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【連載小説 短篇予定】美の骨頂⑳Battle of Gotanda......生理が来ないのは未来がくる場合と何ごとも<ない>ばやいがある

 X・霧子さんはいわゆる尼僧であり、住居は徹底的に清潔に保たれていました。なので警察が来たときもそんなに大事には発展しませんでした。

 通報したのは、アホのおとうでした。

 おかあ、おじい、おばあ、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんの意見は「吾背子も、ゆっても成人してるし、つーか、こんなの普通ダロ」というものでした。

 しかしバカなおとうは、有りもしない門限の話を持ち出し、また、うちが陰キャで内弁慶であるにもかかわらずに、こんなこと(家に帰って来ないとゆーこと)は有り得ないと断じました。

 おとうはもう年をとって、若狭(わかさ)がわからなくなっているのでした。或いは忘れていたのです。

「わたし、ここに来て思ったさ、世界は首里だけじゃないって」と波之上水子さんは前に云っていました。

 人は、動かなくなると、あるいは砦(とりで)を築くとどんどん年をとります。悪いことではありません。うちたち若人はそのとりで(取手)を拠点にして遠征をするのですから。戦った・勝った・愛した。

 あなたには、帰る場所はありますか?

 うちにはあります。すくなくとも三つ。四つかな。だからこそこうして冒険の書を読むことができるのです。かきながら。

 とりまスマホでおとうと話して、警察の人にもかわって、おとうと警察のひとが話して、うちは晴れて釈放となりました。この日は文化の日でX・霧子さんもちょうど非番でした。

 うちらは府中まで足を伸ばし、ひがな馬が走るの見、合法的に金を賭けました。インターネット投票が全盛になっていましたがうちは折角競馬場にいるので現ナマでヤりました。ATМもあるので好都合でした。

 府中なのに何故かアルゼンチン共和国杯がこの日のメイン・レースでした。うちはモレイラ騎手のゼッフィーロを軸に、4、14、17で馬連を流しました。

 馬連というのは一位と二位を当てるもので、二位が一位でも、一位が二位でもかまいません。要するにゼッフィーロが二位以内にキテ、同時に4、14、17が二位以内にこれば金が増えるという計算です。

 うちはその日、1レースから10レースは2勝8敗。メイン・レースに賭ける思いはヤヴァ目でした。

 ファンファーレ。誰かの金が増え、また減る音。

 勿論、うちは天才馬券師の血を引くものとして、レースを獲りました。たいした金額ではありません。プラスをかぞえると、たったの8万円でした(笑)

 ロマンス・カーに乗り、小田原でちょっとした宴会をひらきました。

「兵糧攻めです、兵糧攻めです」

 と誰かが言っていました。

 民宿に泊まって、またそこでうちはX・霧子さんに犯されました。




 


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