2022年映画ベストテン(ヨーロッパ映画部門)
■総評:前年2021年がガイ・ピアース監督作品が2本(『ジェントルメン』、『キャッシュ・トラック』)もあって、リドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』やキングスマンシリーズの『キングスマン:ファースト・エージェント』、さらにはエドガー・ライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』があって、かなりの出し尽くし感があった。
その余波・反動からか2022年は総合ベストテンにはイギリス映画『ボイリング・ポイント』のランクインのみで、全体的に小粒な印象。唯一、9位の『355』のみ派手なアクション映画で、4位の『潜水艦クルスクの生存者たち』がちょっとお金がかかっているぐらい。
その『ボイリング・ポイント』は1カット撮影で多様性やコンプライアンスなどの社会問題をたっぷり見せた意欲作だから心を掴まれた。
それと、『ボイリング・ポイント』も含めて、『ストリート・オブ・マイ・ワイフ』、『355』、『ファイブデビルズ』は監督デビュー作か監督作2、3作目のキャリアがあまりない監督の作品が目に付き、そういう意味では今後が楽しみである。
2023年は1月末にマーティン・マクドナー監督のアイルランド映画『イニシェリン島の精霊』、2月にフランソワ・オゾン監督の『すべてうまくいきますように』、ポール・ヴァーホーヴェン監督の『ベネデッタ』、リューベン・オストルンド監督の『逆転のトライアングル』、さらには5月公開予定でイエジー・スコリモフスキ監督の久しぶりの新作『EO』など、2022年に低調だった分、巻き返しが見れそうだ。
1位:『ボイリング・ポイント/沸騰』
2位:『MEN 同じ顔の男たち』
3位:『オフィサー・アンド・スパイ』
4位:『潜水艦クルスクの生存者たち』
5位:『わたしは最悪。』
6位:『選ばなかった道』
7位:『ニトラム/NITRAM』
8位:『ストリート・オブ・マイ・ワイフ』
9位:『355』
10位:『ファイブ・デビルズ』