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日本国憲法第四十四条

両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

穏やかな年末を過ごしている。
久し振りの連休。学校も休みに入り丸2日本当に何もない日。昨日は世間のムード云々は全くお構いなしに、ただダラダラと過ごした。
暖かい部屋の中で数年前に放送されて大好きだったドラマの配信を見たり、適当な時間に起きて気まぐれにピザを食べたり、取り敢えずコンビニまで行ってケーキを買ったりしていた。

23日の深夜、彼の部屋で鍋をしてひたすら酒を煽り、二人ともいつもは飲まないワインを開けてみたりした。今ここでちゃんと思い出して書き留めておかないと、きっと明日には忘れてしまうくらい既に曖昧な記憶になっているが、確かにきちんと、将来の話をした。そして私よりずっと、彼の方がきちんと考えていることを知った。
そういうことを都度ちゃんと話していきたい、有耶無耶にしておくつもりはないと、酔っているにしては真面目な顔でそう言われた。当然結婚というワードも、しっかりと鼓膜から脳内に辿り着いた。

嬉しかったのか驚いたのか、はたまたワインの影響か定かではないが、涙が溢れて止まらなかった。こんなベタなことで泣いてしまう、乙女チックな部分があるんだなと内心では自嘲気味に笑っていた。




今日は昼から仕事だった彼を見送り、私は六本木へと向かった。ずっと見たかった内藤礼の個展が開催されており、最終日の前日である今日やっと行くことができた。
恐らくクリスマスの六本木の中で最も人がいないであろう小さなギャラリーだった。明るい日差しが入る窓際に、キャンパスが3つイーゼルの上に置かれていた。ごく薄く描かれた赤いそれは、あまりにも儚くて胸の奥をざわつかせた。今この瞬間に、ここにいる意味があるんだなと、ぼんやり思いながらその小さなギャラリーを後にした。

2ヶ月以上前から、我が家のキッチンの水栓はポタポタと水が漏れている。しばらく放っておいたが、年内に片付けておくかと修理を頼んだ。今日の夕方業者が来ることになっており、それまで少し時間があったため六本木駅から電車に乗る直前に遅めの昼食を取ることにした。
「寿司御膳」という、あまりにも心ときめくワードが目に入り、迷わず入店。地下に続く階段を降りると、厳かな入り口の奥にはちゃんと高級店の空気が漂っていた。しかし昼のメニューは私にも手が届く2000円以下という値段。着物の女性に案内されるがまま、怯まず席に着いた。

暫くすると目の前に素晴らしい景色が現れた。寿司、天ぷら、茶碗蒸しと、煌びやかな料理が並び、興奮は最高潮に達した。先日‟おひとりさま”について書いたばかりだが、そんなことお構いなし。休日のちょっと豪華なランチほど贅沢なものはない。
自分だけの時間。自分のためだけの時間。飲酒をしなかっただけ偉いと思いたい。




彼のことをまだ、何も知らない。仕事とか収入とか、そういうことを気にしているみたいだけど、そんなことは別にどうでもいいと思っている。だけど未だに性差の溝は深く、それを言うことが男性のプライドをどれだけ傷つけるかも分かっている。
結婚を強く望んでいた時期は、偉そうに結婚相手に色々なものを求めていたけれど、今なら恥ずかしげもなく言える。一緒にいたい、それだけだ。
上手くいけば私は約一年後には国家資格所持者になり、安定した就職先も得られているはずだけど、それが彼にとって結婚を踏み切る条件にはならない。分かっている、分かっているけれど、それでも一つの安心材料になればとも思う。

大丈夫、人一人くらい養えますから、と男前なことを言ってもどうにもならない。それでも、また来年のクリスマスも一緒にワインを開けてカーペットの上で寝たいのだ。




キッチンの水栓は無事に直り、今年の内にやらなければならないことを一つ片づけた。ついでにずっと続いていた手首と指の痛みの正体を知るために整形外科に行き、腱鞘炎が発覚した。勉強のせいか仕事のせいかはたまた憲法のせいかは分からない。大晦日も元日も会社に行くけれど、腱鞘炎を言い訳にそこそこでやっていこう。
さて今日のテーマと今日の内容、どこがリンクしていたのか分かった人がいたら凄い。もうそんな程度だけど、別にこれだって自分のためにやっているからいいのだ。言い訳ばかり。そんな年の瀬。

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