姉文学ってあるじゃん。
「……ん? うん。」
いや、あるじゃんって言われましても。
久しぶりに何もない日曜日のお昼過ぎのこと。
地方ローカルの番組を見ながら、貰いもののお煎餅を煎茶でいただいていた。
なんの脈絡もなく、という言葉がぴったりなくらいに、脈も絡もないタイミングだった。
CM明けの、福岡で一番高いラーメンの続き見たいんだけど。
「あれってやっぱり、お姉ちゃんだいすき!な人たちが書くの?」
どこで知り、興味を持ったんだろう。こわいよ、そっちの世界は。たぶん。
「も、あるだろうし、そういう人たちに届けたいって気持ちを持った人が書いたりもするんじゃない」
自分のこれは、あったことを書き起こしてるだけだから、文学とは違うしなあ。エッセイかというと、そうでもないよなあ。
「ふーん。私もやってみようかな、弟文学。てーくん好き好きちゅっちゅを抽象化したらどうなるのか気になる」
「あんまりおねーちゃんが文字列書いてるところみたことないんだけど」
「失礼な、私の卒業論文、教授に『小説みたいだね』って言われたくらいには書けるよ」
「それは書けると言っていいんか」
「あと適当に書いた議事録みたいな報告書、上司に『なんか小説みたい、やり直し』って言われたこともある」
「それは適当にやりすぎ」
小説みたいな報告書面白そう過ぎる。『そのとき、乙ははっきりと、だが少しだけ不満げな声でこう続けた。』とかのノリだったんだろうか。真面目に仕事してほしい。
「ちょっとやる気出てきたな、大作できたら持ち込みとかしようかなー」
「はじめから大作仕上げようなんて人はいつまで経っても出来上がらんよ、たぶん」
「えーーー、じゃあどうすればいいのさ」
「そうね、まずはツイッターでもはじめてみたら?ちょこちょこ書いたらnoteとか長い文章書きやすいところ、そのあとはWeb小説系のサービスとかもいいと思うよ」
「おんや、お詳しいですねてーくん」
「ハハッ、イエイエソンナ、タイシタコトハ」
「もしかして、『ちょっと書き始めてみたけど3話くらいまででなんかモチベなくなって放置』みたいな経験がおあり?」
「ハハッ、ナンノコトカナ」
さすが鋭いな、20年くらい前にゲームの同人小説書こうとしてそんな感じでやめたよ。
「いつかてーくんの姉文学も読んでみたいな。とりあえず私はなんか小話から始めるね。ありがとー」
湯呑みと煎餅何枚かひっつかんで自分の部屋に引っ込んでいったおねーちゃん。最初のやる気はなんかちゃんとありそう。
ふむ、せっかくだし、自分でもなんかそういう感じで書いてみたら楽しそうだな。
おねーちゃんと見せあいっこしてたら意外と長く続くかも。
しかしまあ姉文学とは。いい響きだね。美しい。
余談。
お茶も冷めたか飲みきったかなと、急須を持っておねーちゃんの部屋に入ったら、普通に寝っ転がって漫画読んでた。
……始まらないかもしれない。