006 週末旅〜山陰〜
1)「小心者旅」がいい塩梅
山陰は、東京からものすごく遠くて気合を入れないといけないエリア。この年になるまでずっとそう思い込んでいた。ところが、この夏、米子に仕事関係のイベントがあり、、、だったらそれをリサーチしに行くという動機にかこつけて思い切って行ってみようか、この機会を逃したら一生行くきっかけを失ってしまうかもと気がはやり、ちょっと計画してみた。
とはいえ、小心者というか会社員向きでないというか、有休を言い出せるのもせいぜい1日が限界(気持ちが)。後ろめたいと旅も楽しめないので、金曜日だけお休みをいただき、計画した小心者の旅。詰め込み過ぎは自分のなかで御法度にしているし、電車とバスと徒歩なので限られたところしか回れていないとは思うが、私なりには大満足の旅だったと思っている。
2)空港の待ち時間はのんびりと
あいにくの雨の出発だったけど、梅雨時期だから覚悟していた。天気ばかり気にしても旅は楽しめないので、雨想定で心づもりしておくと、どんな瞬間もラッキーに感じられるものだしね。いざ、1時間半の空の旅、JALさん、ヨロシクオネガイシマス。
3)まずは、出雲大社でしょ(1日目)
出雲えんむすび空港に着くと、雨が止みそうな気配。吉兆なり。飛行機の到着に合わせて出雲大社まで運んでくれる直通バスがあると聞き、乗り込んだ。40〜50分程度だっただろうか、出雲大社の玄関口へ到着。まだ午前中かと思うと、なんだ山陰、手強くないじゃん!やろうと思えば日帰りでお参りもできちゃうんだという実感から、改めて日本の交通網の凄さをひしひしと感じる。
長年の念願だったわりには、予習をほぼしないままここまできてしまった。旅を決めたのも結構ギリギリだったし、仕事に追われていて前日まで気持ちがふわふわしてたから(言い訳)
前日、人から言われて通常の神社とは違って「二礼、四拍、一礼」だということと、神社に行くなら神様にリスペクトして身なりをそれなりにということを教えてもらい、前日の夜、慌ててサンダルはやめ、ワンピースに革靴といういでたちに方針を切り替えた。やれやれ。
バスを降りた瞬間、あ、ここはやはりいい気が流れている、と霊感ゼロの私でも感じた。前日の一夜漬け予習で知った4つの素材が異なる鳥居をじっくり見比べながら境内へ進む。どんどん晴れてきて、これ、神様に感謝しかない。
お参りをすませ、隣接の博物館も覗き終わる頃になると、お腹が空いてきた。昼ご飯とする。参拝前にちょこっと立ち寄ったお店の方におすすめランチを教えていただいたのだが、あいにく店休日。他を探す気力も残っていなかったので、手っ取り早く、人が並んでいるお店の列へ・・・これなら間違いないだろうと。
腹ごしらえできたので、本日の宿の場所「出雲市駅」へ向かうことにする。バスが便利そうだったが、あの駅にかなり魅せられたので、一畑電車に乗ってみることにした。
ホテルのフロントの方に女性&一人夕食のおすすめ店を教えてもらう。このほうが事前にガイドブックで調べるより確実で、ハズレがない。そこで教えていただいた「久鶴」さんというお店に行ってみた。カウンターのみのお店で、ドアを開けるまでちょっと勇気がいったが、勇気出して正解◎。美味しいお酒とお魚料理をじっくり味わうことができた。ほろ酔い気分で宿に戻り、大浴場でのんびりと旅の疲れを癒した後、就寝。
4)八雲が愛した街へ(2日目)
我が家代々の墓がある霊園には、小泉八雲も眠っている。そのせいか、子供の頃から小泉八雲に関心があった。もちろん松江がゆかりの地であることも知っていて興味があったが、なんせ山陰は遠くてそうそう行ける場所じゃないよねって感じで終わっていた。それが、なんと、ついに行けるのだ!と思うと、朝から興奮気味。宍道湖もちょっと憧れであり、それを間近に見ながら山陰本線は走る。かなりうれしい。
出雲市から約1時間で松江に到着。いざ、目的その2(その1は出雲大社。後ほどその3もある。)の松江城を目指す。駅の観光案内所ではバスをおすすめしてくださったが、街並みを観察したいので歩くことにした。
国宝5城。これまでの人生で、姫路→松本→犬山ときて、4城目。松江が一番遠いから最後になるかと思っていたらまさか彦根を出し抜くとは・・・人生わからないものだ。
松江城を見学した後は、ぶらぶらのんびり散歩しながら小泉八雲記念館へ。八雲の人生をじっくり知ることができ、お墓ご近所の八雲さんへの親近感をさらに深めることができた。駅まで戻ってさぁ次の街へ。時間的に目的補欠(行けたら行くつもり)どうやら行けそうだ。
5)ただものじゃない足立美術館(二日目)
いつ、どんなきっかけでGoogle Mapにマーキングしたのかどうしても思い出せない足立美術館。今回の補欠目的。短い旅程において出雲大社、松江、そしてもう一つの目的が果たせたらあとはボーナスって思うことにしていたので。しかし、松江でラーメン食べながら、どうやら行けそうだ、そう思えてきたので、電車とバスの時刻表を確認し、行ってみることにした。
安来(やすき)駅から美術館が出しているシャトルバスで約20分。いやー、行ってみるものだ。まず、驚いたのが「ここ、外国ですか?」というくらいインバウンドが多かった。さらには、すごすぎる庭園。日本庭園のお手本がこれでもかっていうくらい詰め込まれている。これは絶対肉眼で見るべし。
私の知識がなさすぎるゆえだとは思うが、「借景」というのはすごい発想だと改めて感動してしまった。
5)米子、そして第三の目的達成(二日目)
旅も終盤になってきた。美術館のシャトルバスにまた揺られ、安来駅へ戻る。そして米子駅へ。出発から二日目夕方にしてようやく仕事のリサーチを行う。そもそも、このために山陰旅を企画したのではないかということを忘れそうになるくらい、他の目的地が素晴らしかった。リサーチを終えると、仕事モードOFF。いよいよ旅のフィナーレが待っているのだった。第三の目的。それは、「サンライズ出雲」への乗車!!
鉄オタのつもりはないが、寝台列車は、バックパッカー時代の欧州での何回かと、廃線になってしまった長崎→東京間の「さくら」にこれまで乗ったことがある。そして、憧れのサンライズ出雲、ついに乗れる。こんなにうれしいことはない。チケットは1ヶ月前から取れるそうだが、休暇の申請をしたのが、すでに1ヶ月を切っていたので、ダメもとだったが、、、取れた!B寝台シングル。この体験を思いっきり楽しもう。
寝台車って眠れるの?とよく聞かれる。人にもよるが、、、熟睡は無理ではないかしら?でも、飛行機の旅もそんなもんだし、フルフラットになれることを思うと、ある意味、飛行機よりも環境がよいかもしれない。気圧差もないしね。そして、何よりも寝台車という「体験」を楽しめることがなにものにも変えられないエンタメ性があるなと。20時前に米子を経ち、東京駅へは翌朝7時過ぎ(遅れて8時ごろだった)。飛行機だと1時間半のところを12時間近くかけて帰ってきた。
到着してまず何を感じたかというと、「また乗ってみたい」だった。
日曜日の朝。この日はまるまる調整日として、翌日からまた通常モードで会社へ行くのだった。
6)旅の余韻
山陰の印象は、子供の頃にTVで観た「日本昔ばなし」の世界のように感じた。うまく表現できないのだが、日本の根っこがここにある、そういう感覚。さすが出雲大社、神様が集まる場所だけあるなと。それから、山が、関東人の私たちが普段目にする山よりもやさしい感じがしたのだ。こんもりした山がぽこぽこと連なっている感じ、これが日本の原風景と言えるんじゃないかな、そんなことも感じた。
それと、何度もいうが、想像していたよりも山陰は手強くない、もっと身近であってもいいよね。🧳