たからもの
ずっとアイドルとの距離を模索していた。
宗教的依存はしたくない、信仰対象にはしたくない、恋愛と錯覚はしたくない。
おたくである自分がどんな風にアイドルと向き合って、どんな風に存在しているのか。それを表す言葉が見つからなくて、アイドルは私にとってアイドル以外の何者でもなくて、なんでも未知のものに名前をつけてはそっとラベリングしておきたい私だから、ずっとずっと分からなくて苦しかったのだけど。
なんだかふと、「宝物」という言葉が腑に落ちてしまった。人生に寄り添ってくれるたからもの。いつもそこにいるたからもの。たくさんの思い出が詰まったたからもの。
そう思った時、なんだか少し楽になってしまった。私にとってアイドルは、宗教でも恋愛でもなんでもなくて、“たからもの”なんだと。私の人生にとってかけがえのない、宝物なんだと。
ずっと抱いていたぬいぐるみだって、いつか手放すべき時が来るかもしれないけど、今はまだもうちょっとだけ大事にさせてほしい。
未知のものは分からないからすきなのだろう。その考える余白こそが私を惹き付けてやまない理由だとしたら、そろそろぬいぐるみを手放す時も近いのかもしれない。それなら尚更、君のことをすきでいれる今を精一杯、君のことをすきでいたい。