【登山豆知識】「○○合目」の由来とは?富士山から始まった合目の興味深い歴史
山で会ったらこんにちはー!低山ハイカー英武ゆうです!今回は、登山でよく耳にする「○○合目」という表現の意味や歴史について、詳しくご紹介していきます。
合目の基本的な意味
登山で使われる「○○合目」について、よくある勘違いとして「高さを表す単位」と思われがちですが、実は登山口から山頂までを等分割した単位のことを指します。この表現は特に富士山の登山に関連して広く知られるようになりました。
合目の由来に関する諸説
お米説
最も興味深い説の一つが、お米を数える単位の「合」に関連しているというものです。この説には二つの解釈があり、一つは富士山の形がお米に似ているということ、もう一つは登山者がお米を1粒ずつ落としながら登り、1合なくなったところを1合目としたという説です。ただし、「もったいない」を重んじる日本の文化を考えると、後者はやや説得力に欠けるかもしれません。
その他の説
夜間登山で使用する油が1合なくなる地点を1合目とした説
山に登る行為の宗教的意味合いから、文語の「合」が「合目」に変化したという説
富士山を登る苦しさを人生の苦難に見立てたという説
十界と富士山の関係
合目の由来として特に興味深いのが、仏教の「十界」との関連性です。十界とは、迷いと悟りを10段階に分けた概念で、以下のような状態を表します:
地獄界:恐怖に囲まれた状態
餓鬼界:欲望に固執する状態
畜生界:動物的本能のままの状態
修羅界:武力で解決を目指す状態
人間界:平常心の状態
天上界:喜びを感じる状態
声聞界:仏法を学ぶ状態
縁覚界:自的な悟りに至った状態
菩薩界:仏の使いとして行動する状態
仏界:悟りを開いた状態
富士山と修験道の関係
富士山には「荒神」信仰という、仏教や神道、民間信仰が混ざり合った独特の信仰形態があります。この庚申信仰は仏教の十界とも関連があり、これが合目の成立に影響を与えた可能性が指摘されています。
富士山登山の歴史的変遷
8世紀まで
この時期は人々は山に登らず、下から山頂を崇拝するスタイルでした。当時は噴火も活発で、300年に1回程度の頻度で噴火していたとされています。
12世紀
修験者たちが富士山を神仏の住処として、修行の場として登り始めました。
14世紀
一般の人々にも富士山信仰のブームが訪れ、ガイド業なども発展し始めます。
17世紀
富士山は生命の源として考えられ、登山だけでなく周辺を巡るツアーも人気を集めました。
19世紀
神道の要素が強まり、山中の仏像が撤去される一方で、女性の登山も解禁されました。
20世紀
完全な観光地として確立し、海外からも多くの登山者が訪れるようになりました。
全国への広がり
富士山で始まった合目表示は、その後全国の山々にも広がっていきました。その理由として以下が挙げられます:
歴史的背景:富士山の影響力と巡礼文化の広がり
実用的な理由:登山者の位置把握や安全管理の必要性
観光の普及:一般観光客向けの目安としての有用性
このように、合目表示は単なる距離の目安以上に、日本の山岳信仰や文化と深く結びついた独特の表現方法として発展してきました。
より詳しい解説は、YouTube「低山ハイカー英武ゆう」チャンネルでご紹介していますので、ぜひチャンネル登録をお願いします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?