
剣道の筋力トレーニング② どこを鍛える?
関節可動域の広いと、関節は自由に動かせるけれども外からの力に弱く体を安定させられない。その反面、
関節可動域が狭いと、関節は動かないけれども外からの力に強く身体を安定させられる。この法則を吉田始史氏が発見しました。
剣道は、安定した姿勢が求められるので、「関節可動域の狭いところに固定する運動」という静的動作の方が多いわけです。そして、打突の際は、足の親指を鍛錬し、踵で踏むこむことによって、得られた力を背骨全体にいきわたらせる→肩→腕→竹刀に力が伝わる→打突と繋がっていきます。では、それを基にどこら辺を鍛えればいいのだろうか?たらたらと語っていきます。
人間は、そもそも脊椎動物なんですよね。魚から進化して四足歩行になって手足がついて.......。重力環境に応じて適応できるように進化していった過程をみると、我々が魚類だった時は脊椎を使って泳いでいた。陸に上がって、四足歩行になったら、肩回りと胴体、股関節を中心に動いている。現にチーターの肩甲骨は凄まじいものらしいですよ。そして、人間は二足歩行に進化しましたが、脊椎動物がベースなので、末端の筋肉よりも胴体の部分を意識した動きの方が、重力に逆らわずスムーズな動きができるようにはなっています。剣道の基礎動作ってすごく厳格なものではありますけど、すごく人間の身体が崩れないすごく自然なつくりの基礎になっているので、昔の武士というのは、そういったものを感覚で身につけて現代に伝えているので、優秀ですよね~。日本の武士の身体能力は現代スポーツ選手より高いという専門家の意見もあったりして面白いですけど、この話はしません。話は戻して、剣道に必要な筋肉ですが、要するに、骨盤、背骨、肩甲骨→この辺りが四足歩行動物からずっと中心に動いてきたところなので、ここの関節可動域を広げるといった方針になります。
①大腰筋、ハムストリングス
筋トレを語るならマスト!股関節の場所わかりますか?場所わかるだけでも身体操作能力あがりますんで、検索して調べてみてください。人が「歩く」「走る」ための「動力部そのもの」といいますか、それが「股関節」です。運動の定義に戻ります。運動とは「骨についてる筋肉を使って関節を動かすこと」です。これをあてはめます。「骨(骨盤、背骨)についている筋肉(大腰筋、ハムストリング)を使って関節(股関節)を動かす」といった感じです。人間の最も力の出る部分である骨盤、背骨ね、ここ中心に身体を動かす。いわば、足を使って動き回る系は全てこれよ。これね、図を見た方がわかりやすいんですけど、股関節は恥骨(骨盤)にあるんですが、つながっている筋肉というのが大腰筋とハムストリングスなんですよ。ここの筋肉群は人間の身体の割合でも多くついています。大腰筋は足を屈曲させる働きがあり、ハムストリングスは足を伸展させる働きがあります。お互い拮抗筋肉の関係です。
あれ???ハムストリングスの拮抗筋肉って大腿四頭筋(太もも)じゃないの!?と一般人は誤解しております!
え?じゃあ、太ももは使わないの?使いません
えぇえええ~?残念ですけど、太もも意識して筋トレしているなら、それは剣道においては邪魔になります。大腿四頭筋は「ブレーキ筋」と呼ばれる筋肉であり、身体の動きを制止するための筋肉です。ハムストリングスが身体を前に押し出す「アクセル筋」になります。
剣道の話をすると、構えた時に、「左足のひかがみを伸ばせ」と口酸っぱく言われたりするとは思います。私の基礎動作でもこれは必須動作ですが、それはハムストリングスを効かせるためです。そして、右足で踏み込む筋肉はハムストリングスの拮抗筋肉である大腰筋になります。剣道の筋肉は剣道でしか鍛えられない!という主張もある意味その通りです。間違った筋トレをすると、太もも鍛えちゃって足が遅くなるといったことが発生します。大腰筋に関しては、足を屈曲させるだけでなく、骨盤と背骨に引っ付いてる骨ですので、身体を支える究極軸です。プロ野球でも最も重要と言われている筋肉になります。
②多裂筋(腰・胸・首にかけての背骨の筋肉)
多裂筋は、首から腰の脊椎の椎体をまたいで付着する小さな筋肉ですね。これは、動かしません。剣道でいうところの身体を固定するための筋肉です。腰付近といえばわかりやすいですね。
注意しておきますと、腰に関節ないですからね。
胸腰椎移行部にしか背骨には関節ありません
慢性的に椎間板ヘルニアになる人というのは、腰を下手に動かそうとするためにいためるんですよ。腰付近は関節可動域が狭いのに。胸腰椎移行部というのは、えーと、みぞおちのちょっと上付近です。ここから身体をひねることができるでしょ?どうしても場所わからなかったら、ググってください。ちなみにここから上が、上半身。ここから下が下半身です。
これも一般的には誤解があるんですけど、骨盤は全部、下半身です。
ここは、脊柱を安定させるための筋肉です。もちろん、上半身と下半身つなげるぶぶんでもあるので、力(体重)を1点に集中する構え方、軸を作るために当然重要です。
また、多裂筋は頸椎(首)にもあります。頸多裂筋です。背骨は腰から首までです。「顎を引いて首を固定する動作によって首の関節可動域のを狭いところで固定して身体を安定させる」ここも固定するための多裂筋の筋力トレーニングも重要になります。
③殿筋(ケツ筋)
「仙骨についてる殿筋を使って関節を動かすこと」
要するにケツ筋です。骨盤は前傾さて、骨盤の上部の寛骨が拡がって下部の坐骨筋節が閉まらないと正しく機能しません。というのは、上半身の重みをしっかり乗せるため、更に、正しい姿勢の連動としてS字の形をした背骨、胸骨が前に出る状態としての連動性として骨盤も前傾しなければ「いい姿勢」になりません。仙骨を締めることで体重を地上に対して垂直に与えて身体を安定させる行為が、人の身体において全てといっても過言ではありません。剣道において、仙骨を締めないと、踵から踏むこんだ下半身の動きが、腰のラインでいったん止まってしまうんですよ。そうなると、上半身が遅れて前に動くような動作になってしまう。上半身と下半身は分離はもちろんしてはいけません。また、竹刀に体重が乗りやすくなります。
更に、仙骨を締めないと、股関節も締まらない。股関節が機能しないと、先述の通り、大腰筋とハムストリングスが機能しないということです。これも、身体のつながりですよね、剣道でいう「左腰で打て!」という表現は、ここに詰まっているんです。全てが繋がる柔構造の「要」といっていい。
働きとしては多裂筋と同じく「良い姿勢」を作るために身体を支える筋肉になりますが、肛門を締めるための筋肉群です
④ローテーターカフ
肩関節は肩甲骨と上腕骨頭の関節です。この関節は臼の形になっているため腕を前後や上下に動かすことができます。腕をあらゆる角度に動かすことができるのは肩甲骨から上腕骨に付いている筋肉(インナーマッスル)のおかげです。この肩関節のインナーマッスルをローテーターカフといい、肩甲骨の外側から上腕骨に付着する棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)の総称です。野球でいうとローテーターカフを連動させたピッチングができないと死活問題になるほど重要である、腕の動力源。腕を使う運動には全て密接に関係しており、このローテーターカフをうまく連動させて使えるかどうかによって運動の効率が全く変わってしまう。剣道の構えのポジションにおいても肩甲骨の位置は実は重要。構えの肩のポジションについて、私の構えは、肩甲骨を内転させた場所におくか、肩を若干前に出しておとすか、確定していない。ただ、打突する際に肩は前方(関節可動域の狭いところ)に移動させなければ強い打突は打てない。
「骨(肩甲骨)についてる筋肉(ローテーターカフ)を使って肩関節を動かすこと」
肩甲骨ってめちゃくちゃ動くんですよ。外旋、内旋、内転、外転、伸展。こんなめちゃくちゃ動く部分はあと、股関節くらいですね。
剣道に置いては、はっきり述べてる人いなくて、私模索中なんですが、肩関節可動域の狭いところで固定したいならば、肩を若干前に出して落とす。肩関節可動域の広いところから狭いところに移動して、インパクトある打突を目指すなら、肩甲骨を内転させるために、肩を若干引くようなイメージで構えて打突の際に肩を前に出す。私は、今のところ「肩関節可動域の狭いところで固定をする」ために肩を若干前に出して下に落として構えている前者タイプです。いづれにしろ、肩は打突の際に前に出す必要があります。
はい、ということで。初見だと大分、情報量多すぎパンクするでしょう。
勿論、正しい構えを作るために行う筋力トレーニングに特化しております。前回記載しましたが、あくまでも「筋肉繊維自体を長くする」→「筋肉を柔らかくする」ために筋力トレーニングは行いますし、ストレッチと同時に行って相乗効果を起こすことが目的です。マッスルを目指す目的ではございません。読み手は初見殺し、こんなこといままで知らなかった場合は、全く理解できない内容かもしれません。太もも、腹筋、前腕とかかな?あんまりやっても効果ないよ。