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全人類に知ってほしい、でも売れたらいいなんて思ってない。


「○○っぽい」「○○らしさ」という言葉は、ある事象について互いに共通のイメージをもちやすい便利な言葉だ。

だけどそれは、人によって感じ方も捉え方も幅があって、ピッタリと重ね合わせることはとてつもなく難しい。




ていねい通販の商品『boco to deco(ボコとデコ)』の新規広告マーケティングを担当する田村真帆(愛称:たむ)は、社外のビジネスパートナーさんとのやり取りの中で、“boco to decoらしさ” をどう伝えるべきか悩んでいた。


「なんか違う・・・」


PC画面に映っているのは、『boco to deco』の広告用バナー画像。プロのクリエイターさんに制作していただいただけあって、ご提案いただいたクリエイティブに悪い部分があるわけではなく、品質の良いデザインだった。


・・・でも、何かが違う。


その何かがわからないまま、田村なりに感じたことをなんとか言葉にし、クリエイターさんにチャットで返信をした。

「この商品は、お客様にとって安くはない価格帯なので、このような表現はなるべく避けたいと思っていて・・・」




そんな中、上司でもあり『boco to deco』の開発者でもある戸田から、一件のチャットが届いた。



商品の機能性だけでなく、商品に込められた想いや哲学、目指している世界、商品人格・・・


あらゆる面から商品を理解し、関わってくださる方々にズレがないよう伝えていく。それが『boco to deco』チームにおいて、田村の重要な役割だ。


「私、『boco to deco』が開発段階の時はまだ入社してなかったんですよね。議論されてきた瞬間とか、その場にいなかったから。だから商品について書かれてる資料だけ見ても、自分なりに解釈するのがめっちゃ難しくて。

広告を制作してくださるクリエイターさんとか、宣伝してくださるインフルエンサーさんに、資料に書いてあることをそのまま伝えるだけでは・・・やっぱり相手も理解が深まらないだろうし、伝え方がほんと難しいなって。」



『boco to deco』は、開発者の想いが強く込められた商品。だからこそ、メンバーが開発者と同じくらいの熱量で向き合わなければ、その想いは商品が広がっていく過程で、どんどん薄まっていってしまう。



チームメンバーであらためて商品理解を深めていくための「ボコとデコ ブランド会」と題された会議の場で、開発者の戸田はこう語っていた。


「俺らは、愛され続ける商品にすることを目指してるから。売れたらいい、なんて思ってない。売れたら正解!みたいな広告を作りたいわけではないし、今商品を手に取ってくださっている人にとって不快感があるものは作りたくない。それが『boco to deco』が目指してる在り方なんよね。」


「そういう根幹を、ビジネスパートナーさんともっと共有することが大事やと思ってる。

例えばさ、就活生が気分転換にYouTubeを見てるときに流れる広告で “私には内定がない” なんてアテンションの強いコピーは絶対見せたくない。そんな風に、広告を見てくれた人にどんな体験をさせたいか、させたくないか、そういう部分を徹底的にすり合わせる。」



デザインに対する細かなすり合わせをすること以上に、根幹の想いを共にすること。そうすれば自ずと、“boco to decoらしい世界” が描かれていく。



田村が感じたモヤモヤや違和感が、ゼロになったわけではないかもしれない。それでも少しずつ、考えが整理されているようだった。


「仕事柄、社外の方と話すことが多いから、その度に『boco to deco』も会社のことも良い感想をたくさん言ってもらえて、あぁこの仕事に携われてよかったなって、実感するんですよね。

伝えるって仕事は相変わらず本当に難しいんですけど、なんかもう、全人類に知ってほしい!って心から思える商品なんです。そんな『boco to deco』を心から愛してくださる方がつくるものには、何かしらの “ボコデコらしさ” が宿ることは間違いないので・・・

だから私も、“ボコデコらしさ” を追求しつつ、でもその幅と可能性をどんどん広げていくためにも、もっといろんなチャレンジをしていきたいです。」




想いや熱というものは、数値化できない。目に見えない。だからこそ仲間と共にそれを同じ温度で持ち続けることは、そう簡単なことではない。

そんな中でも田村の “ボコデコ愛” は、関わる人たちに確実に届いているようだ。





社長引退まで、あと917日。

つづく





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