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日本国憲法第七十一条

前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

突然のフォーブームが訪れている。これまで香辛料強めのアジア系の料理はあまり得意ではなかったが、セブンイレブンで見つけたインスタントのフォーを買って以来、殆ど毎日食べている。このタイミングで会社の近くにベトナム料理屋がオープンし、今日の昼はその店で念願の本格フォーを頂いた。
しかしこの店、彼と初めて外食をしたイタリアンのお店が潰れた跡地なため、一抹の寂しさは覚えた。互いに仕事を一時切り上げ、遅めの昼食に出て仕事中にも関わらず、あろうことが飲酒をしたあのお店。出会って、付き合って、まだ僅かなような気もしていたけれど一つの店がなくなるくらいの歴史はあったのか、と思うと感慨深い。

新しくできたベトナム料理屋のフォーは結構美味しかった。何せフォーブームが来たのがここ数日なため、何が良いフォーで何が良くないフォーかの判別が付かない。パクチーって好きな人と嫌いな人で分かれるよな、でも私はそんなに好きでも嫌いでもないな、なんてぼんやり考えながら900円にしてはまあまあの量がある目の前の牛肉フォーを眺めた。

食べ物の好き嫌いは殆どない。が、唯一苦手というか一切食べられないのが納豆だ。これが悔しくてたまらない。世の中に、“絶対に食べられない”ものがあるというのは、損得勘定ではないが何だか無性に腹立たしいのだ。
先日、テレビに納豆マニアの女性が出ていた。冷蔵庫には様々な種類の納豆が取り揃えてあり、斬新な食べ方や変わり種をたくさん紹介していた。
それを見て、やっぱり美味しそうとは思わなかったが、今年中に克服したいという気持ちが湧き上がってきた。大人になって苦手だった辛いものが食べられるようになったし、シソやミョウガなどの薬味も美味しいと感じられるようになった。あんなに嫌いだったワサビも、これなしでは寿司が食べられなくなるほどだ。
“あまり好きではないけれど食べられる”ものもたくさんある。だけど、やっぱり納豆だけは25年くらい口にしていなくて、嫌いな食べ物を聞かれたときに納豆です、と答えるのが恥ずかしかった。

齢28、今年こそ納豆を克服することを心に誓った。
フォーブームに続き、新たに納豆ブームが来て欲しいと微かに願っている。それまではセブンイレブンと会社の近くでフォーを食べ続ける。



真っ暗な部屋、二人並んで狭いシングルベッドに横になっていた。少し緊張しながら、卒業したら一緒に住みたいな、と言った。将来のことを話すときはいつもそれなりに勇気を振り絞る。
卒業してからじゃなくてもいいんじゃない、と彼は言った。何となくはぐらかされるか、曖昧な返事をされると思っていたから驚いた。驚きを隠しつつ、そうですよね、となるべく落ち着いたトーンで返した。
就職が決まって、働く場所が決まったら住むところも決められるでしょと言われ、明日にでも就職活動を始めて秒速で就職先を決めてやるという気になった。
当然私だけでなく、彼も仕事をしているし通いやすいに越したことはない。そうなってくると、一年後も今の仕事を続けているのか、同棲するにあたって親に挨拶をするのかなど気になることは次々出てくる。しかし矢継ぎ早に質問してもこの雰囲気が壊れてしまうと思い何とか昨夜は押し留めた。

結婚、その二文字はいつも脳内に浮かんでいる。ずっと一緒にいたいけれどいざ一緒に住んだらどうなるんだろうとか、家族になるってどういうことなんだろうとか、寡黙な父と過保護な母は一体どう思うんだろうとか、本気なのか悲しい未来を想像しての保険なのか分からないが不安な感情も渦巻く。それでももう、30年近く自分だけの人生を過ごしてきたのだからそろそろ誰かと一緒に歩く人生を選んでも良いのかも知れない。

今日は一人で寝る夜。つまらないからもう少し起きている。

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