ダウンジャケットの選び方徹底解説:フィルパワーからダウン率まで
山で会ったらこんにちは!低山ハイカー英武ゆうです!
寒い季節の登山に欠かせないダウンジャケット。「フィルパワー」や「ダウン率」など、商品を選ぶ際に目にする専門用語の意味を知っているようで、実は曖昧に理解している方も多いのではないでしょうか。今回は、ダウンジャケットの温かさの秘密から、賢い選び方まで、詳しくご紹介していきます。
ダウンが暖かい理由:空気の力を利用する
ダウンジャケットが暖かい理由、それは空気の層を作り出すからです。実は、空気は熱を伝えにくい特徴を持っています。具体的な数値で見てみましょう。
熱伝導率(熱を伝えやすさ)を比較すると、夏の衣類でよく使用される麻やレーヨンは熱を伝えやすく、反対に毛糸やナイロンは熱を伝えにくい性質があります。そして空気は、これらの素材と比べても段違いに熱を伝えにくいのです。例えば、ナイロンの熱伝導率が0.38なのに対し、空気はわずか0.0241。この特性を活かしているのが、ダウンジャケットなのです。
ダウンとフェザー:それぞれの役割
ダウンジャケットには、「ダウン」と「フェザー」という2種類の羽毛が使われています。ダウンは鳥の胸元にある柔らかな羽毛で、タンポポの綿毛のようなふわふわした形状をしています。一方、フェザーは一般的にイメージする羽のような形状です。
空気を溜め込む能力は、形状的にダウンの方が優れています。では、なぜフェザーも使用するのでしょうか。それは、ダウンだけだと柔らかすぎて型崩れしやすいため。フェザーには形状を安定させる役割があるのです。
フィルパワーの正体
商品選びで重要な指標となる「フィルパワー」。これは、日本繊維製品品質技術センターによると、羽毛のかさ高を表す単位です。具体的には、30グラムの羽毛がどれだけの体積に膨らむかを示しています。
同じ重さの羽毛でも、フィルパワーの数値が高いものほど膨らみが大きく、より多くの空気を溜め込むことができます。つまり、同じ重さであれば、フィルパワーの高い方が暖かいということです。
暖かさを計算する
ダウンジャケットの暖かさは、「フィルパワー×重さ×ダウン率」で概算することができます。例えば、モンベルの製品で比較してみると、興味深い結果が見えてきます。
プラズマ1000ダウンジャケット(フィルパワー1000、重さ130g、ダウン率95%)と、スペリオダウンジャケット(フィルパワー800、重さ188g、ダウン率90%)では、計算上の暖かさに大きな差はありません。しかし、ライトアルパインダウンジャケット(フィルパワー800、重さ312g、ダウン率90%)は、他の2つと比べてかなり高い保温性を示しています。
メーカーの工夫
各メーカーは、より暖かいダウンジャケットを作るためにさまざまな工夫を凝らしています。
防風素材の使用で外からの冷たい風を防ぐ
防滴素材で水濡れによる性能低下を防止
透湿性素材で体からの蒸気を逃がす
独自のキルティングパターンでコールドスポット(冷たい部分)を減らす
ダウン自体への撥水加工
特にキルティング(縫い目)の工夬は重要です。縫い目の部分は熱が逃げやすいため、必要最小限の縫い目で保温効果を高めながら、軽量化も実現している製品もあります。
こうした知識を参考に、自分の用途に合った最適なダウンジャケットを選んでいただければと思います。
より詳しい登山装備の選び方や活用法は、YouTube「低山ハイカー英武ゆう」チャンネルでご紹介していますので、ぜひチャンネル登録をお願いします。みなさんと山でお会いできる日を楽しみにしています!
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