I love you,Daddy
僕、ジョシュアは
世界一パパが好きだ。
誰よりもね。
ボロボロのお揃いの
VANSを履いて一週分の買い出しの
スーパーマーケットに出かける時も
部屋でパパが
MacBook💻を触ってる時も
リビングのペンキを
白に塗り替えてる時も
近所の人を誘って
庭でBBQするために
グローサリー・ストアに行く時も
どんな時も離れたくなかった。
パパとの時間は貴重だから…。
それはオンラインゲームなんかと
比較にならないんだよ。
ちなみに僕が
何か悪いことを言ってしまった後は
死ぬほど怖い説教がある。
しばらくすると
パパ独特のゆっくりとした
ノックの後
すごくデカくて
強いハグがあるんだ。
不思議と苦しくない。
しばらくして
背中をパンパンパンと
叩かれると
全てのことが
無くなった合図なんだ。
パパはミリタリーで特殊部隊にいる。
だから戦争が始まると半年から
1年以上も会えないことがある。
あ、
忘れてた!
もちろんママのことも大好きさ。
ママの焼くマーブルクッキー、
チキンのトマト煮込みは
間違いなく世界一だし
隣のリアムはいつもそれを狙って
夜、ベルを鳴らしてくるんだ。
用もないくせに!笑笑笑
僕はママの
「ジョシュ!
あなたの宿題終わったら皆で
ダイナーに行こうと思うんだけど
どうする?」
が好きなんだ。
答えはもちろん「イエス!」
リアムとモンスターバーガーを
食べ競争するんだ。
ペプシを一切飲まず、
どこまで食べられるかってね。
ママだって僕と同じくらい
パパのことが好きなんだ。
だって家の中で
すれ違うたびに
キスとかハグしてる
くらいだからね。
あーぁ、見てられないよ。
そして、
パパと僕には
唯一無二の親友がいる。
それは
スクゥービー。
裏庭とボールさえあれば
彼に不満なんかないさ。
少し自慢してもいい?
黄色いテニスボールは
一回も無くした事ないし
フリスビーは🥏
赤ちゃんの頃は
下手くそで見てられなかったけど
今は近所の犬の中で
名手と呼ばれてる。
僕よりも
喜び方が上手くて
パパとママの愛情を
全部奪い取ってる
ようにも見えるんだ。笑
そして
パパが仕事に行く時が来た。
「そろそろスクゥービーに
新しいボールでも買おう。
こんな毛むくじゃらなボールは
テニスボール🎾とは
言えないな。笑」
ママと少し話して
パパはそう言って
仕事に出かけたんだよ。
いつもみたいに
でかいパツンパツンの
バッグとキャップを持って。
夜中、上の階から
ママが泣いてる声が聞こえた。
次の日、レイバンが
必要なくらい眩しい日だった。
実はパパが仕事に行く前に
僕とスクゥービーは
玄関先のボロいTOYOTAの
トラックの前で
パパと話したんだ。
何を?
パパがいない間、
ママを守ってやってくれないかってね。
そんなのいつもやってるじゃんか!
笑いながらパパに飛びかかった。
スクゥービーも一緒。
パパも、そうだったそうだった
っておどけて笑った。
そんなやりとりを
10分くらいして
トラックは走って行ったんだ。
いつも通りの景色だった。
僕の大嫌いなトラックの後ろ姿。
スクゥービーは
しばらくの間、
ボールで遊ばなかったんだ。
なにがUSAだよ!
戦争だから当たり前だけど
すっっごく嫌なんだ。
I love you,Daddy.
スクゥービーの
黄色いテニスボールは
ネットで99セントだったよ。
待ってるから。
ダディ。
元気かなぁ?
半年経ったよ。
アリゾナもフロリダも
ニューヨークも
全米が信じられないくらいの
大洪水だよ。
アメリカどころじゃない、
全世界がってママが言ってた。
こないだなんか
テキサスでボールくらいの
アラレが雪と一緒に降ったんだよ。
…。
今どこにいるの?
ママが
「TRUMP WON」の
横断幕を庭に張り付けて
少し恥ずかしかったんだけど
いつもより家に人の出入りが
多くなったよ。
帰りを待ってる。
体に気をつけて。
I love you,Daddy. always.
ジョシュア。
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