登山中のうっとうしい小さい虫たちへの対策
こんにちは、低山ハイカー英武ゆうです!
登山中、私たちを悩ませる小さな虫たち。蚊の存在は誰もが知っていますが、山には他にもたくさんのうっとうしい虫がいます。今回は、ユスリカ、目まとい、ブユ(ブヨ)という3種類の虫について、その特徴と対策をご紹介します。
ユスリカ:空中の柱を作る不思議な虫
遠くから見ると、黒い柱のように見える虫の群れ。これがユスリカです。名前の由来は、幼虫の時に体を揺らすような動きをすることから付いたと言われています。
実は、この柱状の群れはオスだけで形成されています。ユスリカのオスたちは、メスにアピールするために集団で飛んでいるのです。メスは単独で行動し、この「虫の柱」を見つけると、その中から相手を見つけます。
興味深いことに、ほとんどのユスリカは口が退化していて食事ができません。そのため寿命は数日と短く、人を刺すこともありません。日本には2000種類ほどのユスリカがいると言われていますが、基本的に無害です。ただし、大量の死骸が人によってはアレルギー源となる場合もあります。
目まとい:顔の周りを飛び回る厄介者
「目まとい」という名前は、文字通り目の周りをまとわりつく虫という意味です。これは特定の種類を指すわけではなく、人の顔の周りを飛び回る虫の総称です。主に貝殻モンカバエ(黒目まとい)とショウジョウバエ(斑目まとい)の2種類が知られています。
なぜ顔の周りを飛ぶのか、その正確な理由は分かっていません。涙に含まれる栄養を求めているという説もありますが、単なる偶然という見方もあります。ショウジョウバエの場合は、赤色を好んだり、整髪料や化粧品の香りに引き寄せられている可能性があるそうです。
余談ですが、2017年に山梨県の高校生が興味深い発見をしました。青い光を当てることでショウジョウバエの細胞が自滅する「アポトーシス」という現象を引き起こすことを突き止めたのです。しかし、命あるものですので、できれば追い払う程度の対策で十分でしょう。
ブユ:見た目以上に要注意な吸血虫
ブユは地域によって呼び方が異なり、関東では「ブヨ」、関西では「ブト」、東北では「アブ」とも呼ばれています。これまでご紹介した虫たちと違い、ブユは実際に吸血する厄介な存在です。
普段は植物の蜜や花から栄養を得ているブユですが、メスは卵を産む時期になると動物の血液を必要とします。その方法が特徴的で、まず皮膚に麻酔をかけ、次に皮膚を噛みちぎるのです。麻酔のおかげで最初の痛みは少ないものの、その後のかゆみや痛みは個人差が大きく、半日から1日かけて症状が出てきます。
特に注意が必要なのは、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性があることです。一度刺されて体内に抗体ができると、次に刺された時に重篤な症状を引き起こす可能性があります。声のかすれ、呼吸困難、全身のじんましんなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
これらの虫から身を守るには
これらの虫への対策として、まず虫除けスプレーが思い浮かびますが、種類によって効果は異なります。ディートと忌避定形の2種類があり、ディートは効果範囲が広いものの小さな子供には使えず、忌避定形は安全性が高いものの効果範囲が限定的です。
登山者やキャンパーの間で特に信頼が厚いのがハッカ油スプレーです。ハッカ(ペパーミント系の植物)から抽出したこの精油は、虫が本能的に避ける強い香りを持っています。効果時間は1時間程度と短いものの、確実な効果があります。
また、フェイスガードなどの被り物も効果的です。特に女性は日焼け防止も兼ねて使用することが多く、最近では男性の使用も増えています。私も夏場はサングラスとフェイスガードを使用していますが、虫除けだけでなく、蜘蛛の巣に顔を突っ込んでしまった時の精神的ダメージも軽減できる一石二鳥の対策です。
それでは、また他の記事でお会いしましょう!
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