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会いに行って 静流藤娘紀行

 藤枝静男を初めて読んだのは『空気頭』で、次に『田紳有楽』を読み、それから目につくものは読むようにした。藤枝静男については、親族の集まりで社会的に地位の高い親戚の叔父さんと二人になって話をすると、すごく真面目で真摯な話ぶりなのだがその内容が異様で、ふざけているのでも不謹慎でも悪意があるのでもなく、極めて変な話を真面目にする変な叔父さんという印象を持っている(いた)。笙野頼子を初めて読んだのはそれから少し後のことで、『水晶内制度』を読み、考え方や世界の見え方が変位変成する経験をした。それから目につくものは読むようにし、『金比羅』も読んで、作者本人には「ゆゆし」と「かしこし」を足して混ぜたような印象を持っている。親族の集まりのたとえでいうと、あの人、今何をしているのか誰もよくは知らない人、という印象がある(印象です)。

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