【行間を読む】畑「解析力学」p. 119 (点変換の正準変換での変数関係)
キーワード
正準変換
点変換
該当箇所
ここに、$${f^{-1}_i(Q,t)}$$は(7.46)式の$${f_i(q,t)}$$の逆関数、すなわち(7.46)を$${q}$$について解いて$${Q}$$で表したもの
$$
Q_i=f_i(q,t)\;\Rightarrow\;q_i=f^{-1}_i(Q,t)\qquad(7.69)
$$
である。母関数(7.68)の生成する正準変換(7.66)は$${\Phi_{点変換}}$$が生成する変換(7.48)と等価である。特に(7.66)の第2式から得られる
$$
P_i=\dfrac{∂f^{-1}_j(Q,t)}{∂Q_i}p_j\qquad(7.70)
$$
は(7.50)と同じものである。実際、逆関数の定義(7.69)の第2式の両辺を$${q_j}$$で微分することで
$$
M_{ij}=\dfrac{∂f_j^{-1}(Q,t)}{∂Q_i}\qquad(7.71)
$$
が導かれる。
疑問点
(7.71)及び(7.70)導出
解説
(7.69)第2式
$$
q_i=f^{-1}_i(Q,t)
$$
を$${q_j}$$で微分すると、
$$
\delta_{ij}=\dfrac{df_i^{-1}(Q,t)}{dq_j}=\dfrac{∂f_i^{-1}(Q,t)}{∂Q_k}\dfrac{∂Q_k}{∂q_j}
$$
となる。(7.49)を使ってKronecker deltaを分解すると
$$
\begin{array}{rcl}\delta_{ij}&=&\dfrac{∂f_k}{∂q_j}M_{ki}=\dfrac{∂Q_k}{∂q_j}M_{ki}\\&=&\dfrac{∂f_i^{-1}(Q,t)}{∂Q_k}\dfrac{∂Q_k}{∂q_j}\end{array}
$$
$$
\therefore\;\dfrac{∂Q_k}{∂q_j}M_{ki}=\dfrac{∂f_i^{-1}(Q,t)}{∂Q_k}\dfrac{∂Q_k}{∂q_j}\:———(*)
$$
これを$${{∂f_i^{-1}(Q,t)}/{∂Q_k}}$$の方程式と見做せば、$${{∂f_i^{-1}(Q,t)}/{∂Q_k}=M_{ki}}$$はこの解である。また、$${∂Q/∂q}$$は正則であるように定義している ($${f^{-1}}$$の存在がその最たる証拠) ので、(*) の方程式の解は一意に定まる。従って
$$
M_{ki}=\dfrac{∂f_i^{-1}(Q,t)}{∂Q_k}
$$
から(7.71)を得る。この両辺に$${p_i}$$をかけることで
$$
P_k=\dfrac{∂f_i^{-1}(Q,t)}{∂Q_k}p_i
$$
と、(7.70)と同じ形式が導かれる。