違和感を感じたらそろそろやめる時なのかもね
私の趣味はランニングです。思い起こせば17年くらい続けているでしょうか。別に頑張るという意識もなく続けられているので、自分に合っているのだと思います。
思い起こせば独立して2〜3年経った頃、金なし、コネなし、アイデアなしとナイナイづくしだった私が思ったことは、「僕にとってこの体のみが資本なんだから、健康には気をつけないと!」と思い、やおらランニングを始めたのでした。
始めたと言っても近所を2〜3キロ。
昔、学生の頃サッカーをしていたとはいえ、膨らんだお腹は揺れて息もすぐに上がるし、全然楽しくありませんでした。
そんなこんなで始まった私のランニング人生ですが、最初は週末に近所を走る程度から始まり、大会に出る楽しさや完走する楽しさを覚えるにつれて、次第に欲求がエスカレートしていきます。ついにフランスはシャモニーで行われるUTMB(168km)を目指すようになり、2017年には併催大会であるCCC(101km)に参加し、翌年は少し距離を伸ばしTDS(123km)に参加する所まで辿り着きました。マジで人生は何が起きるのかはわかりません。
経験すると感じ方や考え方が変わるようになり、自分で走るだけではなく、周りの人たちへ何かできないかと思うようになりました。
ガレージショップながら、まだトレイルランニングという言葉が浸透していなかった頃に、お店を作り練習会を開催するようになりました。
自分で言うのもなんですが、私の住んでいる地域でこのようなことをしたのは、先駆けだったように思います。この活動によりいろんなランナーの皆様と知り合うことができましたし、繋がりを作るきっかけを提供できたのではないかと思っています。
もっといろんな人と繋がって、ランニングやトレイルランニングの楽しさを広めたい!って思っていた矢先のコロナ。そして奥さんへの腎移植と私たちの環境が少しずつ変わっていきました。
術後様子を見ながらランニングを再開し、コロナが明けてから少しずつ大会参加に向けて挑戦を始めた矢先、自分の中に小さな違和感を覚えるようになりました。
「あれ?あんまり楽しくないぞ??」そうなんです。以前楽しかったことが、同じことをやっても楽しくない。続かないんです。
もう少し頑張ったら前みたいに戻るのかも?と思って、頑張れば頑張るほど、楽しくなくなってきました。
その違和感が無視できなくなってきた2022年頃、最後に走ったUTMF(現在はFUJI100)の完走資格で出場できるASOボルケーノトレイル(112km)に参加することを決めました。
少し説明しておくとトレイルランニングの大会は、お金を払えば出場できるものではなく、出場資格を得るために事前に何レースか完走する必要があります。段階を経て経験を積み完走する体力があると判断された人だけが、さらに長い距離の大会に参加することが許されます。
しかしその出場資格も期限があるため、定期的に完走していないと出場できなくなるシステムなのです。
正直出場するかどうか迷いましたが、これまで同コースで行われた大会を何度か完走していた経験もあり、今後またロングトレイルを走るかどうか、選択肢を残しておきたいという思いから参加することを決めました。
結果、DNF。
雨で悪コンディションだったとはいえ、練習量も覚悟も足りませんでした。完走できなかったので、もう次に出場できる大会もありませんでしたし、この時正直もうやめてもいいかなぁ〜という中途半端な気持ちでいました。
しかし、ここでやめるのも何か違うような気がして、再度出場資格を得るため、その年の南阿蘇カルデラトレイル30kmに参加して無事完走。翌年の霧島えびの高原エクストリームトレイル(63km)完走。フォレストトレイル蒜山新庄(68.7km)を完走して、今年のASOボルケーノトレイルの出場権を再び得ることができました。
別にリベンジしたいとかはありませんでしたが、昨年末のエントリー時期に「どうしようっかな〜」と考えていたところ、「練習積んで、準備したら完走できるはずだし、走り切った後に自分の気持ちに正直になって、その時どうするか考えればいいんじゃない?」って思って思い切ってエントリーしました。
ところが先のことは全くわからないもので、急に大きな仕事が決まっちゃうし、プライベートでもてんやわんやで全くトレランの練習の時間を確保することができなくなりました。
いや、違います。正直に話すとそのことを理由に逃げていたのだと思います。やる気のあった時だったら、どんなに忙しくても最優先に走る時間を確保していたはずです。本当の自分は「嫌だ!走りたくない」って言っていたのだと思います。
で、今回ロングトレイルの練習をほぼせずに出場し、途中大転倒して左膝を痛め、最終エイド残り21キロのところで、ランニング人生で初めてのリタイヤ宣言をしました。
これまでだったら歯を食いしばっても、ゴールを目指したと思います。しかし痛めた左膝を庇いながら自分の内面に「まだ行きたい?」って聞いてみたら、「いや、もういい。やめたい」って返ってきたので、納得してやめることができました。
やめた後は自分でも驚くほどすっきりした気持ちになりました。
これまで世界で一番有名な大会である、UTMBを目指して頑張ってきました。トレランを始める人達の役に立ちたいと、お店みたいなこともやったり、練習会や大会を開催したりしてきました。
でも、もう自分がそれをやらなくてもいいんだなっていうのが、よく分かった気がします。決していじけているわけではなく、自分の中に感じているものがあるんです。「もう、自分がやらなくてもいいんだって」
みんな楽しそうに山へ行って遊んでいるし、ギアに関しての情報交換も活発にできる土壌が出来ている。それに気づいた時、良かれと思ってやってきたけど、もう頑張らなくてもいいんだなって納得できました。
それで一旦全部やめてリセットする事にしました。
ランニングは楽しく私のライフワークなので、これまで通り続けますが、出場資格を得るために大会に出たり、みんなの為になるようお店を続けたり、みんなが交流しやすいように練習会や、大会の開催などの活動を、一旦やめようと思うに至りました。
トレランに出会ったことで、私の人生は大きく変わり、想像以上のものを与えてくれました。トレランには本当に感謝しています。
これまでランニングを通じて、人のために役に立つことを考えて活動してきましたが、一旦リセットして今度は自分のために何かを始めようと思います。その種はすでに蒔いているので、どんな芽が出るのか今から楽しみです。
これまで楽しいと思っていたことに、違和感を感じるようになった時、その変化を見逃してはいけません。その違和感は次のステージに向かうための合図です。その時、これまでやってきた事が勿体無いという理由で、捨てれないことの方が、もったいないのだと思います。
何かをすぐにやめることをよくないと言う人もいますが、自分に合っていないことを頑張って続けても楽しくないし、時間の無駄のように思います。違和感を感じた時に、これまでやってきたことを捨てることは、本当に自分がやりたい事に出会い、それを続けるコツみたいなものだと思います。
私の人生の第3章を胸を張って開けたいと思います。