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日本国憲法第二条

皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範 の定めるところにより、これを継承する。

映画が始まるまであと一時間。開始時間まで夕飯を食べながら時間を潰そうと、TOHOシネマズ新宿の付近をウロウロしてみたが、風俗の無料案内所やラブホテルばかりが目に入り歩いても歩いてもそのカオスな風景から抜け出すことができない。
美しいと形容できるほど煌びやかな東京の街。恐らく外国人観光客ならば写真を撮っていただろうが、残念ながら私は東京で働き東京で暮らしていて、その混沌とした光景はもう見飽きている。

仕事中も、頭のどこかに憲法のことがあり今日はとんなことを書こうかと考えていた。やはり多少の参考文献が必要だろうと昨夜Kindleに憲法の解説書をダウンロードしたが、生憎まだ1ページも読んでいない。取り敢えずもう少し、自分なりに書いてみる。
その結果、「天皇」と「無料案内所」とが同時に存在する歌舞伎町ばりに混沌とした文章が出来上がった。これは何だか良くない気がするぞ。


今日唯一引っかかったのは「世襲」という言葉だ。これまでも、きっとこれからも縁のない言葉。だけど、私の脳内で微かにヒットした。
大学を卒業し、入社した会社の同期にその会社の社長の息子がいた。部署も配属先も異なっていたが、入社前に一週間泊まりがけで行われる新入社員研修で共に時間を過ごした。

顔はあまり覚えていない。ただ、穏やかで優しそうな雰囲気を纏った人だった。
それほど同期間の親睦を深める気もなかったが、グループワークで一緒に作業をしたりと、大勢の同期の中でも多少話せる方の人だった。彼も含め、同じグループの人たちでLINEの交換をしたが、結局入社後一度も連絡を取り合うことはなかった。


彼が亡くなった報せを聞いたのは、確か入社して半年が経ったあたりだった。理由も原因も分からなかったが、「社長の息子」という言葉だけが一人歩きして真偽不明の情報が錯綜していた。
研修以来、一度も会うことはなかった。電話やLINEのやりとりですら皆無だった。
ただただ驚き、ただただ悲しかった。

まだ22歳の彼の身に、何が起きたのか。知る由も知る術もなかった。知りたいという欲すらなかった。
社長の息子である前に、私たちにとっては「一緒に研修をした同期」だった。一人の若者がこの世を去った。その事実だけが、深く胸に突き刺さった。


「皇室典範」の意味が分からず調べてみたが、結局よく分からなかった。要するに皇室について定めた法律らしいが、存在の意義も意味も分からない。批判的な意味での「分からない」ではなく、本当に分からないのだ。
皇族に生まれたことも、大企業の社長の子どもとして育ったこともない。理解しようとも、理解できるとも思わない。
どんな一生を過ごし、どんな風に人生を終えるのだろう。彼の22年というあまりにも短い人生は、どんな時間だったのだろう。生まれる前から「世襲」することが決まっているというのは、どんな気持ちなのだろう。


今日の文章を振り返り、明日はもう少し身のある話をと決意した。映画を観終わったらKindleで池上彰の本を読みながら帰ろう。
まだまだ先は長いが、取り敢えずこの辺りで。
昨日より更に、憲法とは関係のない内容になってしまった。まあ、こんな日も。

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