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【2025年2月】聴導犬の子犬育てボランティア「ソーシャライザー」を4年半した感想

2020年秋に日本聴導犬協会の、聴導犬のソーシャライザー(子犬を短期間預かって社会化訓練をするボランティア)をはじめてから2年半がたちました。

感想としては、心からやってよかったなと思っています。
(2023年2月の記事を、2025年2月に大幅追記しました)

日本聴導犬協会からお預かりしたのは全部で8匹

盲導犬は子犬が1歳になるまで、同一家庭で過ごしますが、聴導犬の場合は子犬は数軒の家庭で2〜3ヶ月程度お預かりします。

👇詳しくはこちらに書いています

我が家は1R(約30平米)しかないため、小型犬しかお預かりできないという特殊な環境なので、やたらとシーズーが来たり、同じ子を2回お預かりしたりと、他のソーシャライザーと比べると変則的な状況ではあるのですが、14匹の犬をお預かりしました(1匹だけ数日で帰って行った子がいてカウントしてません)。

預かってわかったのは、問題のない犬っていうのはいないんだなということ。どの子もかわいくて、それぞれにいいところがあり、そしてそれぞれに問題がある。

その問題点をきちんと把握して日本聴導犬協会と共有して、今後の訓練に役立ててもらったり、暮らしのなかで少しでも解消するために協会と相談しながら試行錯誤したりしています。

と言っても、ソーシャライザーの仕事で一番大切なのは、預かっている犬が人間のことを大好きと思ってくれること。

子犬たちはいくつかの家庭でそれぞれに、愛情をたくさん注がれて暮らすことで、どんな環境で暮らしても、人間は自分を大切にしてくれるという信頼関係を築きます。


<ここからは今までお預かりした子を紹介します>

元聴導犬のかるちゃん13歳

最初に来たのは、ビーグルミックスのかるちゃん
元聴導犬の13歳のおばあさんです。

夫婦ともに犬を飼育したことがない&先住猫がいるという環境だったため、「かるちゃんは最高さんなので、犬との暮らしを教わってください」「かるちゃんは猫使いだから大丈夫」と聴導犬協会のスタッフに太鼓判を押されて、我が家にやってきました。

そして、猫ともすぐにうちとけ、我が家に犬との暮らしの楽しさを教えてくれました。

→かるちゃん17歳。今も日本聴導犬協会で隠居生活を満喫中です(協会が大好きなので残ってます)。たまに預かり小旅行としてボランティアさんので暮らしつつ、協会では今でもたまにデモを披露したりする、元気で幸せなおばあちゃんになっています。(2025年1月追記)

👇まいどなニュースで取材していただきました


パピーのはるちゃん2ヶ月

次に来たのは雑種のはるちゃん。
生後2ヶ月でした。

日ごとに大きく育っていく、赤ちゃんのパワーに振り回されまくりました。
家具もカーペットも、家中のものが破壊されました。
でも、寝ていると天使のようにかわいいんですよね。

今思うと、はるちゃんの顔色みてたなぁ、今ならもっとうまくできたかもなぁと反省する部分がたくさん。
かるちゃんとは別の意味で犬との暮らしを教えてくれました。

→はるちゃんはその後、キャリアチェンジして世界一幸せな家庭犬になりました。里親さんが当記事にコメントしてくださっています。(2025年1月追記)

ももたろうくん3歳と6歳のとき

元繁殖犬で、ブリーダーさんに譲渡してもらってやってきたというももたろうくん。
3歳のシーズーの男の子です。

性格がとても優しく、先住猫のおばけちゃんと親友になってくれました。

ももたろうくんをお預かり中に、おばけちゃんは急性の病気になり2週間ほどで虹の橋を渡ってしまったのですが、病気になってからはずっとももたろうくんがおばけちゃんに寄り添ってくれました。

こんなに献身的で優しい性格ならきっと聴導犬になれるだろうなと思ったら、やはりとても優秀だそうです。

→ももたろうくんはその後、日本聴導犬協会のPR犬として活躍中です。2024年の11月、2025年の1月とその後2回我が家でお預かりしました。というか、たった今も我が家で昼寝しています(2025年1月追記)

6歳になったももたろうくん

👇1回目のお預かり時の日記です

まおちゃん8ヶ月のときと1歳のとき

8ヶ月のときとその1年後の2回お預かりしました。
おしゃまでいたずらで、とっても頭の良いシーズーの女の子です。

ブラシを噛んだり、お盆の上に乗って寝たり、お皿をひっくり返したり、いたずらが大好きで、隠れて悪いことをする名人だったのですが、1年後に2度目のお預かりをしたときは、頭の良さはそのままにいたずらがなおっていて、お姉さんになっていました。

成長を目の当たりにしてとても嬉しかったです。

今は聴導犬になるために協会で訓練中です。

→まおちゃんはその後、キャリアチェンジして世界一幸せな家庭犬になりました。(2025年1月追記)

たけるくん1歳のときと2歳のとき

まおちゃんと双子のたけるくん。
シーズーの男の子です。

預かっている子はみんなかわいくて、どの子も大好きなのですが、特にたけるくんは私と気が合う子でした。

「犬とはしゃぎたいぜー!」というこちらのタイミングと「人間とはしゃぎたいぜー!」というたけるくんのタイミングがばっちり合う感じ。

お預かりした犬たちは、その後会ってもだいたいこちらを覚えてくれてはいるのですが、なかでもとくにたけるくんは「会えてとても嬉しい!」と、大喜びしてくれるので、多分私たちは相思相愛なのだと思います。

頭が良くて、コミュニケーションを取るのもうまい。
たけるくんと会話できてるんじゃないかと思うぐらい、意思の疎通が取れてるような時もありました。

遊びも大好きで好奇心旺盛で、思いやりもあって優しいので、聴導犬にぴったりだなと思っていたのですが、ちょっと怖がりが強かったからか、キャリアチェンジすることになりました。
今は優しい里親さんのところで、家庭犬になっています。

👇日本聴導犬協会がたけるくんの里親を募集したときに書いた記事

かなちゃん0歳→現在聴導犬として活躍中

4ヶ月のシーズーの赤ちゃんかなちゃん。
オッドアイがチャームポイントです。

頭が良くて、教えたことはすぐにできるようになる。
おすわりもまても、もってこいもあっという間に覚えて、そして人が大好きで社交的なタイプなので、近所の人の人気者でした。

犬を連れてない人たちや、挨拶をしたことがなかった近所の会社で働くおじさんも、みんなかなちゃんに夢中でした。

お預かり直後に夫が入院することになり、前半は基本的に私と1対1で過ごす時間が長く、赤ちゃんなのにおうちで留守番することも多かったのですが、吠えることもなく暴れることもなく機嫌良く留守番してくれて(サークルには入れてました)、後半は退院した夫のお世話?をがんばってくれて、常に一緒にキャッキャしたり昼寝したりと、固い友情を築いていました。

たまに会いますが、今でもとても社交的でかわいいです。

聴導犬になるために、まだソーシャライザーさんのお宅で過ごしているのかな?訓練入ったのかな?元気にしています。

→かなちゃんは2024年に聴導犬になりました。一度偶然ユーザーさんと街を歩くかなちゃんに遭遇しましたが、立派な姿に泣けました。(2025年1月追記)

いずみくん2歳

いずみくんは2歳のシーズーの男の子。
ふくふくもっちりなビジュアルがかわいすぎます。

おっとりおとなしい性格でおちついていて頭も良い、非の打ち所がない子だなぁと思っていたのですが、電車が好きすぎて、電車をみるとハッスルしてしまうというウィークポイントがありました。

大丈夫かしら?と思っていたのですが、現在は日本聴導犬協会で猛烈訓練中です。
がんばれいずみくん!

→いずみくんはその後、キャリアチェンジして世界一幸せな家庭犬になりました。(2025年1月追記)

まるちゃん8歳 聴導犬引退犬

我が家は夫の体調が悪く「子犬の預かりは難しい」と日本聴導犬協会にお伝えしたところ、2023年の2月我が家にやってきてくれたのがまるちゃんです。

あごに腫瘍ができて、聴導犬を引退したまるちゃん。
出しっぱなしの舌がチャームポイントです。

性格が優しく、頭も良い。
散歩も好きだし、散歩で出会う近所の人も大好き。
添い寝の天才で毎晩くっついて寝て、とても心の距離が近い関係になっていました。

長く預かっても良いと言っていただけていたので、「ほぼうちの子」と思って半年ほど暮らしていたのですが、秋に体調を崩し、我が家に戻ってくることなく、日本聴導犬協会の仲間に見守られながら年末に虹の橋を渡りました。

はくちゃん0歳

ソーシャライザーを2ヶ月ほどお休みしていましたが、2023年の秋に子犬預かりを再開しました。
9ヶ月のシーズーの女の子はくちゃんです。

頭が良くて、おしゃべりで、女の子らしいおっとりした子でした。
夫の入院もあり、1ヶ月ほどで帰っていったのですが、ぽわぽわの柔らかい赤ちゃんとまた暮らせて、とても幸せでした。

2025年1月現在、日本聴導犬協会で訓練中。
将来有望とお話伺ってます。
はくちゃん、がんばれ〜〜〜💨

だいふくちゃん 元繁殖犬

沖縄のワンズパートナーさんから日本聴導犬協会にやってきた、元繁殖犬のフレブルの女の子だいふくちゃん(病気で捨てられそうになっていたところを保護され、治療を受けたそうです)。

人に裏切られて、つらい経験をしたはずなのに、人が大好きな優しい子。
赤ちゃんを育てていただけあり母性が強く、我が家のネコやロボとも仲良くできました。

現在は日本聴導犬協会で訓練中。たまにデモにも登場しているようです。

さきくん 1歳

「めちゃくちゃかわいいですよ〜」と、別のソーシャライザーさんに聞いていたので、一緒に暮らせることをとても楽しみにしていたのですが、我が家の老猫モコばあちゃんのことが怖くて仕方なかったようで、1週間で別のお家にお引越ししていきました。
現在キャリアチェンジ犬として、里親さんを募集中です。

しゅりくん 1歳

沖縄の収容施設に入っていたしゅりくん。ワンズパートナーさんに引き出してもらい、新しい犬生を歩むことになりました。幸せになろうね。

羽田空港で、バケボラさん(飛行機に乗せて保護犬を運ぶボランティア)から受け取り、日本聴導犬協会に行くまでの2週間ほどだけお預かりさせてもらいました。

空港でゲージから出してキャリーリュックに詰め込む瞬間ですら、怖がることなくこちらにしっぽをふってくれる、人間のことが大好きな無邪気でおおらかな子。

ちなみにしゅりくん、最初の1週間はモコばあちゃんとラブラブでしたが、後半の1週間はモコばあちゃんのストーカーと化し、猛ダッシュからジャンプで体に飛び乗ったりするのでめちゃくちゃ嫌われてました💦
今は日本聴導犬協会で聴導犬になるための訓練中です。

最初はずっとくっついてて微笑ましかったのに……

こうたくん 1歳

1歳になりたての、まだふわふわの赤ちゃん毛のこうた。テディベアみたいなチャーミングな子。

運動神経が悪いわけじゃないのに、階段の上り下りや段差が怖いし、近所の犬好きのマダムや紳士も怖がっちゃう、ビビリさん。
性格は優しく、体調が良くない夫の添い寝をかって出てくれるし、お世話されるのも好きで、ブラシや歯磨きも嫌がらない、いい子さんでもあります。

歯が痒い時期だったのか、留守番中に家中のものをかじりつくしました(見てるとやらない)。

現在は日本聴導犬協会にて聴導犬になるための訓練中です。

こうちゃん 3歳

日本聴導犬協会のホープ。聴導犬の仕事と介助犬の仕事のどちらもできる、多目的補助犬のこうちゃん。
デモンストレーションでも大活躍中の、日本聴導犬協会の看板犬でもあります。

お外では大人しくておちついたこうちゃん。
おしとやかなお嬢さんなのかと思っていたら、慣れたら甘えん坊でかわいい女の子でした。

我が家がソーシャライザーを始めたタイミングとこうちゃんが協会犬になったのがほぼ同時期だったのですが、ご縁がなく(家が狭いからね)、3年経ってやっと、半月ほどだけ我が家でお預かりさせていただきました。

心を許した途端に「何でもご一緒しますよ」と付き合ってくれます。
このホスピタリティというか付き合いの良さが、聴導犬、介助犬の適性なのかもなと感じました。

<我が家で今までに預かった子たちを随時追加予定です。>

ソーシャライザーに興味が出たら

日本聴導犬協会のホームページをチェックしてみてください。

ソーシャライザーをしていることを人に伝えると「お別れが寂しいでしょう?」とか「預かった子と二度と会えないのでは?」とよく言われるのですが、全然会えますし、別れる時はそりゃ寂しいものの、次の犬がくるので別れを惜しんでいる暇がないというのが実際のところ。

長野県、兵庫県、東京都で毎月1回「パピークラス」というソーシャライザーが預かり中の子犬と一緒に、集まって協会の指導を受ける日があり、そこで、以前お預かりした犬と再会したり、聴導犬になった子がユーザーさんと一緒に来ていたりすることもあるので、その後の成長も見られてますますやりがいを感じています。

大変なこともありますが、社会に貢献できて、かわいい犬とも暮らせて、本当にいいボランティアだなと思っています。

なるべく長く続けたいと思っていますが、もし続けられなくなっても、何かしらのかたちで、日本聴導犬協会の活動をこれからも応援していきます。

👇日本聴導犬協会のトップページ

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👇ソーシャライザー募集のページ


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