「おもしろすぎる大人の自由研究の本」 を部員が選んだら
前月の手紙社リスト“本”編で花田菜々子さんがセレクトした「おもしろすぎる大人の自由研究の本」を、手紙社の部員が選んだら? ヒエログリフ、宮崎駿、絶滅危惧”動作”など、今回もえらく面白そうなキーワードが並んでおります。人生には、読むべき本がたくさんありますねー
✳︎ここで紹介した10冊を、手紙舎つつじヶ丘本店の一角に準備しました。どなたでも読むことができますので、カフェタイムのお供にぜひ!
1.『ヒエログリフ入門』
著/吉成 薫,発行/弥呂久
エジプトに行ったことはないけれど、博物館では古代エジプトの壁画や工芸品、アクセサリ―、ミイラに見入っています。そんな時にエジプト古代文字「ヒエログリフ」が読めたら?!
目次を見てみると・・・
・日記を書いてみよう(マニアへの入口)
・歌詞を訳してみよう(やめるなら今)
・ことわざを訳してみよう(ほとんど病気)
・古典を訳してみよう(もう取り返しがつかない)
まずは自分の名前をヒエログリフで書いてみましょう。ヒエログリフは表音文字(音を表す)があり、アルファベットに対応しています。古代エジプト語は既に失われた言語ですが、音を当てはめられているのですね。漢字のように表意文字(意味を表す)もあるので、少しステップアップして名前の意味に合う文字を使っても。
古代文字の習得にはいまだ至らないの私ですが、パラパラとページを繰るだけで古代人の知恵と創造力を楽しむことができるのです。
(選者・コメント:のぶこ)
2.『草木とみた夢』
著/谷本 雄治,イラスト/大野八生,発行/出版ワークス
日本植物学の父といわれた牧野冨太郎さんの物語です。富太郎さんの生き方や植物研究に対する情熱を画家で造園家でもある大野八生さんが優しく丁寧に描いた、とても素敵な絵本です。
土佐に生まれた富太郎は、幼いころから植物を見ることが一番幸せで、時がたつのをわすれてしまうほどでした。そんな富太郎には、一生涯かけるにふさわしい夢がありました。それは、土佐だけにとどまらず、日本中のどんな草花も見分けられる正しい知識を盛り込んだ植物の本を作ることでした。
富太郎の生涯は決して順風満帆とはいかず、かなりの苦労を重ねます。しかし、生活が困難になればなるほど負けるものかと研究に力が入ったそうです。さて、富太郎の夢は叶うのでしょうか? 叶うとすれば、それはいつ?
みなさんは今、時間がたつのを忘れ、寝る間を惜しんで熱中するものを持っていますか? たとえ苦労が多くても自分の信じる道を貫く富太郎の姿に熱いものが込み上げます。「理由なんてなくていい、ただ好きなんです」と言いきれる生涯って素敵だなぁと思える一冊です。
(選者・コメント:HAPPY YAYOI)
3.『よくわかる土中環境』
著/高田宏臣 ,発行/PARCO出版
子どもの頃、きれいにまとめた自由研究を提出したいと思い描いたことはありませんか。
冒頭に「熱海の土石流がどうして起きたのか」という小学4年生の自由研究が出てくるのですが、真剣に災害と向き合っていて、とてもわかりやすくまとめられています。
この本の中では土中環境という少し難しそうなテーマを絵や漫画を使ってわかりやすく説明してくれます。
災害を食い止めるために固められた川や、土石流を止めるためのコンクリートの壁が、逆に災害を起こすきっかけになっている。
それを改善するにはどうしたら良いのか、この本から学び、一緒に考えて、自分の考えをめぐらせると、土や菌、山や川の事を考えるのが楽しくなり、色々と調べたくなります。そうなったら生涯をかけた大人の自由研究のはじまりです。
私は子ども達がこの本をどう読むのかも気になっています。もしかしたら、そんなこと知っているよ、というところまでたどり着いている子もいるかもしれません。
(選者・コメント:たいちろうくん)
4.『文房具図鑑』
著/山本健太郎 ,発行/いろは出版
大人の自由研究の選出に、なぜ、子供の本を出してくるのよ? と、お思いでしょうが、是非見ていただきたい。そして、自分って素直じゃなかったと、痛感していただきたい。子供、すごいじゃないか! と。本書をじっくり見ていると、ああ、自由研究って、ほんとに自由なんだな、ひねりとか、ウケ狙いなんか要らなくて、自分の身近なことをよく見る、そういうことなんだなと、あらためて感じるわけです。もっと自分も身近なことに注力したら楽しいことが沢山あるかも! そんな気分になる一冊です。
(選者・コメント:しみず ぬりえ)
5.『果実とパンの組み立て方』
著/ナガタユイ,発行/誠文堂新光社
フルーツサンドは、フルーツの切り方、挟み方で変わるから「作り方」ではなく「組み立て方」。一緒に挟むナッツ、ドライフルーツを考え、クリームを作るともなれば、それは「探求」。いちごとパンのボーダーの表紙がかわいいですが、内容は本気です。
さあ、この1冊でどんな自由研究をしましょうか? 組み立てる、写真を眺める、レシピを読む。どれが楽しそうかな。どれも楽しそう。ページをめくる頭の中は……
おいしそうだなぁ…ジャムだけ作ってトーストと、ヨーグルトともいいなぁ…クリームを作ったらコーヒーゼリーにのせて…栗あんにのせればマロンシャンティができちゃうかも。
眺めて、想像するだけでもよし! もしも組み立てたなら…おいしい自由研究の完成です♪
(選者・コメント:mayuko)
6.『お魚イラストレシピ大百科』
著/大垣 友紀惠,発行/つり人社
目で見て楽む自由研究にピッタリの一冊! 表紙のアマダイちゃんのかわいい絵に目を奪われます。魚の種別ごとのさばき方、どの部位には何の料理に向いているかなど詳しく説明されていて、調理後の写真も掲載。全ページ圧巻のイラストがふんだんに使われていて、眺めているだけでも楽しい!
著者はデザイナーで釣り人。なるほど! ぜひ、一緒にお魚のレシピを探求しましょう!
(選者・コメント:三重のTomomi)
7.『ミヤザキワールド‐宮崎駿の闇と光‐』
著/スーザン ネイピア,訳/仲 達志 ,発行/早川書房
夏休みといえばジブリ! という訳で、 毎年おうちで観て(大人になって思い返すと贅沢な環境!)慣れ親しんできたあの作品や、まだ見ぬあの作品を、米タフツ大学で10年にわたってゼミで指導してきた教授と一緒に読み解いてみませんか?
なんとなくこのシ―ンが好き! あのキャラクターが印象に残った! という点のつながりが、どんな時代背景で、どんな想いで作られたのかを知ることで、線のつながりとなって、より一層”好き”が深まりますよ。
(選者・コメント:風の谷のS)
8.『One Day Esquisse:考える「視点」がみつかるデザインの教室』
著/原田祐馬,発行/誠文堂新光社
2年前のステイホーム期間中、デザインを学ぶ大学生が取り組んだオンラインゼミの講義録です。
・家のなかでアルファベットを探し、書体見本帖をつくりなさい
・『101回目のプロポーズ』を断るラブレターを手書きしなさい
・自分が見えなくなるくらい着込み、セルフポートレートを撮影しなさい etc.
1日1題出題される課題は、じっくり考える要素もありながら、クスッと笑ってしまうユーモアのあるものばかりです。
学生の回答と先生のレビューを読むだけでも楽しいのですが、おすすめは「好きな課題にトライしてみること」です! 簡単なものだと映画1本分の時間、長くても1日あれば取り組めますよ。
デザインの素材となるものは、実はもっともっと生活のなかにたくさんあります。この本との出会いをきっかけに、身近なものをじっくり観察してみてはどうでしょうか? いままで気づかなかった発見から、新しい発想に辿り着けるかもしれません?!
(選者・コメント:ひーちゃん)
9.『旅はゲストルーム』
著/浦 一也,発行/東京書籍
旅の必須七つ道具のひとつはレーザー光線計測器。測って描いたホテルの部屋たち。データの豊富さを求めて一晩に2つのホテルにチェックイン!? 連泊の場合には必ず部屋を替えてもらう!? 新婚旅行で奥様にメジャーの端をもってもらい室内を実測!? 婚旅行で奥様にメジャーの端をもってもらい室内を実測!?
筆者にとっての旅はゲストルームを測り描くこと。部屋に備え付けられたレターペーパーに、50分の1の縮尺で記録された部屋の平面や断面、家具や備品を描く。ディテールから色彩までが調べ尽くされている!! まるでスパイ。チェックインのあと、まさか部屋の中でこんなことが繰り広げられているとは…。
ロンドンのケインズバラ•ホテルのレターペーパーがとても素敵だ。いつかここに描かれた世界中の部屋たち、古い街の小さなホテルを探して旅したい。
レターペーパーに描かれた不思議な世界をお楽しみください。
(選者・コメント:坂野亜希子)
10.『絶滅危惧動作図鑑』
著/藪本晶子,発行/祥伝社
技術の進化と共に消えていく道具、風景。そして動作! そういえば、電話のダイヤルを回したり、チャンネルを回したり、小指で恋人、テレビを叩く……なんてしなくなりましたよね。読むと少し恥ずかしい気持ちになるのは何故?
すでに絶滅してしまった動作にも思いを馳せこの図鑑で、自分の人生の自由研究を。いつかスマホを操作する動作も、懐かしく思う時代が来るのでしょうか!
(選者・コメント:田澤専務)
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