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日本国憲法第三十四条

何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

「家庭は糧にもなるけど枷にもなる」と無意識に韻を踏んで「何上手いこと言ってるんですかね」と笑い合ったのは昨日の昼休み。家族を持ったこともないのに何を偉そうにとも思ったが、彼の話を聞いていると本当にそう思ってしまった。




ここ最近思考が停止しまくってnoteを開けずにいた。
新しい職場で働き始めて丸3ヶ月。自分の働きやすい環境を作ることばかり意識していたら、知らず知らずのうちに心地良い人とばかり一緒に居るようになった。
仕事に対する姿勢、向いている方向。男女の差ではないかも知れないけれど、3年以上男社会で揉まれていたため割と男性チームの働き方に共感していて、もちろん女性チームと仕事をすることもあるからそれなりに関わることもあるけれど、考え方については1ミリも同調できない。
そこを敏感に察知した30代の女性社員が、チクチクと攻撃を仕掛けてくるようになった。彼女の側近である母親の年齢くらいの人がフォローなのか何なのか、「思ったこと何でも言っちゃうタイプなんだよ」とわざわざ言いに来てくれたが、果たしてそれは社会人として許されるのだろうかと一日モヤモヤしていた。

勝ち負けではないのは分かっている。だけど、心の中にある私の「勝てる」という気持ちを汲み取ってしまったのだろうなと思う。感情や機嫌、体調に左右され、毎日派遣社員たちに顔色を窺われている彼女を見て、やや哀れんだ顔をしてしまっていたのがバレたのだろうか。
仕事の出来不出来は時間や慣れの問題もあるからそれは一旦差し置くが、気持ちの安定に関して、これは実際の話ではなく“どう見られるか、見られたいか”の話にはなるけれど、彼女より遥かに勝っている自信がある。毎日同じテンションで出勤し、はしゃぐことも落ち込むこともせず淡々と仕事をこなしている。時にはミスをすることもあるけれど、それなりに落ち着いて対処し、元の状態まで戻す。




自分のことを仕事ができるとは思っていない。だからローテンションだけど謙虚に、真面目っぽく振る舞っているつもりだ。
恐らく、彼女の傍若無人っぷりは自信の表れなのだろう。何をしても許されると思っているし、どんな発言をしても嫌われないと思っているし、自分が正しいと思って疑わない。わざと「自分はダメな人間」と大きな声で言うのも、「そんなことないよ」待ちなのが見ていてよく分かり恥ずかしくなる。

私のことも自分の手下だと、従順な部下だと思っていたのだろう。それはそうだ。彼女に限らず、そういう風に見られるように振る舞っていたから。
だけど、徐々に仕事を覚え頼ることが少なくなったここ最近、私が私の考えで動くことや男性チームの元で動いているのが癪なのだろうと感じる。いつまでも庇護される存在で居て欲しい、囲っていたいと思っていたのだろう。
やっと本題に戻ってきた。これは、「拘禁」である。

それなりの給料を貰っているのだから、同じ時間働くのであれば責任を持って効率よく仕事をしたいと思っている。せっかくなら求められる人間になりたいし、感謝もされたい。感情で働いている訳でも、好き嫌いで仕事を選んでいる訳でもない。
その結果が「チクチク攻撃をされる」ということならば、もう仕方ないと思う。

別に庇う義理もないが嫌いになるほど彼女に興味もないため、客観的に彼女の気持ちを考えると、まあそういう発言が出るのも分からなくはない。私は絶対にしないけれど、そんな風に思う彼女の感情も理解できる。
自分の知らないところで事が動いていることを無視されていると感じてイライラするのは、自分より下の人間だと思って囲ってきた人たちがいつの間にかその部屋を飛び出してスタスタ歩いているのを見るのが嫌だから。いつまでもヨチヨチ歩きで居て欲しい、頼られたい、と思うから。
人間としては素直すぎる感情で、ある意味羨ましいとすら感じる。こんなに自信に満ち溢れた人間に、どう頑張っても私はなれない。




それでもそれなりに日々仕事をしている。持ち前の落ち着きと動じなさで、恐らく彼女にとっては面白くない態度なのだろうが変わらず黙々と仕事をし続ける。
ただ、昼休みに男性の同僚と冒頭のような会話をして息抜きをしている時間がほっとするのも確かだ。あの会話が果たして「ほっとする」類なのかどうかは私にも分からないが。

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