ザ・
視覚がひたすら楽しいライブだった。
派手な演出と目まぐるしく変わって見せてくれるSexyZoneの多面性。
これは間違って伝わってしまったら嫌なんだけど、ライブって些細な演出にどれだけ意匠を凝らされているかというより、やっぱり1番はどれだけその場の体感で「楽しい!」と思えるかだと思うんですよね。19年のPAGESが風磨Pの得意分野である物語仕立てだったのと、OPからの洗練された流れが盛り上がるための構成として秀逸でめちゃくちゃ楽しかったのでわたしの中ではずっとベストツアーなんですが、それを優に超えてくるくらいのコンセプトライブだった。
まずステージセットかわいい〜!今回のアルバムのコンセプトである80・90'sの雰囲気のなかに所々夏の要素が散りばめられていて、上手に光るネオンがかわいいなっていうのが会場に入った時の印象。有識者じゃないので確証はないのですが、当時の歌番組のオマージュなのかな?ちょっとオールドファッションな日本のホールっぽい大きなセットで、そこでアメリカのカルチャーではなく日本を選ぶあたりのセンス〜〜!!と思った。リリースを通してトプジェは割と当時輸入していたカルチャーを表現していたけど、そもそもコンセプト発案者の風磨くんは日本のレトロアニメが好きでそれをやりたいって言ってたんだよな。幕が開いたらまさかあんなに立派なSEXYZONEモニュメントが登場するなんて夢にも思わなかった!風磨くんがセレクトしたであろう会場BGMに心を踊らせながら、いつかステージセットを見ながら「ここが私の仕事場です。夢があるね。」なんてコーヒー片手に言っていた風磨くんのことを思い出したりなんかして。そうか、ここが風磨くんが夢を映す仕事場か。
幕が開いたら、SUMMER FEVERで夢の時間の時計の針を動かし始めたSexyZone。
全編を通して思ったのは、「“アイドル”を好きな人が作ったライブだな〜!」ということ。複雑化した現代を生きるなかで、アイドル全盛期だったあの当時の煌めきを身にまとってなりきることは、アイドルの彼らとアイドルを好きなわたしたちにとっての希望が詰まっているのではないだろうか?当時のジャニーズの格好をして光GENJIをやる4人も、聖子や明菜になって歌う4人も、何より本人たちが楽しそうでキラキラしていて、ずっと「自分たち最強!」みたいなオーラがあった。「SMAPや嵐みたいな凄いことを今の時代でもできるのかな?」という問いに、間髪入れず「やろうよ」と答えた勝利さんはカッコよかった。SexyZoneは5人それぞれが主役になるように作られたグループだけど、やっぱり真の主人公は佐藤勝利さんなので、勝利さんがその気ならできない訳がないだろ!!!という気持ちになった。
それからとにかく「自信」を感じるライブだった。
本編最後の曲を、それぞれの花道の方向にわざわざ散らばって歌ったのは、何か不可抗力に負けないように、離れないように、せめてステージの上では5人でぎゅっと引っ付いていた頃とは対照的だと思った。グループで見られる機会は相変わらずほぼなくても、それでもなんの悲壮感もなくあの立ち位置を選んだ意思からは、今はもう、立派な「自信」が漲っているのが感じられた。「CMは1位だけど冠番組ないのおもろいよね!」って笑って話せるんだよ、今のSexyZoneは。
そう言って、オレンジの光に包まれながら歌うDream。iriちゃんが「女性のリアルな気持ちを吐き出すような切ないラブソングを作った」と言っていた歌を、「この気持ちは恋愛だけじゃなくて、全ての人間関係に当てはまることなんじゃないか」と解釈した風磨くんがいなかったら、きっとこんなに特別にはならなかった曲。風磨くんがそうして魔法をかけたから、誰しもの心に響く普遍性を身にまとって、わたしたちをやさしくやわらかく照らす歌となって届いてくれた、本編最後の時間。この時間を「閉じ込めて」しまいたいという言葉を選ぶのがまたなんとも風磨くんらしくて、永遠を無条件に信じないひとの、“今”をずっと握りしめて生きてきた人生が、触れられずともそこにある気がして唸った。
そして夢からまた普通の日々に帰っていく4人は、今度は一緒になって歩いて、大きなSexy Zoneの文字のなかに消えていく。また明日から、令和を生きるアイドルSexy Zoneとしての日々が彼らを待っている。これからもわたしたちは当たり前に感謝しながら、“辛い時は踊ればいい”し、“悲しい時は笑えばいい”し、心の赴くままに歌えばいい。(そしてテレフォンカードをデュアルセットオン!してプリキュアに変身したら、YOUはもう瞬く間にヒーローだよ!笑)
夢の時間の最後に、ひとりひとりが灯した、共に見た光に託した願いが、いつか叶う日のことを想像して______