人生を走れない
走ってはいけない環境にいるのが、もう8年になった。
私はいまだに床にラインを引いたり、大きいトラックを眺めたり、人の動きと物の動きを見続けている。
走る人を注意することが多いので(大学時代もそうだったんだけど)、公共の場、例えばデパートの中とかでも走る人がいると目で追ってしまうようになった。
とんでもない職業病だ。
困ったことは他にもある。急いでいるときでも走れないのだ。たとえ職場の外でも。
走れない私は、生き方もゆったり構えるようになってきた。
そもそも私は慎重な人間だ。
例えば、ボーリングをしているとき、投球のまえに考える時間が他人より長い。じっくり考えて、集中してスペアを取りに行く。
私は、適当にやることも多いけど、重要な決断には時間をかけてきた。
例えば指示出しのオファーを受けたときは、Debateを頑張ろうと意気込んでいた。
オファーの後に一度断った。説得を受けても五分五分だった。やるか、やらないか。
あのとき真剣にやるか、やらないかを考えていなければ、途中で挫折していただろう。
運命によってオファーがきて、慎重に考えて、それを引き受けた結果、わたしはそれまで持っていなかった精神力や度胸、指示を出す能力を得られたし、いまでもものの動きと人の動きを見ている。
私は、慎重に取り組むべき人なのだ。それを自分で理解しないといけない。
最近まわりの人たちが結婚しはじめた。私もいつかは結婚するだろう。
でも、焦ってはいけない。いまできることをしっかりやる。軽率に考えず、慎重に選ぶ必要がある。
他の人たちが走っていても、私はこの人生を走れない。どんどん抜いていいよ。
きっと追い越しにいくから。