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【行間を読む】アールフォルス「複素解析」p. 18 (複素平面における半平面の表現)

キーワード

  • 解析幾何

  • 半平面

  • 複素平面上の直線

該当箇所

同様に、向きづけられた直線$${z=a+bt}$$は、$${\Im\:(z-a)/b<0}$$を満たす点の全体からなる右半平面を決め、$${z=a+bt}$$は、$${\Im\:(z-a)/b>0}$$により左半平面を決める。容易に、この右左の区別は直線の助変数表示の仕方によらないことがわかる。

注意

半平面の左右の区別

ここでの「左半平面」とは、直線の方向$${b}$$に向かって進む時に左手側となる平面を表すのであって、必ずしも実軸の負の無限大を含む方ではない。
このように定義することで、実軸に平行な直線についても分割する領域を「左右」で分けることができる一方で、直線の向き$${b}$$の符号によっては左右が逆転する。

助変数表示の任意性

助変数表示については本書第3章§2.1に以下の記述がある。

非減少関数$${t=\varphi(\tau)}$$が区間$${\alpha'\leq\tau\leq\beta'}$$を$${\alpha\leq t\leq\beta}$$の上へ写すとき、$${z=z(\varphi(\tau))}$$は$${z=z(t)}$$と同じ動きをする。最初の方程式は2番目の方程式から助変数の変換により与えられたという。

p.72 Ch.3 §2.1「曲線と閉曲線」強調原書

従って半平面の表示に助変数$${t}$$が現れなければ、「助変数表示の仕方によらない」という条件を達成することができる。

疑問点

  • この区別によって実際に「右左」の区別ができるか

解説

$${a}$$は直線の始点の位置ベクトルを表し、$${b}$$は直線の方向ベクトルを表すと解釈できる。これを図にすると下の通りである。

aは矢印の根元、zは左矢印の先を表し、bは右矢印の方向に相当する

$${z}$$を複素平面上任意の点にとり、$${b}$$の矢印から反時計回りに測った$${b}$$と$${\vec{az}}$$の間の角度$${\theta}$$は$${\arg\:(z-a)/b=\theta}$$を満たす。

「$${z}$$が左半平面にある」とは、$${0<\theta<\pi}$$を満たすこと、すなわち$${\Im\:(z-a)/b>0}$$と同値であることがわかる。逆に「$${z}$$が右半平面にある」とは、$${-\pi<\theta<0}$$を満たすこと、すなわち$${\Im\:(z-a)/b<0}$$と同値。

右左の区別は直線の助変数表示の仕方によらないことは、上の不等式に$${t}$$が現れないことから従う。

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