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剣道の筋力トレーニング① 筋トレは必要なのか?

筋トレが「必要」なのか「不要」なのかは、身体の仕組みを理解できれば自ずと結論は出ると思いますが、剣道専門の筋トレを扱っている文献がないので、わかりづらいですよね。というわけで、私がこのジャンルにおいて開拓していきたいと思います。

今回は、「筋トレ」は必要か?不要か?です

結論ですが「やった方がいい」です。ただし、ノー知識では絶対ダメ。では、筋トレをやった方がいい理由の前に、人体の仕組みを一から丁寧に説明しないといけませんので、やっていきます。

・重力に逆らってはいけない

人類は地球に存在する重力環境に応じて適応(進化)してきた生き物であり重力に逆らう行動をとると余分な力が入り、それが怪我を生じさせます。この「自然体」とは、「重力」に従った構えの形成であり、剣道においてだけでなく全てのスポーツ競技において重要な考え方になります。

重力に逆らわずに最大限の力をはっきする身体操作を覚えることがまず前提です。そして、その身体操作=運動ですね。これが人体の仕組み的にどういった定義なのかを説明します。

「運動」とは???

「骨についてる筋肉を使って関節を動かすこと」

つまり「骨」「筋肉」「関節」この3つが必要条件なんですよ。んで、人は「骨」自体は動かせません。「骨」とは、身体を支えるそのもの一番力の源になります、「骨」に関しては人体のどの部分にどの骨があるのか軽く抑えておけばまぁまぁOKです。「筋肉」は筋トレ大好きな皆さん定番ですが、「関節」ですね。これが、21世紀の身体操作の新しい切り口であり、筋力トレーニングの革命ですね。「筋トレ」だけを考えてはならず「関節」を考えなければならない。極端な話、ボディビルダーが運動できないパターンというのは関節可動域が狭いんです。

運動には、2種類あって

・関節可動域の狭いところに固定する運動

関節可動域を固定することによって、緩みがなくなり、「力」の方向一点に集中させる運動です。「関節可動域の広いところから関節可動域の狭いところに移動する運動」より瞬発的な力は発揮できませんが起こりがみえにくいという利点があり「隙」がうまれにくい。関節可動域の広いところで固定すると、関節が緩んで動いてしまうので「力」が分散します。武道、ボクシングなど

・関節可動域の広いところから関節可動域の狭いところに移動する運動

関節可動域の広い部分から狭いところへ動くことによる「スピード×距離」を引き出す瞬発的な「力」を発揮する運動です。野球、テニス、ゴルフのスイングやピッチングなど。

武道は他の競技より「関節可動域のの狭いところに固定する運動」を使う箇所が多いです。剣道は、球技のような動き方をしないし身体が固くなるから筋トレは不要であると考える人もいますが、厳密には、「静的動作」の筋肉つまり、身体を固定するためにやはり筋肉は必要であると結論付けます。まぁ、「関節可動域の広いところから関節可動域の狭いところに移動する運動」も使用しますから、いずれにしても必要であり、全く不要ではないですね。ただ、ゼロ知識でやみくもに筋トレしても剣道のパフォーマンスに直接影響しないのは確かです。また、身体が硬いというのは「関節可動域が狭い」ということです。「関節可動域を広く」して身体を自由に動かす必要が勿論あるわけです。

ところで、それなら関節可動域を伸ばす「ストレッチ」だけしておけばよくない?という疑問を持った方が鋭いわけです。ところが近年の研究データによると「筋トレ」は身体を柔らかくする効果=関節可動域を広げる効果があることがわかったのです。

関節可動域を制限する最も主要な要因は「筋肉が縦方向に伸びにくくなる」ことです。筋肉は間接を跨いでその両端がそれぞれ別々の骨に付着している。つまり、関節を大きく動かした状態というのは、その関節をまたぐ筋肉が縦方向に大きく伸ばされた状態になる。関節を動かすために筋肉が密接につながっているわけですね。

また、筋肉の収縮活動(筋力トレーニング)によって、筋肉が伸びやすくなるというよりも筋肉維持自体が長くなるという変化が生じるので、筋トレしなかった身体より比較的に筋繊維がより短い状態でも力を発揮できるようになって、筋肉が損傷するリスクが軽減されます。つまり、けが防止にもなる。収縮筋活動とは「筋肉が短くなる方向に力を出しながら、外力によって伸ばされているということ」であり、筋トレとストレッチは「身体を柔らかくする」という共通する働きを持っていることにもなります。

「筋トレ」をやって身体のキレがよくなった!という感覚の人もいるのは、関節が動きやすくなったという意味で、正しいというわけですね。じゃあ、この記事を読んだ我々はどうすればいいのか、身体を柔らかくする筋トレ+ストレッチを剣道において必要な箇所を重点的に行えば、最強の身体を作ることができるわけですね。

筋トレでつけた筋肉は剣道で使えないのか?

これははっきりいいますが「NO」です。
原則的に筋力トレーニングを行うことで、素振りの反覆よりも筋肥大と筋力強度が大きくなりますので、トレーニングで筋トレを行うことは基本的に有効です。では、何故「筋トレは無意味で剣道は剣道によって鍛えた方がよい」と言われるかというと、筋力トレーニングのやり方が間違っている可能性があります。
反動を使わない筋トレ動作
動的に動作する競技動作はほぼ例外なく目一杯「反動」を使って動作します。反動を使った動作では要領よく楽に強い力が出せるからです。剣道で、左足を蹴って打突する際、上半身に前慣性(溜め)をつけて打突した方が前に飛べる打突を行うことができるように、反動=溜めと思ってください。
日常動作でも動作できる反動動作は無意識に誰もが使っています。例えば「よいしょ」と立ち上がる時も自然に上体を前後に振る反動動作を使っています。対して、筋トレでは、方法にもよりますが基本的に反動を使いません。筋トレでは筋肉にじっくり負荷をかけて筋肥大につながる刺激をしっかりと与えたいからです。効率よく動作できる反動動作を、筋肥大という目的のために敢えて行わない極めて不自然で特殊な動き方をします。反動を使わない筋力トレーニングだけでは、格闘技などの競技動作で反動を目いっぱい使った強い筋力発揮の能力を上げられません。また、反動をあえて使わない筋トレの動き方の「癖」がついてしまう危険性さえあります。
効率よく筋力トレーニングを行うには筋肥大重視の反動を使わない筋トレと反動動作を行う筋トレを組み合わせることで筋肉強度をつけていくわけです。
筋トレで筋肉を肥大させることで間違いなくエンジンの能力は向上しますしかし、そのエンジンを上手に使えなければ剣道に使える筋肉とは言えません。エンジンの能力をベースアップさせる筋トレにそのエンジン能力を動的な動作でフルに引き出せるようにチューンナップする「基礎的スキルトレ」を組み合わせて行う必要があります。
剣道家の場合は、むしろ「基礎的スキルトレ」ばかりやる傾向にあるのでエンジンの能力の向上も考えてみてはいかがでしょうか。

ストレッチのメリット

・関節可動域が広くなる→パフォーマンスアップ、けが防止、筋肉の血液循環アップ、リラックス

ストレッチ+筋トレにより「柔軟性向上」「高い強度の獲得」「肉離れ、筋断裂といった怪我防止」「筋肉が速く収縮できる」が考えられるわけですね。

はい、というわけで筋トレは必要です。このブログではですね、具体的に剣道に必要な「筋トレ+ストレッチ」の方法というのも記載していきたいと思います。勿論、身体の動かし方は構えとか基礎動作をマスターするための「筋トレ+ストレッチ」であります。

ちなみに、イチローはこういう考え方です。で、イチローの場合は自分の身体の感覚を信じて、このような結論にたどり着いたみたいなので、イチローは天才です。だから、一般的にセンスだけで剣道をやってきた人というのは自分の感覚でしか説明できないんですよね。んで、私の場合は、こういった情報を仕入れないと絶対にたどり着けない領域なので、限りなく凡人です。