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掌編400文字の宇宙

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掌編400文字。
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記事一覧

【掌編400文字の宇宙】ミッション・インポッシブル

 ベッド・ルーム。  女が男耳元で「ポッシブル?」と囁いている。男の肩に手をかけている。…

【掌編400文字の宇宙】小悪魔返歌

 素晴らしいお言葉、有難うございました。  わたしたちは、いま、旅立ちますが、その前に感…

【掌編400文字の宇宙】告朔餼羊

 月の初めの日に地域の公民館前で山羊汁がつくられて、ふるまわれる。現在のこの行事は持続が…

【掌編400文字の宇宙】団地の寡(67歳)

 朝ごはんはにゅうめんにした。急に食べたくなったからである。  普段は朝は食べない。昼は…

【掌編400文字の宇宙】リスボンの思い出

 リスボンに行ったことはないが幾つか思い出がある。  靴の行商人をやっていた。自分で作る…

【掌編400文字の宇宙】アリアナとスターバックス

 小生はスターバックス・ラテが好きなのでたまに行く。ラテしか頼まない。容量の大きさなども…

【掌編400文字の宇宙】老人と孤独な娘

 そのとき、突然、「Q町四丁目は何処でしょうか?」とひとりの娘が訪ねた。風呂敷包を持っていた。老人は咄嗟に口が言えなかった。 「さあ、……」と黙っていた。娘は黙礼して立去ったのだが、左足は跛であった。老人は「あっ。」と思わず息を呑んだ。跛のためか、不便であった。  そのうち、老人はQ町四丁目の一膳飯屋に寄った。いつも夕方に、ときどき飯屋に寄るのであった。アジが好きだった。見ると、そこに跛の娘が店に立働いていた。老人は娘の顔を見ていたが、娘は知らぬ顔をしていた。娘は老人に膳

【掌編400文字の宇宙】みんなシステムを作る側になりたい

 耕すのは疲れる、草抜きもめんどう。収穫、選定、出荷。だるい。  つーわけで肉体を動かす…

【掌編400文字の宇宙】出前姦

 ウーバー・イーツというのが流行している。というか定着しつつある。こういう商売は考えたも…

【掌編400文字の宇宙】「シャングリラ」外伝

 電気グルーヴに「シャングリラ」という曲がある。名曲である。  夢でキスキスキス キスキ…

【掌編400文字の宇宙】周縁からのまなざし

 岡目八目というのは、ちょっと辞書を引くのも面倒なので記憶で書くと、当事者よりも傍から見…

【掌編400文字の宇宙】倭国大乱

 最近の内戦は157年前(西暦1868年)に終わった。目覚ましい発展を遂げたが77年まえ…

【掌編400文字の宇宙】アラフィフ中学生

 母校の隣の隣の町にある中学校に入学した。義務教育はとっくに終えているので再入学である。…

【掌編400文字の宇宙】大失敗

 スタニスワフ・レムの『大失敗』という小説を読んだことがある。読むのが難儀な作品だった。  テーマは未知なる、異質な生命体との出会いである。レムの作品にはよく出てくる。というか、このテーマしか描いていないのではないか。レムは、なんで小説などを書いたのだろうというぐらい頭が良かったので、当時(東西冷戦)の状況に絶望していた。そのうち地球は滅亡するだろうと考えていたと思われる。その予言が当たるのかどうかはまだわからない。  本作は遠い星の探査の様子を描いており、科学的(当時想