【連載小説】夏の恋☀️1991 シークレット・オブ・マイ・ライフ㊲
1991年7月18日(もくよう日 赤口)←日記に書いていた。というか日記。
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桃子の父親のアパートメントで、さけをのんだ。桃子はラム酒。おれは泡盛とか、JAZZIN(ジャズイン)をのんだ。JAZZIN(ジャズイン)て懐かしくないですか?
おれ、JAZZIN(ジャズイン)中毒みたいになってましたね。当時。なんかへんな味。あまり甘くない紅茶に、炭酸がはいってるんすよ。最初のんだときは「おえー」と思ったけど、二度三度となぜかのんで、それから完全にジャンキー。化。ウィリアム・バロウズ的な。一日、二三本のんでましたね。おれのまわりにも、亀とかタケキヨとか、つうかタケキヨっていたっけ。まあ、人気はそこそこあったとおもうんだけど。愛好者が、そこそこいた、みたいな。
しかしいつのまにやら販売されなくなった。なんで?
なんか、へんな成分が入っていたんじゃないかと、うたぐっている。それか市場の闇にのみこまれたのか。どっちかだね。
桃子はラム酒一本を37分ぐらいで飲み干して、つぎに、泡盛のボトルをのみだした。このひと、ビョーキなんじゃないかと思う。
中三のとき、修学旅行の打ち上げと称して、市営住宅の一室で、クラス会がひらかれた。らしい。らしいというのはおれは行ってないから。旅行から帰って、なんで酒をのまないといけないのか。疲れてるし。バカじゃねーの。
それで、クラスのなおなおという男が、急性アルコール中毒になって救急車で運ばれたらしい。
翌日、担任の先生、めいめいという女の先生が、ぽろぽろと涙をこぼして、命がたすかったのはよかったけど、あなたたちは酒ののみ方なんてわからないんだから、こういうことはもう、しないで。と言った。
なおなおはしばらくして、学校に来た。
なおなおの話はほかにもあるが、もう、いいや別に。
桃子は、ぜんぜん酔っ払っている感じがしない。こわ。うわばみじゃん。こういうひと、ほんとに居ますよ。
アル中で、だいたい早くしにます。早くといっても、70ぐらいまで生きることもあります。ずーっと酒をのんで。
あの、あれ、学校のまえの、定食屋のおじさんとか。
でかい薬缶にみずわりを入れて、茶碗でのみながら、働いているんですよ。がぶがぶ、がぶがぶがぶ。それでぜんぜん、しゃんとしている。
そういうひと、います。
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本稿つづく