迫します。この時、親指は感覚が鈍いので、人差し指、中指、薬指を使って圧迫するのが効果的です。必要に応じて両手を使っても構いません。
圧迫止血が効果的な理由
圧迫止血が効果的な理由は、体の自然な止血メカニズムを助けるためです。通常、怪我をすると血小板が傷口に集まり、それを固めようとします。さらにトロンビンという物質が血小板の働きを強め、フィブリンという繊維状のタンパク質が傷口を覆います。しかし、出血が続くと血小板が流されてしまうため、圧迫によって一時的に出血を抑え、この自然な止血過程を助けるのです。
擦り傷の新しい処置法
擦り傷の処置については、従来の常識が変わってきています。以前は消毒液の使用が一般的でしたが、最近の研究では必ずしも良い方法ではないことが分かってきました。消毒液は有害な細菌だけでなく、傷の治癒に必要な細胞にも影響を与えてしまうためです。
代わりに推奨されているのが、キズパワーパッドのような被覆材の使用です。これは傷口から分泌される治癒に必要な液体を保持し、表皮細胞の再生を助ける働きがあります。現代の傷の処置は「消毒しない、乾燥させない」が基本となっています。
刺し傷の対処法
枝などが刺さった場合、最も重要なのは抜かないことです。私自身、過去に小さな木片が刺さった際に知識がなく抜いてしまいましたが、これは適切ではありません。刺さったものは一種の栓となって出血を防いでいる可能性があり、野外で抜いてしまうと適切な処置が困難になります。
代わりに以下の手順で対応します:
怪我をした人を落ち着かせ、これから行う処置を説明する
刺さったものが長すぎる場合は、可能であれば短く切る(無理な場合は省略)
ガーゼや包帯で動かないように固定する
そのまま下山し、医療機関で処置を受ける
より詳しい応急手当については、YouTube「低山ハイカー英武ゆう」チャンネルでご紹介していますので、ぜひチャンネル登録をお願いします。みなさんと山でお会いできる日を楽しみにしています!