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【連載小説】夏の恋☀️1991 シークレット・オブ・マイ・ライフ㊴

 1991年7月19日(金曜日 先勝)←日記に書いていた。というか日記ですこれ。

🌞

 あくる日(金よう)、おれは学校を休んだ。

「おい、おきろよ」

 と言って、桃子をゆすった。桃子はゆれる。息は、していない……いや、している。盛大に。ぐーぐー、ずーずー、鼾。息がくさい。

 起きない。

 午前8時45分。古くなったマットレスが、東向きの窓の光。クローゼットの扉に立てかけてある。たおして、上に寝た。きもちよい。床は、頭がゴツゴツして、寝にくい。

 右肩を下にして、からだをまるめて眠る桃子の首と、膝裏に腕を通してもちあげた。軽い。鳥の毛みたい。いや、普通に重い。

 アルゼンチンのようにして桃子をマットレスの上に放り落として、その背後から抱くようにして覆った。子どものにおいがする。まだ女にも男にもなっていないにおい。

 かぐと急にふら、ふらと眠くなって、おれも寝た。

 おれたちは、泣かないし、笑わない

 わたしたちは、似ている。くりそつ。

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本稿つづく 

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