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【読書記録】「桜の樹の下には」梶井基次郎

梶井基次郎の短編。「桜の樹の下には屍体が埋まってゐる!」の冒頭でお馴染み。美しいものは必ずおどろおどろしい惨劇を併せ持つという美学が強烈。

毎年国民を熱狂させるだけの美しさを説明するには、これだけの残酷なものがないと割りに合わないというのは妙に納得がいく。美しいものに醜態を見出す一見異質な美学だが、なぜか共感できるし、なぜか腑に落ちてしまう。おそらく桜を「現世に置いておくには過剰に美しいもの」として捉えていたからなのかもしれない。純粋すぎる美しさには、どうしてもそれをぶち壊す極悪な側面を見出さざるを得ないのだろう。

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