【連載小説 短篇予定】美の骨頂㉖要するに猫族との最終アルマゲドンになったのであります
猫というのは十年生きると化けるので、今帰仁のひいばあちゃんはじゅっさいのねこを頭陀袋に入れて物干しにつり、棒で滅茶苦茶にたたいてこれを死に至らしめたそうです。昭和二十年代。
これらの恨みつらみがつのって、猫族は反乱を起こしたのでした。都合よく、平成令和になると、猫の需要は右肩上がり、猫の権利も保証されていました。そして、そっからの急なクー(クーデター)なわけですから、人間に為す術はありません。
裏には糸を引くディープ・ステートがいると、トランプ大統領の息子はSNSで発信し、ペット・ショップ(ホスピタル)では猫の診察は取りやめとなりました。いまでは、ブラック・ジャックズとかフォー・カーズ、フルハウスと呼ばれる闇の動物医(無免許)が診察をしてくれますが、これもまたディープ・ステート側の人らと、普通の猫愛好家のばやいがあります。
那覇は現在ディープ・ステートにほとんどを占領され、ごく一部の地域が普通の場所でした。おとうとおかあはこの普通の場所に暮らしています。あとジャッキーもです。
ジャッキーは猫で弁ヶ岳出身、育ちは鳥堀と久米で現在十三歳です。ディープ・ステート猫ですが、食いしん坊なので人には反抗しません。一日三回餌を食べ、あとは寝ています。
ときどきおとうが噛まれますが、おとうはもともと猫語も話すので感染者なのかどうなのかわかりません。
となりのうどん屋の奥さんが猫愛好家で、フルハウスの副理事でジャッキーを検査したところ、ZZZ染色体というのが発見されました。奥さんはこれをSNSで発信し、どうも、このZZZ染色体が悪さをしているらしいということが科学的に証明されました。インドネシアの大学で。
というか、現在戦争は小康状態であり、結局南極実害らしいじつがいもないので「もういいんじゃね」というのが世の中の空気です。そもそも西洋では猫どころか人間どうしの戦争がここ二千年ほどつづいており、そっちのほうがヤバくね? とみんな思っていたわけです。
ちなみにいまのところアメリカとロシアとウクライナとインドではこの猫被害はありません。ほかは南極と北極をのぞいて被害がある、そうです。
うちはさいきん、撮影で那覇に滞在しました。
実家に泊まった日、
「あのにゃ、これは、はじまりにすぎにゃいのである」
とおとうが言いました。
ジャッキーが棚の上に飛び上がりました。そのときうちは見ました。棚のうえにのっているのではなく、ジャッキーは棚からニ十センチほど浮いていたのです!
本稿つづく