【掌編400文字の宇宙】幼稚な動機
今度りうぼうに行ったら、まずは洗濯用洗剤を買いたい。あとは、何だろう。
濡れティッシュもかおう。あれ用の食器洗剤も毎日使うし。
しかし、この繰り返し、恒常性に何かの意味があるのか。
ローマの闘技場で人々が見たかったもの。家には平和を。闘技場では逆を。窮鼠猫を噛む。あるいは、圧倒的なねこが勝つ。どちらにしても、真剣なエネルギーの衝突が見たい。
核融合。不幸。墜落死自死。病。苦しみ。
理由は解らぬが、それらが見たいんです。どういうものかみておきたい。
水槽を覗くこども。
巨大な水族館。自然を模倣している。世界をそのままに再現してみたい。フレームのうちにおさめたい。理解したいし、手中においておきたい。
現実はそうじゃないから。ままならぬものだから。
再生したい。みんなを助けたい。それは叶わぬ大悲だから、せめてその静物画を描いておきたい。
生きとし生けるものがすべて笑顔になる瞬間を閉じ籠めたい。