大塚国際美術館に行ってきた!

 紅白歌合戦で米津玄師が中継していたのを見て、行ってみたいなと薄々思っていた大塚国際美術館に行ってきました。
 あそこはすごかった。大塚製薬の執念を見た。情報の濁流に飲み込まれる。よくぞあれだけ作ったなって。
見たことある絵もいくつかあって、当然のように本物のような感動はなく、あれを見てこんなものかとは思って欲しくないなって思う。ロシアの画家さんの忘れえぬ女本物見たとき、しばらくそこから動けなかった。そういう感動はない。

 じゃ、あそこのすごいところはっていうと、例えば受胎告知をテーマにたくさんの受胎告知の絵を一つの部屋にずらーって並べてみて、さあ、比べてごらんって展示をしてるんですよ。必死で解説見るわけです。あ、本当だ、二人の立ち位置が違う、あれ、さっきのどうだっけって一つの部屋をうろちょろして。
 で、床に完璧に全てを網羅できるような矢印書いて誘導して。パンフレットにはちゃんと有名どころピックアップしたルートあるけどさ。無理。無視できない。え、この絵なに? どういう意味?って、また解説読み始めて。地下3階から地上2階まであるんですけど、地下2.3階から抜け出せない。


ギリシャ神話とか聖書、貴族とかをテーマにした絵の後、ぽつんと風景画が現れたんです。解説読むと普通の風景画を展覧会だったか何かに出すのは驚くべき事だ的なことが書いてあったんですけど、説得力がすごい。今まで散々絵のモチーフなんだろうとか、これは何を表しているのだろうとか頭使いながら見ていた私に、ただ、この風景綺麗だろと話しかけてくる風景画。うん、綺麗!って純粋に綺麗な場所だなぁってしみじみできる。素敵。

 そして、階が上がるにつれて、子供の姿がなくなっていく。「ねえ、もう帰ろ? がちゃがちゃやろ?」と母親に訴える幼女。年配の夫婦はソファに座り込み、肩を叩き合う。みんな疲労困憊。
 地上の階に来る頃には、妙な連帯感を他のお客様に感じ始めてました。

 着いたらご飯食べて、12時くらいから回り始めたのですが、だんだん気がつき始めるんですよ、あ、これ、見終わらないって。結局休憩食事含めて5時間以上いたけど、無理。いや、無理とは聞いていたけど、時間的なもの以上に、体力と情報量が無理。頭パンパン。大体、最初のシスティーナ礼拝堂見ているときから怪しかったんだ。天井の絵の解説が遠くにあったからスマホで取って、それを見ながら、あの絵はなんだ、この絵はなんだと探しているだけで相当時間を使っていて、このペースで見ていったらやばいなとは思っていた。
 途中で食べたケーキと、陶板の作り方のビデオをみてる最中のうたた寝がなければもたなかった。


 ギリシャ神話と聖書の知識を持っていればもっと面白いんだろなと思った。修復前と修復後を向かい合わせに展示して、なにが違うのか見つける部屋は面白いけど、最後の晩餐を実物大で向かい合わせに飾ってる部屋は流石に頭がおかしいと思った(褒めてます)
 美術的な価値というよりも、美術作品の味わい方を勉強するのに良い場所だなと思いました。普通あんなに同じテーマの絵を集められない。

 とにかくあの広さの美術館を作ろうと思った人と、あの量を集めようと思った人、あの展示の仕方を考えた人、色々なやばい人が集まった結果、あんなどうかしている美術館になったんだと思います。日本1高い入場料に相応しい内容の美術館だったので、ぜひあの正気を失っていく感じを味わって欲しいなと思います。

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