【行間を読む】砂川「理論電磁気学 第3版」p. 340 (ローレンツ変換における速度の取り扱い)
キーワード
ローレンツ変換
ローレンツ力
該当箇所
一方Lorentzの理論では、K系での一様な磁場$${\bm{B}=(0,0,B)}$$は、(4.42)によってK'系では
$$
E'_{y'}=--vB,\quad B'_{z'}=B_z=B
$$
となり、磁場$${B_z}$$とともに電場$${E'_{y'}}$$もあらわれる。従って点電荷に作用する力は
$$
\begin{array}{rcl}F'_{y'}&=&eE'_{y'}-e(\bm{v}\times\bm{B}')_{y'}\\&=&e(-vB)+evB=0\end{array}
$$
で、K系におけると同様に点電荷にはLorentzの力が作用せず、$${v}$$の速さで$${x'}$$軸の負方向への運動を続ける。
疑問点
K'系からみて電荷が$${-x}$$方向に動いているのであれば、$${E'_{y'}=-vB}$$の符号が逆ではないか。
解説
ここではK系からK'系にローレンツ変換したい。(4.42)の第1式
$$
\bm{E}'(\bm{x}',t)=\bm{E}(\bm{x},t)+\bm{v}\times\bm{B}
$$
における$${\bm{v}}$$は、ここではK系からみたK'の速度を表すので、$${+x}$$向きである。従って
$$
\bm{E}'=\bm{0}+\left(\begin{matrix}v\\0\\0\end{matrix}\right)\times\left(\begin{matrix}0\\0\\B\end{matrix}\right)=\left(\begin{matrix}0\\-vB\\0\end{matrix}\right)
$$
となる。